「スイッチ!」でわかった変われない自分を変える3つの方法とは?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
スイッチ!

変えたいと思ってるのに変われないこと、ありませんか?

それは脳の仕組みに原因があります。その仕組みを理解し、適切な対応をすれば、自分を変えることができます。「スイッチ!」でわかった自分を変える3つの方法をシェアします。


スイッチ!

初版:2013年08月20日

出版社:早川書房

著者:チップ・ハース&ダン・ハース

なぜ、自分は変われないのか?

ケーキ

それは脳の仕組みに原因があります。変わりたいと思っている脳とは別に、実はもうひとつ別の働きを担っている脳があるのです。その別の働きの脳が、変わることに反対するから、人間は変われないのです。

脳は、全体でひとつではない。
実際、心理学の一般的な見解によると、脳は常に二つのシステムが独立して働いている。ひとつ目は、これまで説明してきた「感情」だ。苦痛や快楽を感じる人間の本能的な部分だ。ふたつ目は、「理性」だ。これは熟慮システムや意識システムとも呼ばれている。じっくりと考え、分析を行い、未来に目を向ける部分だ。

そして、変わりたいと思っているのは「理性」です。ところが、「感情」が変わりたくないと思っているので、人は変われないのです。この理性と感情の関係がよくわかるたとえがあります。

二つのシステムの葛藤をもっともうまく表現しているのはバージニア大学の心理学者ジョナサン・ハイトが名著『しあわせ仮説』で使っている比喩だろう。ハイトは、私たちの感情は「象」であり、理性は「象使い」だと述べている。象にまたがって手綱をつかむ象使いは、一見するとリーダーに見える。しかし、象使いの制御は不安定だ。象使いは象と比べればはるかに小さいからだ。体重6トンの象と象使いが進む方向でもめれば、負けるのは象使いだ。象使いにはまったく勝ち目がないのだ。

その結果、このような経験はないでしょうか。

  • 寝過ごす
  • 食べ過ぎる
  • 夜中に元恋人に電話をする
  • 仕事を先延ばしにする
  • 禁煙に挑戦して失敗する
  • ジムをサボる
  • 頭に血が上って、後悔することを言う
  • 英語のレッスンを途中で投げ出す
  • 怖気付いて、会議で発言できない

これらは、すべて象(感情)が原因です。象使い(理性)が感情をコントロールできなかった結果です。そして、残念ながら、わたしたちの感情は、長期的な目標よりも、短期的な報酬を優先させてしまいます。

私たちの象、つまり感情や本能の弱点を明らかだ。怠け者で、気まぐれで、長期的な報酬(やせること)よりも、短期的な報酬(アイスクリーム)に目を奪われてしまう。変化がうまくいかないのは、たいてい象のせいだ。なぜなら、何かを変えるには、長期的な報酬のために短期的な報酬を犠牲にしなければならないことが多いからだ。変化に失敗するのは、たいてい目的地に着くまで象使いが象を路上に引き留めておけないからなのだ。
目のまえの満足を求める象の欲求は、象使いの強みとは正反対だ。象使いの強みとは、長期的に考え、計画を練り、先を見すえることだ。

つまり、長期的に考える理性(象使い)主導で自分を変えようとしても、短期的な報酬を優先する感情(象)をコントロールできなくなるのです。そのため、自分を変えることができません。

そこで大事なのは、理性と感情の特性をよく理解して、自分を変えられる仕組みを作ることです。次章で、この具体的な方法を紹介していきます。

どうすれば、自分を変えられるのか?

「スイッチ!」では、3つの方法が紹介されています。

象使いに方向を教える

抵抗しているように見えても、実は戸惑っている場合が多い。したがって、とびきり明確な指示を与えよう。

象にやる気を与える

怠けているように見えても、実は疲れ切っている場合が多い。象使いが力ずくで象を思いどおりの方向に進められるのは短いあいだだけだ。したがって、相手の感情に訴えることが重要。象に道を歩かせ、協力してもらう。

道筋を定める

人間の問題に見えても、実は環境の問題であることが多い。本書ではこの状況や環境のことを「道筋」と呼ぶ。道筋を定めることで、象使いや象の状態にかかわらず、変化を起こしやすくなる。

どういうことか、1つずつ解説していきます。

象使いに方向を教える

自分を変えたいと思い、目標設定をするとき、よくやりがちな誤りがあります。それは、「状態」を目標にしてしまうことです。

たとえば、モデル体型になる!という目標が典型的でしょう。もちろん、モデル体型に憧れることは悪くありません。それがモチベーションの源泉であることは、すばらしいです。

