読書会「稼ぐがすべて」でわかったBリーグ成功の要因とは?

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稼ぐがすべて

10年後いちばん人気なスポーツは?

野球でもなく、サッカーでもなく、バスケットボールになっているかもしれないです。

[収益→普及と強化に投資]という従来のスポーツビジネスとは異なるコンセプトでスタートしたBリーグが躍進しています。稼ぐがすべてでわかったBリーグ成功の要因を解説します。


稼ぐがすべて

初版:2018年09月29日

著者:葦原 一正

「稼ぐがすべて」でわかったBリーグ成功の要因とは

2015年にバスケットボールのプロ統一リーグが発足しました。名称はBリーグ。

いま、このBリーグが熱いんです!

Bリーグの前身となったJBリーグ・実業団リーグの合計と比較して、

  • 入場者:50%増
  • リーグ売上:10倍

と、発足からたった2年で大躍進を遂げています。

超満員で開幕を迎えた男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」は2018年5月に、年間優勝クラブ決定戦(B.LEAGUE FINAL)を終え、2年目のシーズンが終了した。 2年目の入場者数は250万人。リーグ売上も50億円となった。前リーグと比較し、入場者は50%増、スポンサー契約や放映権といったリーグ売上は10倍と、他のプロスポーツ興行と比較しても、非常に良い結果を出すことができた。また、知名度ゼロからスタートしたB.LEAGUEは開幕直後の認知率調査では65%までに上昇。バレーボールを抜き、プロ野球、Jリーグに次いで3位に躍進した。

この大躍進を支えた要因は4つあります。

  • 稼ぐがすべて
  • バスケットボールの市場性
  • 権益の統合
  • スポーツの変化

これらが、その要因です。それぞれ、どういうことなのかを解説していきます。

稼ぐがすべて

上記は、従来のスポーツビジネスとBリーグの思想の違いを表しています。

従来は、そのスポーツが普及して人気が高まると能力の高い選手が現れて強化されます。その結果、スポーツビジネスとして収益化も可能という考え方でした。

しかし、Bリーグは180度違う発想をしています。

まず、最初に収益化を狙います。そうして利益を出せばスポーツの普及や強化に投資ができ、またさらに収益が大きくなるという考え方をしています。

従来の考えは、バスケをする人を増やし、すそ野が広がっていけば、いつか日本代表が強くなり、とくに1976年以降オリンピック出場から遠ざかっている男子日本代表が強くなれば、いつかファンが増え、事業規模が大きくなると思い込んでいた。つまり、「普及」すれば、「強化」につながり、いつか「収益」につながる、と。
そのような気の遠くなるような進め方で本当に改革ができるのか?
まずは徹底的に「収益化」に特化すべきと私は考えていた。なぜなら、稼ぐことは、ビジョンとリーダーシップと人材確保で達成することができるから。いわゆる普通のビジネステクニックで変えることができる。普及していなくても、代表が強くなくても稼げる。そして稼いではじめて、普及や強化に投資できる。
「鶏が先か? 卵が先か?」
どちらを先に増やすかを考えるよりも、逆転の発想で、仕組み自体にイノベーションを起こすことが、この世界で必要だと考えていた。

Bリーグは、バスケットボールというスポーツが広まったり、日本代表が強くなったりする前に「収益を上げること」をとても大切にしています。そうした設計のもと発足したプロリーグだからこそ、前身のリーグと比べて圧倒的な結果を出すことができているのです。

バスケットボールの市場性

バスケットボールは1990年台にスラムダンクが人気となって以来、実は日本でも人気のスポーツです。

国内の競技人口で言えば、サッカー90万人に対してバスケットボールは60万人と規模があることがわかります。世界で見れば最も人気なスポーツです。

バスケは実は世界一競技人口の多いスポーツで、国内の競技登録者はサッカーに次ぐ60万人以上。サッカーの競技者登録人口のうち男性が98%(2017年度)であるのに対して、バスケは男女比が均等であるという要素は大きなアドバンテージである。
また若年層がバスケに対して興味を抱いているのは極めて大きな特徴である。B.LEAGUEが2015年に行った調査で、観戦したいスポーツは何かと聞いたところ、10代から30代でバスケは上位を占めた。とくに。10代女性は1位の野球とほぼ同ポイントで、人気の高さ、そしてポテンシャルの高さを感じる。一方、40代以上はバスケに恐ろしいほど無関心であった。後にターゲットを明確にしているのだが、B.LEAGUE全体としては40代以上の層については現状はあえて見送り、若い層をメインターゲットとした。

