図解5分でわかる「ホモ・デウス」とは?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
ホモ・デウス

人類は認知革命・農業革命・科学革命を経験し、いま新たな革命に直面しています。

この革命の結果、心・脳・体をアップデートし、不老不死・至福・神性を手にする人間が出てきます。ホモ・デウスの内容を図解していきます。


ホモ・デウス

初版:2018年09月05日

著者:ユヴァル・ノア・ハラリ

ホモ・デウスは何を伝えているのか?

ホモデウ

ホモ・デウスの内容を図解すると上記のようになります。そして、その主張を一言にまとめると、

人類は過去3つの革命を経験し、いま新たな革命に直面している。そして、その革命の結果、一部の人間が神のような能力を手にし、その他大勢とは大きな差が生まれる。

ということになります。

人類が過去に経験した革命は、この3つです。

  • 認知革命
  • 農業革命
  • 科学革命

この3つの革命を解説する前に、人類がいま直面している革命の結果、どのような未来が訪れるのかを紹介します。

著者は、

  • ホモ・サピエンス
  • ホモ・デウス

の2極化が起きると言っています。ホモ・サピエンスとは、現存する人類の生物学的な呼び名です。ホモ・デウスは著者の造語で、デウスは神の意味です。つまり、ホモ・デウスとは、神性を獲得した人類という意味です。

二一世紀初頭の今、進歩の列車は再び駅を出ようとしている。そしてこれはおそらく、ホモ・サピエンスと呼ばれる駅を離れる最後の列車となるだろう。これに乗りそこねた人には、二度とチャンスは巡ってこない。この列車に席を確保するためには、二一世紀のテクノロジー、それもとくにバイオテクノロジーとコンピューターアルゴリズムの力を理解する必要がある。これらの力は蒸気や電信の力とは比べ物にならないほど強大で、食糧や織物、乗り物、武器の生産にだけ使われるわけではない。二一世紀の主要な製品は、体と脳と心で、体と脳の設計の仕方を知っている人と知らない人の間の格差は、ディケンズのイギリスとマフディーのスーダンの間の隔たりよりも大幅に拡がる。それどころか、サピエンスとネアンデルタールの間の隔たりさえ凌ぐだろう。二一世紀には、進歩の列車に乗る人は神のような創造と破壊の力を獲得する一方、後に取り残される人は絶滅の憂き目に遭いそうだ。

それでは、次章以降で人類が経験した3つの革命と新たな革命を解説していきます。

認知革命

今から7万年前に起きた革命です。

ホモ科の動物は、現在ではホモ・サピエンスの1種ですが、以前は多くの種がいました。しかし、この認知革命によって、ホモ・サピエンスのみが生き残りました。

認知革命で起きた変化は、二重の現実から三重の現実への変化です。サピエンス以外のホモ科の種、そして他の動物は二重の現実で暮らしています。

  • 客観的現実
  • 主観的現実

この2つです。ところが、ホモ・サピエンスは、この2つに加えて「共同主観」とうい3つ目の現実ももっています。

オオカミやチンパンジーのような動物は、二重の現実の中で暮らしている。一方で、彼らは木や岩や川といった、自分の外の客観的なものをよく知っている。他方で、恐れや喜びや欲求といった、自分の中の主観的な経験も自覚している。それに対して、サピエンスは三重の現実の中で生きている。木や川、恐れや欲求に加えて、サピエンスの世界にはお金や神々、国家、企業についての物語も含まれている。歴史が展開していくなかで、神や国家や企業の影響は、川や恐れや欲求を犠牲にして大きくなっていった。

共同主観は、「サピエンス全史」では「虚構」として詳しく紹介されています。

1つの例が、法人です。法人は実体がなく、共有された主観です。しかし、この共同主観のおかげで、人類は比類なき「協力」を手に入れました。

考えてみてください。アリやハチは協力しながら生活することで有名ですが、自分の目に見える範囲の仲間としか協力できません。しかし、同じ法人に勤務していれば、一度も目にしたことのない仲間とも協力して働くことが可能です。

それどころか、70億人の全人類は貨幣経済という「共同主観」の中で、協力しながら日々生活しています。この「共同主観」が生んだ「協力」こそ、ホモ・サピエンスがこれだけ発展した理由です。こうした変化が起きたのが、認知革命です。

農業革命

今から1万2千年前に起きた革命です。

人類が農耕を始めたのです。その結果、飢えから解放されたり、1つの生活集団の規模が大きくなったり、貧富の差が生まれたりと、人類の生活には大きな変化が生じました。

しかし、それ以上に人類はイデオロギー上の大問題を抱えました。それは、農業革命によって地球史上初めての「生命体」が生まれたからです。

農業革命によって生まれた生命体とは「家畜」です。

家畜は誕生以降、増え続けており、現在では大型動物の90%以上が家畜です。ちなみに、大型動物の定義は1kg以上の体重があることです。

なぜ、この家畜がイデオロギー上の問題を生んだのでしょう?