しかし、「モデル体型になる」という行動は存在しません。そのため、この目標設定では1つ1つの行動に迷うことになります。モーニングでソーセージを食べてしまうことは、モデル体型になることでしょうか?それともダメなことでしょうか?難しいところですね。

そのため、行動目標を設定すべきです。たとえば、夜6時以降は食事をしない、白米ではなく玄米を食べる、揚げ物は控えるなどです。

行動目標を設定していれば、何をして何をしないかが明確なので、1つ1つの行動に迷わなくて済みます。その結果、象使い(理性)が象(感情)をコントロールしやすくなります。実際に統計学的にも、行動目標の有用性が証明されています。

『ハーバードで教える組織戦略』に記されている組織改革に関する先進的な研究で、研究者は改革活動をもっとも成功した活動、もっとも成功しなかった活動、その中間の三つのグループに分類している。その結果、いずれのグループでも、ほぼ全員が目標を設定していることが分かった。上位三分の一では89パーセント、下位三分の一では86パーセントが目標を設定していた。たとえば、在庫回転率を50パーセント増加させるといったものが典型的な目標だ。しかし、変革に成功した人ほど、行動目標を定めていることがわかった。行動目標が定められていた割合は、上位三分の一では89パーセントだったのに対し、下位三分の一では33パーセントに過ぎなかった。たとえば、「プロジェクトチームは週に一回ミーティングを行い、チームには各部署の代表者を必ず1名が参加させる」というのが行動目標の一例だ。
変革のアイデアを具体的な行動へと置きかえないかぎり、変化を導くことはできない。活動を生み出すには、明確さと具体性が必要だ。

ただし、ここで1つ注意点があります。それは、大きな目標には大きな解決策が必要なわけではないということです。理性は目標や問題の大きさに合わせて、大きな解決策を考えがちです。しかし、ほんの小さな解決策でも、大きな目標を達成したり、大きな問題を解決したりすることができます。

問題の規模と解決策の規模はどう見ても対照的ではない。問題は大きく、解決策は小さい。
これこそ、本書で繰り返し取り上げるテーマだ。大きな問題が、それに匹敵するくらい大きな解決策で解決されることはほとんどない。むしろ、数週間、ときには数十年間の小さな解決策の積み重ねによって解決されることが多い。この非対称性こそ、象使いの分析好きが裏目に出やすい理由なのだ。
象使いは、問題を分析するとき、その大きさに見合う解決策を探そうとする。穴を見つければ、それをしっかりと埋めようとする。60センチの丸い穴を見つけたら、60センチの杭を探そうとする。しかし、その心理モデルはまちがっている。

行動目標は小さくても大丈夫です。目標を達成できたり、問題を解決できたりする行動目標を定めるようにしてください。そうすれば、格段に自分を変えられる可能性が高まります。

象にやる気を与える

ドーナツ

SMARTな目標設定というものを聞いたことがありますか?

目標に関する本を何冊か読むと、必ずSMARTという言葉が出てきます。実践したことがある人も多いのではないでしょうか。しかし、SMARTな目標設定には、大きな欠点があるといいます。

しかし、大半の組織の目標には、感情的な要素が欠けている。代わりに、いまではSMARTな目標が標準になった。つまり、具体的(Specific)で、測定可能(Measurable)で、実行可能(Actionable)で、重要(Relevant)で、適時的(Timely)な目標だ。たとえば、「当マーケティングキャンペーンでは、2009年の第3四半期までに、営業グループに4500人の見込み客をもたらす」というのがSMARTな目標の典型例だ。

目標は象使い(理性)が考えますが、実行は象(感情)の働きも大きいです。なので、感情に考慮して、やる気になるような目標を設定したほうが成功確率は上がります。

象に訴えかけ、心に響く目標を探す際には、SMARTな目標はあてにならない。80年代、組織の変革活動に関する大がかりな研究が行われた。その結果、顧客によりよいサービスを提供するとか、より役立つ商品をつくるといった感情的な目標と比べて、経済的な目標はそれほど変革の成功にはつながらないことがわかった。
研究者はこう話した。「効果的なビジョンには、従業員が会社と一体感を持てるような価値観が盛り込まれていました。あるガラス会社のマネージャーは”15%の投資利益率を実現する、ではちっともワクワクしない”と話していました」
その点、「目的地の絵はがき」はふたつの仕事をやってのける。象使いに行き先を示し、象に旅の価値を納得させるのだ。

目標設定のさいに、感情は見落としがちな要素です。しかし、とても大事なことです。

  • 嫌な上司を見返してやる!
  • 自己中な同期にボロ勝ちしてやる!
  • モデル体型になって、元彼を後悔させてやる!

