
“筋肉がつきにくい体質”
そう思っていませんか?筋トレをしても効果が出ないのは体質ではなく、やり方の問題です。「やってはいけない筋トレ」でわかった効果的な筋トレ法を紹介します。
やってはいけない筋トレ
初版:2012年02月15日
著者:坂詰真二
根拠のない筋トレに効果はない
みなさん、筋トレにまつわるこんな事実を知ってますか?
- 筋肉は2か月たたないと大きくならない
- 40歳を過ぎると年率1%で筋肉量が減る
- 体幹よりも重要なのは下半身の筋トレ
- 筋トレ前のランニングは効果があるどころか、半減させる!
- 筋肉は「もう少しできる」ぐらいの負荷を好む
とてもマッチョな友人が言ってましたが、「筋肉は裏切らない」そうです(笑)
努力すれば努力した分だけ、期待した効果が出るそうです。だから「筋肉は裏切らない」らしいです。
しかし、見よう見まねの筋トレは裏切ります。TVやネット記事に出ている断片的な情報だけでは、筋トレをがんばっても筋肉が大きくならなかったということはザラに起きます。なので、科学的・体系的に筋トレを理解しましょう。そうすれば効果的に筋肉をつけることができます。
効果的な筋トレとは?
まず最初に、そもそも”筋トレとは”なんでしょうか?
そもそもトレーニングとは「カラダに適度な刺激を与えて、カラダをその刺激に適応させること」です。筋トレは、筋肉に重りなどの負荷という刺激を与えることで、次に同じ負荷がかかっても疲労しないレベルまで筋肉をレベルアップさせることです。
筋トレとは、筋肉に負荷をかけて筋肉をレベルアップさせることです。
筋トレを行う目的は、人によって様々でしょう。
健康維持のために筋トレを行う人もいると思います。男性で見事な胸板を手に入れたいという人や、女性でボディメイクをしたいという人もいるでしょう。また近年では筋トレ(運動)が脳細胞を増大させることもわかっています。そうした意味で仕事のパフォーマンスUPを目的にする人もいるかもしれません。
どんな目的で筋トレに取り組んでもOKですが、筋トレは①正しく負荷をかける・②正しくレベルアップする(休息をとる)の2つの要素で構成されています。そして細かく見ると、効果的な筋トレには4つのポイントがあります。それが、こちらです。
- 週2~3回のペースで鍛える
- 適切な負荷をかける
- 1種目は3セット行う
- 太ももの筋肉を鍛える
週2~3回のペースで鍛える
すでに述べたとおり、筋トレには①負荷と②休息が必要です。筋トレの休息は”超回復”と呼ばれ、よく漫画やTVでも出てきます。
この筋トレの超回復には48時間から72時間かかるため、1回筋トレをしたら次の筋トレまで2日は空ける必要があります。その結果、トレーニングは週に2~3回までとなります。
筋トレをすると、筋肉のエネルギー源である糖分が筋肉中から減少し、糖分からエネルギーを作り出す過程で生じる廃棄物(乳酸や水素イオン)が増加。そしてごく軽度ですが、筋肉が損傷するなど様々な変化が起きることで筋肉は疲労し、一日レベルダウンします。ここで筋肉を回復させる時間、つまり休養が必要。
毎日筋トレをすると、筋肉が十分回復していない時点で刺激を与えることになり、効果が出ないばかりか、かえって過労でレベルダウンしたり、ケガをすることにもなりかねません。
休養を与えて廃棄物を処理し、同時にエネルギー源となるブドウ糖や、筋肉の元となるアミノ酸を供給することで、筋肉が元のレベルより太く強くなるしくみを「超回復」といいます。
超回復に要する時間は48時間から72時間といわれており、一回筋トレをしたら次の筋トレまで2日空ける必要があります。だから筋トレは週に2~3回が適当なのです。
ここで注意なのですが、気合を入れて毎日同じ筋肉に負荷をかけることはやってはいけません。なぜなら、超回復前にさらに筋肉に負荷をかけても意味がないからです。逆に過度に負荷をかけると、筋肉は小さくなってしまいます。急がば回れで、2日おきのトレーニングというペースを守ってください。
また、もう1つ重要なポイントがあります。
休息時に筋肉が作られますが、この時にタンパク質が必要なことは有名でしょう。そして、多くの人がトレーニング終了後にプロテインを摂取します。これは、とても効果的です。
一方で、実は体内では常に筋肉の分解も起きています。(この筋肉の分解のことを異化、筋肉をつくることを同化と言います)
そのため、同化を促進するだけでなく、異化も抑制しなければなりません。
そして、異化がもっとも起きやすいのは、なんとトレーニング中なのです。トレーニング中にカロリーを消費して、体内にカロリーの残量が少なくなると筋肉の分解が始まってしまうのです。なので、トレーニング前には炭水化物をとって、カロリーが体内に十分にある状態で筋トレをしてください。
ちなみに、ダイエットで炭水化物をカットしてタンパク質を中心とした食事にする人がいますが、これは逆効果です。なぜなら、筋肉の異化が促進され、基礎代謝が落ちてしまうので、体脂肪のつきやすい体になってしまうからです。ご注意ください。
適切な負荷をかける
筋トレは量をこなすことが重要ではありません。むしろ20回とか30回とか持ち上げられる負荷では筋肉は大きくなりません。
“10回で限界”と感じる重さでトレーニングをするようにしてください。
