神田昌典氏も、「バカになるほど本を読め」の中で書かれていますが、読書会に定期的に参加することで、4つのステップを踏んで、参加者は成長することができます。第1ステップは、イン・フォーメーション。第2ステップは、インター・フォメーション。第3ステップは、エクス・フォメーション。第4ステップは、トランス・フォメーション。第4ステップまでできれば、社会にインパクトを与えることも可能になります。それぞれのステップについて解説していきます。
第1ステップ:イン・フォメーション
インフォメーションについてですが、まず読書会のために自分で読書をすることによって、効率よく効果的にインフォメーションができます。
もちろん、インフォメーションは新しい本を読むことだけを意味しているわけではありません。過去に読んだ本も、読書会の発表のために見直したり、重要部分に付箋を貼り直したり、こうしたこともインフォメーションの1部です。
第2ステップ:インター・フォメーション
「インター」とは、相互にという意味ですから、参加者同士でお互いにフォメーションをし合うという意味です。単に他の参加者の発表を傾聴することも、インターフォメーションに含まれると思います。さらに、自分が理解できなかった箇所や、もっと詳しく聞きたい部分について質問したり、回答をもらったりすることが、このステップのメインになります。
そうしたコミュニケーションを他の参加者と取ることで、自分の理解も深まりますし、発表者自身の理解も深まります。そして、それだけではありません。同じテーブルに座って聞いていた他の参加者も、実は同じ疑問を持っている場合も多くあるのです。そうした場合、会話に直接参加していなくても、他の参加者のインフォメーションを促進する効果もあります。こうしたことが、インター・フォーメーションの段階です。
第3ステップ:エクス・フォーメーション
エクスフォーメーションは、情報発信の段階です。この段階では、読書から得た情報を単に発信することではなく、自分なりの意見や見解、他の本とのつながりなどをつけて発信していく段階です。これは、なかなか難しいです。インフォメーションやインターフォメーションは、誰でもできますが、最初から、いきなりエクスフォーメーションはできません。一定量以上の基礎知識や思考力が必要になると思います。
ただ、読書会に参加していると、このエクスフォーメーションが自然とできるようになっていきます。なぜなら、圧倒的に知識を身に付けていくスピードが速いからです。さらに、思考力に関しても、発表すると即時で他の参加者からの暖かいフィードバックをもらうことができます。「どうして、そう考えたのか?」「実はこういう視点もあるのではないか?」「その本の内容は、別の本にはこう書いてあった。」などの情報が一気に集まってくるのです。そのため、新たな思考の切り口がたくさん集まりますし、対話を通じて一層深く思考することができます。その結果、読書会で発表してフィードバックをもらうことで、思考力も鍛えることができるのです。
その結果、最初はできなかったエクスフォーメーションが、段々と他の参加者の助けを借りなくても、できるようになってきます。数ヶ月もすれば、あるテーマに関しては、この人の意見を聞いてみよう、と周りから1目置かれるようなエクスフォーメーションができるようになるのです。
第4ステップ:トランス・フォーメーション
そして、最終段階のトランスフォメーションです。「トランス」とは変容するという意味です。何を変容するかと言えば、まずは自分、そして他人、さらには社会を変容するという意味です。
自分を変容するというのが、このトランスフォメーションの最初の段階です。例えば、読書習慣のなかった人がソーシャルプレッシャーを感じて、読書習慣を身に付けたとします。これもトランスフォメーションの1つです。他にも、興味・関心のなかった分野に興味を持ち、学び始めたり、知識が増えて考え方が変わったりというのもトランスフォメーションです。つまり、考え方・行動の面で変化するということです。
そして、エクスフォーメーションができる段階になると、このトランスフォメーションを他人に対しても起こすことができるようになります。今まで読んだことがない分野に興味を喚起してお薦めした本を読んでもらったり、新たな知識を与えて世の中の見え方を変えたりすることができます。
こうした他人へのトランスフォメーションには、魅力的なプレゼンテーションが必須のスキルとなります。魅力的なプレゼンテーションは、共感能力や話の組み立て、抑揚、間の取り方など様々なスキルを無意識で使えるようになって、初めて行えるようになります。利害関係のない相手の考え方や行動を変えることは、ある意味営業よりも難しいかもしれません。このトランスフォメーションは、ダニエル・ピンク氏が「人を動かす新たな3原則」で言っている「人を動かす力」に他ならないと思います。
そして、最後が社会を変えるトランスフォメーションです。どういうことかと言うと、エクスフォーメーションを自分のビジョンを交えて行うことで、そのビジョンに共感する人が集まってきます。そして、そのビジョンを現実にして社会を変容していくのです。
例えば、地元の街を活性化したいという想いを持っている人がいたとします。その人が、地元の街をこんな風にPRして、もっと多くの人にその魅力を知ってもらい、観光客を増やしたい。そうして、活性化したいというビジョンを語るとします。そうすると、そのビジョンに共感した人が集まってくるのです。例えば、そのPRに必要なWebサイトやFacebookページを作れる人が現れて協力してくれたり、街コンのようなイベントを企画してくれる人が現れたりします。もしかしたら市長とも繋がることができて、大々的な企画になる可能性もあります。
全ての始まりは、1人がビジョンを語ったことから始まっています。これは、マーケティング3.0の世界だと思います。私が主催する読書会にも開催し始めた当初よりも、数倍の人が参加してくれるようになっておりますので、少しづつビジョンが明確になり、共感してくれる人が増えてきているのかなと思ってます。ただ、残念ながら、社会を変えるとまでは至っていません。いずれ、社会に1%でも、いい方向に変えていく力が身につけばと思います。
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