[読書会の魅力7]のトランスフォメーションの段階まで、たどり着いた人の話ですが、そこまで行くと、実は社会で1%の存在となっているのです。
トランスフォメーションにも、3段階あり、自分・他人・社会の変容とステップアップがあると書きました。このトランスフォーメーションの最初の段階の自分を変容し続けることができれば、それでOKです。自分をトランスフォメーションし続けられるだけで、それは非常に貴重な能力なのです。
この自分をトランスフォメーションしようとするマインドのことを、セルフトランスフォーミングマインドと言います。全然聞きなれない言葉だと思いますが、ハーバード大学教育大学大学院教授のロバート・キーガン博士が行った調査の中でセルフトランスフォーミングマインドについて、書かれています。
ロバート・キーガン博士が何を研究していたかというと、アメリカ企業の管理職を調査していました。そうしたところ、大きく3つのタイプに分かれていることが分かりました。そして、その最も貴重なタイプの管理職がセルフトランスフォーミングマインドを持っている人々なのです。
どのようなタイプの管理職がいたのか、順番に紹介していきたいと思います。
1番目は、ソーシャライズドマインドの管理職です。日本語で言うと、日和見主義の人間のことです。常に周りからどのように見られているかを気にしていて、自分に責任が押し付けられないように立ち振る舞っています。そのため、上司から明確な指示をもらいたいと考えている人です。
2番目は、セルフオーサリングマインドの管理職です。自分自身の信念や計画に基づいて指示指令をし、着実に仕事を進めるタイプの人間です。過去の成功体験を元にして仕事を進めるので、同じ仕事をする環境では堅実に成果を残すことができます。しかし、これまでの経験が全く通用しない仕事においても、これまでと同じやり方ばかりで、新しい方法を試そうとしないので、成果を残せないことが多いです。周囲の意見にも聞く耳を持たず、どんどん時代から取り残されてしまいます。
そして、3番目がセルトランスフォーミングマインドの管理職です。これは自己変容型の人間です。過去の成功体験を持っていながら、それに縛られることなく、柔軟な発想ができる人です。何か問題が起きても、その場しのぎの方法ではなく、根本から問題を問いただすことができます。場合によっては、過去の成功体験を否定するような判断をして、変化することができます。
変化のスピードが速い現代においては、過去の成功体験は時としてマイナスになります。そのため、同じ仕事であっても成果を出し続けるには、セルフトランスフォーミングマインドが必須になります。ましてや、新しい分野の仕事となれば、セルフトランスフォーミングマインドがなければ、太刀打ちできません。神田昌典氏の言葉を借りれば、ストーリー思考の持ち主ということになるのだと思いますが、このトランスフォーミングマインドの持ち主は、調査結果では1%しかいません。
読書会では、このセルフトランスフォーミングマインドを磨くことができるのです。なぜなら、常に自分とは異なる意見にさらされることになるからです。それも、社会で活躍する一線級の人が書いた本を根拠にした意見です。自分の過去の成功体験と異なっていても耳を傾けないわけにはいきません。
さらに、こうした新しい考え方・発想というのを1番最初に受け入れるのは感性豊かな若者だと思います。20代で社会人経験少なく、考え方が柔軟な優秀な若者が最初に取り入れていきます。そして、50代・60代が変化に対応するのは、1番最後になります。時には変化に対応しないまま過ごすこともあり、そうしたことは珍しくありません。
もちろん、そうした年代にも先進的な人はいますし、若くても非常に保守的な人もいるのは分かります。ただ、一般的には若い方が柔軟です。それは、インターネットへの対応やスマートフォンの普及の仕方を見ても分かると思います。
そこで、読書会の良い点は、20代も50代も上下関係がないことです。会社の中では、上下関係がありますので、どうしても50代は意見を言いやすく、20代は意見を述べずらいです。特に、50代が持っていないような新しい意見を20代が堂々と言える環境は稀です。しかし、読書会は違います。年齢や性別関係なく、誰でも平等に意見を言えいます。もちろん、何でも取り入れるのがいいとは思いませんが、耳を傾けるマインドさえ持っていれば、正しく時代の変化についていくことができると思います。
このセルフトランスフォーミングマインドを磨き、実際にセルフトランスフォームできることも、読書会の魅力だと思います。
【サイト内のコンテンツの転載を禁止します】