そして、バスケットボール市場にはサッカーや野球にはない特徴があります。

それは「女性ファンが多い」ということです。バスケットボールの場合、競技登録人口の約50%が女性ですし、観戦を希望している人にも女性が多いです。

また、野球やサッカーと違い、若年層からの支持の厚さもバスケットボールの特徴です。

またその観戦意向者数を紐解いていくと、若い世代で高く、とくに女性が多いことがわかった。この潜在来場者となる700万人に来ていただくために、「若者」「女性」を主なターゲットとすることにした。さらに顧客像を描くことで、ターゲットに対して訴求力のあるマーケティングを展開できるよう、ペルソナも調べてみた。
その結果、野球は1人観戦の方が多いのだが、バスケは集団観戦したいという方が多く、「家にいる」よりも「お出かけ好き」。お出かけ好きだが、睡眠は人並みにとっている。そう、家での滞在時間が少なく、テレビはあまり見なくてモバイル派。でも雑誌は読んでいる、という方が多かった。そして情報を「収集する」というより、「シェアしたい」という 方が多いということがわかった。まとめると、1人よりも集団観戦を好み、シャレで、お出かけが好きなアクティブな人。また、情報収集の媒体はスマホや雑誌を中心とし、流行にも敏感で、自らも積極的に発信を行うといった特徴になる。

若い女性が集まる場所にはお金も集まります。こうしたバスケットボールの市場性もBリーグが躍進している要因です。

権益の統合

Bリーグは10年・20年と長期的に発展することを考えています。そのために、協会・リーグ・クラブ、またプロアマの境界線を超えて協力する体制づくりにも力を入れています。

この協会・リーグ・クラブの垣根を超えた成功事例がアメリカのMLB(野球)やMLS(サッカー)です。

たとえば、日本のプロ野球とアメリカのMLBを比較すると1994年の市場規模はともに約1500億と同規模でした。しかし、現在日本のプロ野球は1800億円に対してMLBは1兆円を超えています。

日本のプロ野球とMLBでは20年間で5倍以上の差がついてしまっているのです。

Bリーグは、そうした事例を参考にしながら長期的に発展する構想を築いています。

事業方針の2つ目に掲げたのは、協会、リーグ、クラブの「権益の統合」である。プロ野球の場合、個々のチームの力が強く、プロ・アマの距離があるため、全体最適の話がなかなか進まない。バスケでは、権益の統合をキーワードに、協会、リーグ、クラブがタッグを組み、プロスポーツの新しい立ち位置を日本のなかで築いていく方針である。
個々のクラブの努力は非常に大切で否定するつもりはない。しかし、そこで数%来場者数が上がったとしても市場規模から見たら微々たるもので、リーグ全体、業界全体への影響は大きいとは言えない。やはり、協会、リーグが主導となりダイナミックに仕組みを変えていかないとスポーツビジネスは変化していかないと考える。
それを実現した代表例がMLB。MLBは放映権などあらゆる権益をリーグに集約することで効率化と利益拡大を果たし、この3年で大きく市場を伸ばしてきた。1994年は日本プロ野球のNPBもMLBも、約1500億円前後の市場規模であったが、NPBの現在は1800億円に対し、MLBは1兆円を超している。これは入場者数を何倍も増やしたからでは決してない。むしろ1994年の一試合平均入場者数は3万2000人に対し、2018年は3万人と減少している。「リーグの統制」こそ市場規模拡大のすべてのドライバーとなっている。
そこからさらに一歩進み、リーグとクラブ、そして協会とも権益を統合しているのがアメリカのプロサッカーリーグのMLSである。協会管轄の代表チームのスポンサーとリーグのスポンサーをまとめて販売することで、3年で3~5倍にも利益を拡大。放映権も同様、代表とリーグのセット販売で3年で5倍になったと聞いたことがある。このように、協会とリーグが一体となってビジネスをしていくことで、市場規模は大きくなっていくのだ。