筋肥大させるには重りを10回持ち上げてもあと2回は持ち上げられるぐらいの力、つまり筋肉が出せる力の70~80%程度の負荷を与え、これに抵抗しながら10回前後、動作を反復することが必要です。最適な負荷がかかっていれば10回以上反復できないはずなのです。回数よりも「負荷」が大事なので、15回、20回と繰り返せても、筋肉の持久力は向上しますが、筋肥大は望めません。
そして、人間の体は本当にすごい力を秘めています。1週間前に適切だった負荷も、超回復後には軽くなりすぎていることが多々あります。トレーニングのたびに適切な負荷がかかっているかを確認しながら、”10回で限界”と感じる重さを調整するようにしてください。
1種目は3セット行う
適切な負荷をかけた筋トレを1種目につき3セット行うのが効果的です。なぜなら、1セットだけだと筋肉全体に十分な負荷がかからないからです。
良くいわれているように、筋トレは一種目につき3セット行った方が効果的です。これにはれっきとした理由があります。
脳は持っている能力の10%程度しか働いていないといわれますが、筋肉にも同じようなことがいえます。私たちが100%の力を出していると感じている時でも、実は筋肉は本来持っている力の30~40%程度しか発揮していません。これは筋肉が過度に力を出すと、自らの力で筋線維が肉離れを起こしたり、腱が切れてしまってケガをする可能性があるため、これを防ぐために備わった機能であると考えられます。
そして、こう続きます。
筋トレは通常、最大発揮できる筋力の70~80%の重量を6~10回上げ下げします。しかし、80%といってもそれは本来持てる能力の40%×80%=32%しか発揮しておらず、約30%の筋線維しか収縮していません。1セット行うだけでは、収縮しない筋線維が多く残る可能性があるのです。
しかし、3セット行えばまんべんなく筋肉内の筋線維が収縮すると考えられ、これが3セットの根拠となっています。
つまり、人間の体の防御反応で”もう限界”と感じても、実は限界ではなく、30%ほどしか筋肉を使えていません。そのため、1種目につき3セット行うのが効果的なトレーニング方法なのです。
また、筋トレ上級者になると、この防御反応がだんだん外れてきて1セットでも50%とか60%まで筋肉を使うことできるようになるそうです。そうなるまでは、1種目3セットを目安にトレーニングを行なってください。
太ももの筋肉を鍛える
もっとも優先して鍛えるべき筋肉は?と聞かれれば、それは”太もも”です。
優先して鍛える筋肉なんてあるのか!?と思われるかもしれませんが、あります。特にぽっこり出たお腹を引っ込めたいなどボディメイクのために筋トレをする場合は、太ももが重要です。その理由が、本書ではこのように書かれています。
体幹のウエストサイズは、下半身の太腿のサイズより大きいですが、体幹の大部分は内臓や脂肪であるのに対し、太腿の大部分は筋肉です。下半身の筋肉量は全体の半分以上を占めるため、体脂肪を減らすためには下半身の筋肉を鍛える優先順位が高いのです。
よく”たるんだ二の腕に効くトレーニング!”などのフレーズがありますが、それは嘘です。なぜなら、二の腕を鍛えても二の腕の脂肪が落ちるわけではないからです。
筋肉の大きさを考えれば、断然”下半身中心”で鍛えた方が効果があります。
そして、1回のトレーニング内でも、下半身から始まり、上半身・体幹の順番に鍛えていくのが効果的だといいます。
筋トレの部位別エクササイズとしては大きく、腕立て伏せなどの「上半身(上肢)の エクササイズ」、腹筋運動などの「体幹のエクササイズ」、スクワットなどの「下半身(下肢)のエクササイズ」の3つに分けることができます。
この中で下半身の筋肉が最も大きく、エクササイズ中にたくさんのエネルギーを要するので、エネルギーが最もカラダに充足している最初にやると効率が良いのです。
具体的にジムでトレーニングを行う場合、使うべきマシンも解説されていましたので、紹介します。
<ヘジムで行いたい種目>
- 腿前の種目(下半身の大筋群)・・・レッグ・エクステンション
- 腿裏の種目(下半身の大筋群)・・・レッグ・カール
- ふくらはぎの種目(下半身の大筋群)・・・トゥープレス(ヒールレイズ)
- お尻の種目 (下半身の大筋群)・・・キックバック
- 胸の種目(上半身の大筋群)・・・バタフライ(ダンベルフライ)
- 背中の種目(上半身の大筋群)・・・ローロウイング(ラットプルダウン)
- 肩の種目(上半身の大筋群)・・・ラテラルレイズ(サイドレイズ)
- 腕の裏側の種目(上半身の小筋群)・・・トライセプス・エクステンション(トライセプス・プッシュダウン)
- 腕の前側の種目(上半身の小筋群)・・・アームカール
- お腹の種目(体幹の大筋群)・・・トランクカール(クランチ)
- 腰の種目(体幹の大筋群)・・・ロアーバック(バックエクステンション)
筋トレ歴に応じて、種目数とその順番にもオススメがありますので、こちらも紹介します。
<種目数と順番>
- 1~2週目 7種目 1→2→3→5→6→10→11
- 3~4週目 9種目 1→2→3→4→5→6→7→10→11
- 5週目以降 11種目 1→2→3→4→5→6→7→8→9→10→11
以上、「やってはいけない筋トレ」でわかった効果的な筋トレでした。ぜひ、参考にしてみてください。