このように、ネガティブな気持ちを動機にしても構いません。思い返すと、ふつふつとやる気になる目標を設定してください。その上で、上記で見たように行動目標に落とし込めばいいのです。そうすれば、象にやる気を与え、象使いに具体的な行動を教えることができます。

道筋を定める

考える

これは望ましい行動をせざるを得ない環境を整えるということです。

たとえば、1日30分資格勉強をすると決めた人がいるとします。ところが、家で参考書を開こうとしても、スマホの通知が気になったり、TVを止められなかったり、ついつい漫画を読んでしまったりすることがあります。

そういうとき、スマホを家に置いて、近所のカフェに参考書だけを持って行くと、どうでしょうか?

参考書しか持ち合わせていなかったら、もう勉強するしかありません。TVを観たくても、カフェにはTVはありません。漫画もありません。気になるスマホは家に置いてきています。こうした環境整備が「道筋を定める」ということです。

そして、人にはすばらしい能力があります。

皆さんの知り合いに、スマホが近くにあっても、TVがあっても、漫画があっても、勉強をしている人はいませんか?しかも、毎日決まった時間を勉強に充てている人です。

満員電車でも、感心するような体勢で、本を読んでいる人がいます。彼らは、よっぽど意思が強いのでしょうか?いいえ、違います。彼らは「習慣」という能力を使っているのです。

そうです。人には習慣というすばらしい能力があります。自分が定めた行動目標が習慣化されれば、その後は自動操縦です。象使いに頑張ってもらわなくても、象に我慢してもらわなくても、勝手に望ましい行動を繰り返すようになります。しかし、残念ながら習慣化には時間がかかります。

参考:「続ける習慣」で成功の差は習慣の差だと理解した!!

そこで、本書ではアクション・トリガーを設定することをオススメしています。

たとえば、あなたはずっとジムをサボっているとしよう。そこであなたは、「明日の朝、アンナを学校に送り届けたらまっすぐジムに向かおう」と決意する。このような心理的な計画を本書では「アクション・トリガー」と呼ぶことにする。あなたは、「翌朝に娘を学校に送り届ける」という環境の「引き金」に直面したときに、「ジムに行く」という行動を実行しようと決意したわけだ。

そして、こう続きます。

ゴルヴィツァーはアクション・トリガーの価値は、意思決定のプリロードにあると述べている。先ほどの例で言えば、「アンナを学校に送り届ける」という行動が、「ジムに向かう」という次なる行動の引き金になっている。「次は何をしようか」と頭で検討したりはしていない。
「意思決定のプリロード」を行うことで象使いのセルフ・コントロールを温存しているのだ。
…アクション・トリガーに期待以上の価値があるのはそのためだ。ゴルヴィツァーによると、人は「意思決定のプリフロード」を行うとき、「行動の支配権を環境に委ねる」のだという。アクション・トリガーは「心を惑わす誘惑、悪い習慣、対立する目標から目的を守りぬく」効果があるとゴルヴィツァーは述べている。

そして、アクション・トリガーには、習慣と同じような機能があるといいます。

ゴルヴィツァーによると、基本的にアクション・トリガーには「にわか習慣」を生み出す役割があるのだという。習慣はいわば行動の自動運転だが、アクション・トリガーはまさにそれを生み出すのだ。「にわか習慣」という考え方には根拠がある。ある研究によると、女性が月一回の乳房検診を受けるかどうかを決める最大の要因とは、その習慣があるかどうかなのだという。その習慣がなかった別のグループの女性にアクション・トリガーを設定するよう伝えたところ、長年の習慣を持つ女性と同等の成果を得た。「意思決定のプリロード」を行うことで、「にわか習慣」が生まれたというわけだ。

もちろん、本当に習慣化された行動のほうが続けられる可能性は高いでしょう。しかし、習慣化されるまでの間は、アクション・トリガーはとても有効です。

行動目標を定めたら、ぜひアクション・トリガーも定めてください。そうして、行動を習慣化できたら、変わることができるようになります。

20代読書会に申し込む

20代読書会は、年間1,000人以上が参加しています。東京で最大の読書会です。毎週開催しており、読書好きが集まって楽しく社外のネットワークを広げています。


申し込む

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*