実際にBリーグが行っている取り組みに、データの一元管理があります。

  1. クラブごとにデータを保持しない
  2. チケット・グッズ・ファンクラブのデータも一元管理

を行っています。その結果、Bリーグとしてファンのロイヤリティを向上させたり、売上を上げたりする施策が取れるようにしています。

B.LEAGUEでは、その先を考えたときに、そのデータの持ち方では意味をなさないと考え、リーグ統合データベース=B.LEAGUEファンプラットフォームとして一元化した。
つまり、顧客データは各クラブではなく、リーグが管理する方式である。その結果、お客様にとっては、1つのログインIDで、B.LEAGUE1・B2全36クラブのあらゆるサービスが利用できるようになる。

データの持ち方は4つ
1【チケット】チケットを買った人
2【ファンクラブ】ファンクラブに入会している人
3【EC】クラブのwebサイトでグッズを買った人
4【来場者】アリーナに来場した人

これによりチケット、ファンクラブ、EC、来場者という状況別に、1人のお客様がどのような行動をとっているかの情報が、クラブの垣根を越えてできるようになる。たとえば、ある人がAクラブの試合のチケットを買えば、翌週そのときと同じIDとパスワードで別のクラブのチケットを買うことができる。お客様にとっても使いやすいことは運営者側にとってもデータを集めやすくなるのだ。

 

スポーツの変化

スポーツも時代とともに変化しています。その変化をまとめると、上記の図のようになります。いまはスポーツにおいても転換期であり、次の世代のスポーツにバスケットボールが入ろうとしています。

次の世代のスポーツを理解するために、第一世代から順番に解説していきます。

第一世代のスポーツ(昭和)

  • 代表はプロ野球
  • 全国放送でみんなが同じものを視聴する時代
  • 高度経済成長期のなかで勝敗至上主義
  • 勝って嬉しいという価値を提供するもの

第1世代のプロ野球。象徴と言えば巨人であり、ON(王・長嶋)だった。全国放送されている巨人が勝てば喜び、負ければ翌日おやじの機嫌が悪くなる。高度経済成長期におけるスポーツの位置づけは勝敗至上主義であり、日常の中に「(勝って)うれしい」という価値を添えてくれるものだった。

第二世代のスポーツ(平成)

  • 代表はサッカー
  • 地元のクラブチームの応援をする
  • 高度成長期を終えて勝敗至上主義もなくなった
  • 楽しいという価値を提供するもの

続いて、1993年に立ち上がった第2世代のJリーグ。彼らは勝ち負けも大事だけど、「地域密着」を看板にかかげ、おらが町に小さなクラブがあることはとても「楽しい」ことだと教えてくれた。今は小さく、弱いチームだけど、いつかはビッグクラブに、地方に光を、そんな世界観だと思う。スポーツの価値観を大きく変えたJリーグの創出は偉大だった。

第三世代のスポーツ(NEXT)

  • 社会的な課題を解決する
  • すごい/ありがとうと言われる対象になるもの

そして、第3世代のB.LEAGUEは何をするのか?
事務局内でも徹底的に議論した。たどり着いた答えは、スポーツで「うれしい」価値観を与えるのでなく、「楽しい」価値観を与えるだけでなく、「すごい/ありがとう」と捉えられるツールにしたいな、ということだった。
世の中の社会課題はさまざまある。その大きく険しい課題に対して、微々たる影響しか与えられないかもしれないが、真っ向からぶつかっていきたい。リーグ、クラブみんなでぶつかっていければ、少しは社会を変えられるかもしれない。そしたら、子供たちからこう言われるだろう。
「B.LEAGUEってすごいね」
もしかしたら、とある人からこう言われるかも。
「変えてくれてありがとう」と。

以上、読書会「稼ぐがすべて」でわかったBリーグ成功の要因でした。

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