「諦める力」でわかった成功をつかむ正しい努力とは?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
諦める力

あなたには、どんな才能がありますか?

客観的に答えられないと、あなたは叶わぬ努力をしている可能性があります。タブーにされがちな、才能と成功、努力の関係を紹介します。


諦める力

初版:2013年06月04日

出版社:プレジデント

著者:為末 大

無視できない才能の存在

努力しても無理かもしれない

為末大選手は、100mという競技に対して限界を感じたそうです。なぜなら、努力をして才能の限界にたどり着いてしまったからです。

普通の人は、そこまでの努力を経験する機会が少ないです。なので、才能の限界を感じることも少ないでしょう。しかし、為末大選手は、努力の結果、限界を感じたといいます。

競技生活に入ってから、僕が最初に信じたモデルは「努力すれば夢はかなう」だった。
勝てないとき、記録が出ないときは、自分の努力が足りないと考えた。自分の行動を仔細に検証し、さらに自分を追い込んでトレーニングをした。しかし、それでも結果が出なかった。そうなると、努力が足りないからできないという単純な話ではないように思えてきたのだ。

「諦めずに努力をすれば夢はかなう」と社会全般で信じられています。しかし、残念ながら才能は存在しています。

そのため、どんなに憧れて努力しても、届かないものはあるといいます。むしろ、憧れを持つことが、自身を成功から遠ざけてしまう可能性すらあります。自分の才能を冷静に見極めて、自分にも到達可能な憧れ(目標)を持つほうがいいのです。

世の中には、自分の努力次第で手の届く範囲がある。その一方で、どんなに努力しても及ばない、手の届かない範囲がある。努力することで進める方向というのは、自分の能力に見合った方向なのだ。
自分とは違う別人をモデルにして「あの人のようになりたい」と夢想する人は多い。そのときに気を付けなければならないのは、その人と自分の出発点がそもそもまったく違うということだ。
それでも「似たタイプ」であれば近づくことも、追い抜くことも可能だと思う。しかし、純粋な憧れだけで、ある人を目標に努力した場合、それが自分自身の成長を阻害する要因にもなることがありうる。

そして、夢を追い続けて成功を掴むという美談がありますが、その裏側にも言及されています。

スポーツの世界だけでなく、音楽や芸術、ビジネスの世界でも、夢を追い続ける人はたくさんいます。実際に、晩年に大成功を収める人もいます。マクドナルドのレイ・クロックや、ケンタッキーのカーネル・サンダースなどは代表例でしょう。

一方で、夢を諦めた人が美談になることはありません。しかし、実際には諦めるタイミングが遅くなって、失敗する人も多くいます。

その一方で、いたずらにスポーツを長くやりすぎたため、人生を狂わせてしまったアスリートが数多くいることはあまり知られていない。
もう少し、もう少し、とやめる時期を伸ばした結果、就職するタイミングを逃してしまって生活が立ちゆかなくなったアスリート。結婚話が持ち上がっている恋人がいるにもかかわらず、成功する見込みのない競技を諦めきれずに続けた結果、結婚を約束した相手に逃げられてしまったアスリート。
スポーツを諦めずに長く続けることは、いいことばかりなのだろうか。僕は決してそうではないと思っている。ほとんど語られていないので多くの人が知らないだろうが、いざというときに切り替えられなかったため、人生に弊害が出てしまったアスリートがかなりの数に上る。

為末大選手は、才能がなければ成功できないとは言っていません。

才能は存在するので、その有無やどの分野の才能を持ち合わせているか?で戦略・戦法を変えるべきだと言っているのです。

100%の努力をしないと、自分の才能の限界を知ることはできません。そして、限界に到達して成功の見込みがなければ、撤退することも戦略です。なぜなら、別の道にチャレンジするなら、早い方がいいからです。

為末大選手の本からは、「努力すれば、なんでも夢はかなう」ではなく、「才能は存在するが、誰でも相応の成功は可能」という成功哲学を感じます。とても納得感があり、大人な成功哲学です。その思想にもとづき、正しい努力の仕方について、紹介します。

正しい戦略で努力する

考える

人には、それぞれ異なった才能があります。どの分野に、どれくらいの才能があるかは、人それぞれです。

どれくらいの才能があるかというのは、才能の限界がどこになるか?ということです。これは100%の努力を行わないと、知ることができません。才能の限界に到達する必要があるあからです。

しかし、どの分野に才能があるか?は、意外とすぐにわかります。

人間には変えられないことのほうが多い。だからこそ、変えられないままでも戦えるフィールドを探すことが重要だ。
僕は、これが戦略だと思っている。
戦略とは、トレードオフである。つまり、諦めとセットで考えるべきものだ。だめなものはだめ、無理なものは無理。そう認めたうえで、自分の強い部分をどのように生かして勝つかということを見極める。
極端なことをいえば、勝ちたいから努力をするよりも、さしたる努力をすることなく勝ってしまうフィールドを探すほうが、間違いなく勝率は上がる。

さしたる努力をすることなく勝ってしまうフィールド、これが才能のある分野です。

まわりの人が苦労している割に、自分は簡単にできるなと感じることを見つけるのです。それは、スポーツではなく、英語かもしれませんし、読書かもしれません。もしかしたら人を楽しませることかもしれません。