それは人類が、それまでアニミズム信仰であったことが理由です。アニミズム信仰では、すべての動物、森、川、岩などに神が宿っていると考えています。その結果、人間も動物も対等な生き物です。

しかし、”家畜は対等なのか?”という疑問が生じます。人間が食料や労働のために生かしている命が、人間と対等なのでしょうか?

そして、人類はこのイデオロギー上の問題に答えを出します。それが「一神教」です。

旧約聖書時代のユダヤ教のような有神論の宗教は、新しい宇宙論に即した神話を通して農耕経済を正当化した。それ以前、アニミズムの宗教は個性豊かな役者たちが数限りなく登場する壮大な京劇のようにこの世界を描き出していた。ゾウとオークの木、ワニと川、山とカエル、魔物と妖精、天使と悪魔などが、この森羅万象のオペラでそれぞれ役割を担っていた。有神論の宗教は、その脚本を書き換え、世界を、人間と唯一神というたった二人の主要登場人物しかいないイプセン風の殺風景なドラマに作り変えた。天使と悪魔は偉大な神々の使いと僕となり、この変遷をなんとか生き延びた。ところが、アニミズムのキャストの残り(すべての動植物と自然現象)は、物言わぬ舞台装置と化した。

つまり、農業革命以降、人間は神の代理人となったのです。

こうしたヒエラルキーをつくることで、人間の中で生じた貧富の差も家畜の存在も解決したのです。これが農業革命です。

科学革命

今から300年前に起きた革命です。

科学革命の結果、資本主義経済が生まれます。なぜなら、人類は初めて経済成長を経験することになったからです。

なぜ、300年前から経済成長が始まったのでしょうか?

それは人類が3つ目の資源を手に入れたからです。科学革命以前の資源は、

  • 原材料
  • エネルギー

の2つしかありませんでした。

ところが、科学革命によって、人類は「知識」という新たな資源を手に入れました。その結果、経済のパイを大きくすることが可能になったのです。

世界は決まった大きさのパイであるという伝統的な見方は、世界には原材料とエネルギーという二種類の資源しかないことを前提としている。だがじつは、資源には三種類ある。原材料とエネルギーと知識だ。原材料とエネルギーは量に限りがあり、使えば使うほど残りが少なくなる。それに対して、知識は増え続ける資源で、使えば使うほど多くなる。実際、手持ちの知識が増えると、より多くの原材料とエネルギーも手に入る。私がアラスカでの石油探査に一億ドル投資して油田を見つければ、より多くの石油が手に入るが、私の孫たちの取り分が減る。一方、もし太陽エネルギーの研究に一億ドル投資し、このエネルギーをより効率的に利用する新しい方法を発見すれば、私も孫たちも揃ってより多くのエネルギーを手に入れられる。

科学革命以前、人類にとって「知識」は聖書に書かれていることがすべてでした。聖書に「地球は平らだ」と書かれていれば、それが真理だったのです。

しかし、科学革命以降、「知識」は観測と数値によって明らかになるものへと変化しました。聖書に「地球は平らだ」と書かれていても、観測の結果「地球は丸い」と分かれば、地球は丸いと考えるようになったのです。

そして、その結果、イデオロギーに大変革がもたらされます。「一神教」から「人間至上主義」への変化です。

農業革命が有神論の宗教を生み出したのに対して、科学革命は人間至上主義の宗教を誕生させ、その中で人間は神に取って代わった。有神論者が神を崇拝するのに対して、人間至上主義者は人間を崇拝する。自由主義や共産主義やナチズムといった人間至上主義の宗教を創始するにあたっての基本的な考えは、ホモ・サピエンスには、世界におけるあらゆる意味と権威の源泉である無類で神聖な本質が備わっているというものだ。この宇宙で起こることはすべて、ホモ・サピエンスへの影響に即して善し悪しが決まる。

