
初版:2009年3月1日
出版社:新潮社
著者:山田 豊文
「細胞から元気になる食事」健康はイメージ産業ではない!
さっそくですが、皆さんに問題があります。
1970年と97年と比べると、130倍になったものがあります。それは、何でしょうか?
130倍とは、かなり大きな数字です。30年弱で130倍…、思いつきますか?
正解は、心筋症の死者数です。
心筋症の死者数は、30年弱で130倍にもなっているのです。驚くべきことに、心筋症以外にも多くの病気で、死者数が急激に伸びているのです。
本書には、このように書かれていました。
まず生活習慣病に目を向けると、1970年と97年を比較した場合、心筋症の死亡者数がなんと130倍に達し、1950年と比較した場合は、前立腺がん、肺がん、脳梗塞がそれぞれ75倍、40倍、25倍を超えるという異状な数字が示されています。
では、心筋症やガン、脳梗塞が”いきなり”出現した原因は何でしょうか。「国民栄養調査」をみると明らかなのですが、今の日本は肉や牛乳、乳製品、油脂類の摂取量が50年代と比べて非常に多くなっており、特に牛乳や乳製品は突出していることがわかります。
まとめると、
・70年と97年
心筋症の死者数が130倍
・50年と97年
前立腺がんの死者数が70倍
肺がんの死者数が40倍
脳梗塞の死者数が25倍
となっているのです。そして、その間に肉や牛乳、乳製品、油脂類の摂取量が増加していることも指摘されています。
牛肉や乳製品と聞くと、体に良さそうな印象があり、がんや脳梗塞、心筋症の原因とは無縁な感じがします。ところが、実はそんなに簡単ではないのです。本書では、こんなメカニズムが書かれています。
タンパク質の構造は非常に複雑であり、その分解や代謝に多くのエネルギーを必要とするため、炭水化物や脂肪に比べると体に負担をかける、効率の悪い燃料です。また炭水化物や脂肪は、エネルギーとして使われた後は最終的に水と二酸化炭素だけになりますが、タンパク質からはアンモニアが発生します。非常に毒性の強い物質であるアンモニアは、肝臓で毒性の低い尿素に変えられます。その後、血液中の尿素は腎臓で濾過され、最終的に尿として排泄されます。つまりタンパク質をとりすぎれば、肝臓や腎臓に大きな負担がかかるのです。
牛肉や乳製品の摂取量が増え、タンパク質代謝が増えることになります。そうすると、体に負担がかかるらしいのです。
特に日本人は、欧米人に比べて腸が長いです。そのため、タンパク質の代謝異常で便が腐敗してしまっても、すぐに排出することができないという特徴があります。そのため、欧米人には何の問題もない食生活でも日本人には悪影響が出ます。
そう考えると、イメージがいい食べ物でも実は体に悪いということがあるようです。イメージではなく知識で判断する必要があります。
「細胞から元気になる食事」最高の健康を手にいれる
生活習慣病で苦しむのは嫌
肩こり、便秘、冷え性、花粉症などから解放されたい
最高のパフォーマンスで、冴えた毎日を過ごしたい
多くの人は、「病気ではない」状態を望んではいないと思います。そうではなく、最高に健康な状態を望んでいます。
では、最高の健康を手にいれるには、どうしたらいいのでしょうか?本書から引用します。
私は、現代の日本の老若男女すべての人が、食を根本から見直すことで体が本当に求める食べ物を見いだし、取り入れるという食の改革を、緊急に行う必要があると考えています。
その理由を端的に言えば、これは、私たちが生まれながらにして持っている生命体としての優れた機能を、効率よく、正しく、最高に機能させる唯一の絶対条件だからです。私たちの多くがその必要性を認識していないばかりに、不本意にもケガや病気のせいで貴重な人生を充実させることができないまま、一生を終えるからです。
まず、健康の定義から紹介します。健康とは、生命体としての機能を最高に機能させること説いています。そして、そんな健康を手にいれるには、食を根本から見直すことが必要になります。
ただし、誤解しないでください。日々の食事も大切ですが、食事だけでは根本的な改善策にはなりません。なぜなら、食事を徹底しても、十分な栄養素をとることはできないからです。
著者曰く、それには3つの理由があります。それが、この3点です。
①同じ食品でも栄養素の量が減少している
②生活環境の悪化により、重金属や環境ホルモン、食品添加物に晒されている
③緊張やストレスの連続、生活リズムの乱れなど
つまり、①体に負担のかかる食事は控える。その上で、②良質なサプリメントを摂る。これが、著者の主張する最高の健康を手にする方法です。
「細胞から元気になる食事」でわかるサプリメントの選び方
皆さんはサプリメントをどんな基準で選びますか??