こうして自分の才能がどこにあるのか?を理解することができると、正しい戦略で努力することができます。つまり、正しい手段で勝負することができるのです。その結果、手段の先にある目的を手にすることができます。

多くの人は、手段を諦めることが諦めだと思っている。
だが、目的さえ諦めなければ、手段は変えてもいいのではないだろうか。
僕は400メートルハードルに移ってからほぼ3年間、いろんなことを試行し、また思考し続けた。最初は自分を納得させたい一心だったが、自分の置かれた状況と自分の持っている身体や能力を客観的に分析していった結果、「400メートルハードルに移ってよかった」という結論にたどり着いた。
陸上界で最も「勝ちにくい」100メートルを諦めて、僕にとって「勝ちやすい」400メートルハードルにフィールドを変えたのは、僕が最も執着する勝利という目的を達成するために「必要だった」と納得できたからだ。

為末大選手は、高校生のときに100メートルから400メートルハードルに転向しました。

メダルという目的に対して、100メートルと400メートルハードルにおける、自分の才能を分析した結果、相対的に400メートルハードルの方が才能があったからです。こうして努力する分野を決めることが、戦略です。

正しい分野で努力すること、これはとても大切なことです。これが正しい努力の1つ目です。つまり、才能の有無を認識し、正しい戦略を選択することです。

才能を最大限に生かす努力をする

どの分野で勝負するかを決めたら、次に「何を」「どう」がんばるか、「どれだけ」がんばるかが問題になります。しかし、多くの人は「どれだけ」がんばるかに意識がいきがちになるといいます。

強靭な身体、強い精神力を持った選手が、脆弱な思考力しか持ち合わせてしないことも多い。そういう選手は何をやればいいかが決まっているものに関しては、人並み以上に耐えられるけれども、何をやればいいのかを考えることに関しては、耐えきれない。だから他者に答えを求める。
言い換えれば、努力には、「どれだけ」がんばるか以外に、「何を」がんばるか、「どう」がんばるか、という方向性があるということだ。日本では指導者が、何をがんばるか、どうがんばるかまだ決めてくれることが多い。そうなると選手の担当はひたすらにそれを積み重ねることになる。がんばることは重要で、日々を積み重ねることも重要なのだけれども、たとえばもう陸上で勝てる可能性がない人が陸上の努力を積み重ねていることもある。
積み重ねると違って、「何をがんばるか」という選ぶ努力には、冷静に自分を見てだめなものはだめと切り捨てる作業がいる。これは精神的にかなりつらい。まず、目標に向かって決めたことを積み重ねられることは大事だけれども、その次に、自分で将来どうなりたくてそのために必要なものちゃんと理解できているかどうかが問われるときがくる。
積み重ねるほうにだけ必死になっていて、選ぶ努力を怠った結果、空回りしている人も多い。結局、「選ぶ」ことを人任せにしてしまうと、自分にツケが回ってくる。

「何を」「どう」がんばるかで必要になるのは、思考力です。

自分の力(実力と潜在能力)を冷静に分析して、目標を達成するために、なにが必要なのか?を組み立てていく必要があります。為末大選手は、自身をこう分析していました。

まずは、自分自身の分析である。
僕は早熟で、小学校のころからぐんぐん身長が伸びた。しかし、その伸びは中学3年生でピタリと止まっていた。中学3年生のときの身長と、34歳で引退するときの身長は全く変わっていない。ついでに言うと、体重もほとんど同じである。
肉体的な成長と歩調を合わせるように、100メートルのタイムも急激に伸びた。ところが、高校3年生のインターハイ前までに記録した自己ベスト10秒6は、中学3年生での自己ベストとほとんど変わらなかった。
次にライバル選手の分析を試みた。
中学3年生の時点で11秒2になった選手が、高校3年生になると、僕の記録を脅かすくらいまで駆け上がってきていた。その時点では、僕のベストタイムを超えていなかったが、僕とライバル選手のタイムの変化をグラフ化すると、そう遠くない時期に僕をこえていくのは明らかだった。
しかも、中学3年生の時に僕より身長が低かったその選手が、高校3年生では僕よりもはるかに高くなっている。そうした分析結果を見ても、結果は明らかだった。

自分の現状を把握することは、とてもしんどい作業です。なぜなら、自分の弱い部分に直面する必要があるからです。

今回は調子が悪かったとか、たまたま結果がでなかったとか、そういう言い訳をしてしまいがちです。それも、無意識に。しかし、為末大選手は高校3年生にして、自身を冷静に、そして正確に分析していました。すごい能力です。

そして、こうした現状把握から目標達成に必要なものを組み立てていき、努力を重ねていったのです。

もちろん、「どれだけ」がんばるかは大事です。しかし、その前に、「何を」「どう」がんばるかが重要です。なぜなら、そこの認識を間違っていると、ボタンの掛け違いで、まったく結果が出なくなってしまうからです。

これが正しい努力の2つ目です。客観的な自己認識を持ち、目標達成に必要なものを組み立てることです。

20代読書会に申し込む

20代読書会は、年間1,000人以上が参加しています。東京で最大の読書会です。毎週開催しており、読書好きが集まって楽しく社外のネットワークを広げています。


申し込む

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*