
初版:2009年10月16日
出版社:ダイヤモンド社
著者:本田 直之
意思決定力不足という落とし穴があった…
意思決定力、聞いたことありますか?
おそらく、初めて聞くと思います。
意思決定はよく使われる言葉です。でも、意思決定する力を、そんなに重要視したことはないんじゃないでしょうか?
わたしも、本書を読むまでは、意思決定力を意識したことはありませんでした。
ところが、本書ではその意思決定力の重要性について時代の変化とともに解説されています。
パーソナルなことに関しても、少し前の世代までは「そろそろ適齢期だから見合いをして結婚しなさい」「子どもが生まれたらみんな家を買うから、あなたも住宅ローンを組みなさい」などと、まわりがおのずと決めてくれるケースが多々ありました。
つまり、一人一人は自分で決めているつもりでいても、実は流されて人生を決定していた時代。それで特にトラブルも起きなかった時代が、あまりに長く続いていたのです。そのうちに単一思考に陥る人が増加し、いつのまにか、まったくのゼロベースで意思決定することができない人が増えてしまったのでしょう。
ところが周知のごとく、今やビジネス面でもパーソナル面でも、自分自身が意思決定しないことには淘汰されてしまう時代となりました。
意思決定をしないとは、もはや無意識に「チャンス」を見送っていること。それどころか、将来に向けて自ら「リスク」を育てる行為といっても過言ではありません。
つまり、「みんなと同じ」判断では幸せになれない時代になったということです。そのため、意思決定力が求められるようになったのです。
では、意思決定力が欠如していると、どうなるのでしょうか?
本書に書かれていたので、引用します。
少し考えれば、想定内のことというのはたくさんありますし、ことに人生にかかわる意思決定は、極力長いスパンでできるようにコントロールすべきです。
必要に差し迫られて転職する、結婚する、家を買うーこういった行為は、人生の「衝動買い」と同じです。買い物なら失うものはお金だけですが、人生の衝動買いのリスクが想像以上に大きいことは、もうおわかりでしょう。
はい、そうです。意思決定力が欠如していると、人生の衝動買いをしてしまうのです。
これは恐ろしい…
服や雑貨を衝動買いしてしまっても取り返しがつきますが、転職や結婚、家の購入などは人生の方向性を決めてしまいます。取り返しのつかない判断となります。
意思決定力の強い人?弱い人?そして高め方
意思決定力の強い人って、どんな人なんでしょうか?
それは、インディペンデント思考がカギになるそうです。つまり、最後に責任を取るのは自分であるという意識がある人は意思決定力が強いようです。
逆に自分に責任があるという意識がない人は、意思決定力が弱くなります。本書には、こんなことが書かれていました。
しかし、他人に依存した意思決定では自信などなく、実行過程で生まれる不安にいちいちゆらいでしまいます。人任せの準備と根拠だったためですが、これでは仮に正しい判断がなされていても、良い結果に結びつくことはないでしょう。
もっとまずいのは、最終的にうまくいかなかった場合、ちょっとしたつまずきでも「あの人は、間違ったことを言っているのではないか?」とアドバイザーを疑っていた人は、もし失敗すると、「悪いのはあいつだ。あんなやつの言うことを信じたせいで、成果が出ないばかりか大損害だ!」という被害者じみた考えにおちいってしまいます。これは、失敗の要因を外部に求める「外部要因思考」にほかなりません。
うまくいかない理由をアドバイスしてくれた人や環境に求めても、何一つ改善することはできないのです。他人や環境を自分の力で変えるなど不可能ですし、アドバイスはしょせんアドバイスであり、最終的に判断した自分に責任があることはいうまでもありません。
人のせい、環境のせい、何かのせいにしていては、どんな意思決定もうまくいきません。確かに、何でこんな被害妄想に囚われてるんだろう?って人はいますよね(笑)。
例えば、大学受験に落ちた時に予備校のせいにして批判するような人です。でも、それではいけないということです。
では、いい意思決定をするためには何が必要なんでしょうか?いい意思決定のためのコツも紹介されていました。
わたしが見たところ、「うまく意思決定をしている人たち」というのは、事前に時間と労力をかけ、準備をぬかりなくやっているようです。情報収集にきちんと「投資」しているからこそ、いざというときスムーズに意思決定ができるのです。
情報のインプットなど何もせずにいたら、「ハワイでどの家を買うか?」というのは単なる勘で決めなければなりません。運が良ければ、すばらしい物件にめぐり合えるかもしれませんが、運が悪ければ「こんなはずじゃなかった…」という後悔とローンに縛られるはめになります。勘で決めてもうまく確率はそう高くないービジネスでもパートナー選びでも、同じことだと思います。
はい、いい意思決定には情報収集への「投資」が必要なようです。
確かに、いい買い物をする人って必ず事前に情報収集をしています。一方で、無駄遣いの多い人は「運命的な出会い」を理由に散財しているように見えます(笑)
運命的な出会いではなく、計算された意思決定のために情報収集に投資するのがいいですね。
そして、収集する情報はプラスの面に限りません。むしろ、マイナス面の情報の方も大切なようです。
できる限り客観的に意思決定するためには、プロコンのうち「コン」のほうを徹底して追求することが大切です。
人は良くないことからは、目をそらしたくなる生き物です。
「やっているうちに、なんとかなる!迷っているよりは、見切り発車でとにかくスタートしたほうがいい」
こんな発想で走り始めてしまうのも、問題を直視するプロセスが、ある種「しんどい」からにほかなりません。
デメリットを精査せずに意思決定する人はとても多いのですが、どんなにリカバリー力がある人でも、取り返しのつかない過ちを犯すリスクが高くなります。そこで徹底した「コン」が大切になってくるのです。
では、最後にどうすれば意思決定力を高めていけるんでしょうか?その方法を紹介したいと思います。
どれだけ矢面に立つ経験を積んでいるかが、その人の意思決定力の強さも、ビジネスパーソンとしてのスキルも決めるのではないかと考えているのです。
できる限り意識的に、矢面に立ちましょう。あなたが若手のビジネスパーソンであれば、いきなり大きなプロジェクトの責任者にしてほしいといっても難しいでしょうから、最初は小さなものでもかまいません。
「この案件については、僕の責任で預からせてください」といった具合に申し出るのも、れっきとしたに立つ行為。また、顧客からのクレームなどに「これはわたしにお任せください」と正面から対峙するのも矢面に立つ練習になります。
「小さな経験なんてしなくていい」と練習をさぼっていると、やがて本当に大きな意思決定をせざるを得ない場面に直面したとき、何の蓄積もなく、あたふたするはめになります。
初版:2009年10月16日
出版社:ダイヤモンド社
著者:本田 直之