もちろん、「健康になる」サプリメントを選びますよね。そして、その次に予算があって具体的に商品を選ぶと思います。
では、なぜサプリメントで健康になれるんでしょうか?
サプリメントで健康になるというのは当たり前に聞こえるかもしれません。ところが、その背景には確固たる学術的根拠があります。
サプリメントを選ぶ基準の前に、その背景にある学問思想を紹介したいと思います。
1953年に、ジェームス・ワトソンとフランシス・クリックの両化学者により、生命の設計図であるDNAの構造が発表されて以来、全身60兆個の細胞レベルで何が行われているのかということが、次第に明らかになっていきました。そういった時流の中で、病気になったり、体調を崩したりする根本的な原因は、細菌やウイルスといった外部から侵入してくる「異物」にあるのではなく、私たち自身にあるのではないか、という考え方が生まれました。要するに、ひとつひとつの細胞で行われていることに何らかのトラブルが発生し、体が正しく働かなくなるから病気になるのだ、ということです。鍵は「細胞の変性・退化」にありました。
その細胞の変性や退化を生じさせる代表格が「活性酸素」です。細胞は、酸素を使って炭水化物や脂肪などを燃やすことでエネルギーを作り出していますが、この際に必ずフリーラジカル、つまり活性酸素という分子が発生します。エネルギー生産がスムーズで、細胞が正しく働いていれば、そこで発生した活性酸素は体の中で有効利用され、また不要なものは速やかに処理されます。
ところが、エネルギー生産が円滑に行われなくなったり、細胞の機能のどこかに狂いが生じたりすると、活性酸素が大量発生し、適切な処理も追いつかなくなります。こうなると、活性酸素はやっかいなものでしかなくなり、細胞に対して深刻なダメージを与え始めるのです。
ライナス・ポーリング博士はそんな活性酸素の性質に注目し、ビタミンCによって活性酸素の害が抑制できること、同時に、活性酸素障害によるさまざまな健康上のトラブルにビタミンCが有効であることを発表しました。そこからさらに発展し、ポーリング博士が自ら命名したのが「orthnomolecular medicine」、るまり分子整合医学です。orhoは正しい、まっすぐな、という意味の接頭語、molecularは分子で、日本語では正常分子医学や分子矯正医学とも訳されます。細胞の変性や退化を未然に防ぎ、60兆個全ての細胞が正しく機能するためには、食べ物から必ず得るべき50種類弱の栄養素を過不足なく摂取し、なおかつそれらがきちんと細胞に届けられ、利用される必要があるー分子整合医学はこのようなコンセプトのもとに誕生し、今日まで研究が進められてきたのです。
人が栄養によって健康になるという学問を分子整合医学と言います。この分子整合医学の中に、とても有名な抗酸化の理論も存在しているのです。
そのため、サプリメントで人を健康にしようとした場合、すべからくこの分子整合医学が根拠になっているはずなのです。
では、分子整合医学から現代人を見た場合、何がポイントになるでしょうか?
本書では5つのポイントが紹介されていました。それが、こちらです。
①体内のミネラルバランスを維持する
②体内の脂肪酸バランスを維持する
③体のサビ止め(抗酸化物質)を十分にとる
④食物酵素を十分にとる
⑤腸と肝臓の健康状態を高める
つまり、この5点がサプリメント選びの基準となります。具体的なミネラルのバランスや、どんな脂肪を控えたり摂取したりすべきかは本書を読んでください。
ただ、言えるのは、世の中のサプリメントには科学的な背景思想のない製品が多いということです。
例えばコラーゲンを摂取するサプリメントを考えてみてください。この5点の何に当てはまるでしょうか?何にも当てはまりません。
ヒアルロン酸も当てはまりませんし、ブルーベリーもセサミンも当てはまりません。
もちろん、コラーゲンもヒアルロン酸もブルーベリーやセサミンも重要な働きをする成分だと思います。しかし、それをサプリメントでとることで健康になるという、学問的な背景思想がないのです。
真面目に科学的根拠をもって作ったサプリメントというのは、どうやら非常に貴重なようです。ぜひ、上記のポイントを参考にサプリメントを選んでみてください。
初版:2009年3月1日
出版社:新潮社
著者:山田 豊文