科学革命以前であれば、人生の意味は神が与えてくれていました。ところが、革命後は自分自身が人生に意味を与える必要が生まれたのです。これが人間至上主義です。

そして、人間至上主義から3つの分派が生まれました。

  • 自由主義
  • 社会主義
  • 進化論

20世紀は、この3つの人間至上主義が覇権を争った100年でした。多くの知識人は「社会主義」が覇権を握ると考えていましたが、結果は「自由主義」が勝利を収めています。

また、20世紀は同時に人類が3つの課題を克服した世紀でもありました。この3つの課題は、人類史で常に死因のTOP3となっていたものです。

  • 戦争
  • 飢餓
  • 疫病

この3つです。もちろん、今も戦争・飢餓・疫病に苦しんでいる人はいます。しかし、今の人類にとっては最優先課題ではなくなりました。

人類は、

  • 不老不死
  • 至福
  • 神性

という新たな課題に向かって努力をし始めています。

成功は野心を生む。だから、人類は昨今の素晴らしい業績に背中を押されて、今やさらに大胆な目標を立てようとしている。前例のない水準の繁栄と健康と平和を確保した人類は、過去の記録や現在の価値観を考えると、次に不死と幸福と神性を標的とする可能性が高い。飢餓と疾病と暴力による死を減らすことができたので、今度は老化と死そのものさえ克服することに狙いを定めるだろう。人々を絶望的な苦境から救い出せたので、今度ははっきり幸せにすることを目標とするだろう。そして、人類を残忍な生存競争の次元より上まで引き上げることができたので、今度は人間を神にアップグレードし、ホモ・サピエンスをホモ・デウスに変えることを目指すだろう。

こうした変化を生んだのが、科学革命です。

第四の革命

これから起きる可能性のある革命です。

この第四の革命が起きる理由は、現在のイデオロギーが根幹から揺らいでいるからです。現在のイデオロイギーは自由主義の人間至上主義です。

そして、この自由主義は

  • 個人主義
  • 人権
  • 自由市場

によって成り立っています。ところが、科学の進化が、この3つを正当化する根拠を覆しつつあるのです。

つまり「人間の思考や感情、判断、意味づけは、神聖なものではない」と判ってきているのです。

例えば、結婚で考えてみましょう。結婚相手を自分の判断で選ぶよりも、AIが最適な相手をマッチングした方が、幸せな結婚生活を送れるようになる可能性は高いです。そうすると、自分の意思で判断するより、AIにマッチングしてもらう方が合理的ではないでしょうか?

「運命」は自分の心よりも、AIに聞いたほうが正確なのです。こうした変化の結果、人間至上主義はデータ至上主義に移行する可能性があります。

その過程で、データ至上主義は従来の学習のピラミッドをひっくり返す。これまでは、データは長い一連の知的活動のほんの第一段階と見なされていた。人間はデータを洗練して情報にし、情報を洗練して知識に変え、知識を洗練して知恵に昇華させるべきだと考えられていた。ところがデータ至上主義者は、次のように見ている。もはや人間は形大なデータの流れに対処できず、そのためデータを洗練して情報にすることができない。ましてや知識や知恵にすることなど望むべくもない。したがってデータ処理という作業は電子工学的アルゴリズムに任せるべきだ。このアルゴリズムの処理能力は、人間の脳の処理能力よりもはるかに優れているのだから。つまり事実上、データ至上主義者は人間の知識や知恵に懐疑的で、ビッグデータとコンピューターアルゴリズムに信頼を置きたがるということだ。

これはイデオロギー上の変化ですが、一方でコンピュータアルゴリズムとバイオテクノロジーによって

をアップデートするようなプロダクトが生まれ、

  • 不老不死
  • 至福
  • 神性

を手にするようになります。こうしたテクノロジーの恩恵を享受する人たちはホモ・デウスとなり、享受できない人たちはホモ・サピエンスにとどまります。

その結果は、冒頭で引用した通りです。ホモ・デウスとホモ・サピエンスの間は、サピエンスとネアンデルタールの格差よりも大きくなります。

以上、図解5分でわかる「ホモ・デウス」でした。より詳細を知りたい方は、ぜひ本書を読んでください。

20代読書会に申し込む

20代読書会は、年間1,000人以上が参加しています。東京で最大の読書会です。毎週開催しており、読書好きが集まって楽しく社外のネットワークを広げています。


申し込む

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*