
初版:2015年9月30日
出版社:日本実業出版社
著者:藤原 和博
本を読む人だけが手にするものは、こんな人にオススメ
1.読書好きな人
2.読書の価値を知りたい人
3.これから読書の習慣をつけたい人
本を読む人だけが手にするものの内容
1.読書の価値
2.なぜ、21世紀に読書が必要なのか?
本を読む人だけが手にするもので、21世紀は読書の世紀だと理解した!!
まず、本書では読書の価値を伝える前提として、「時代の変化」を説いています。そして、20世紀と21世紀では根本的にパラダイムが異なると主張しているのです。
20世紀と21世紀では、どのように異なるのでしょうか?本書から引用して解説したいと思います。
20世紀型の成長社会で人生を謳歌してきた人々は、独自の幸福論をあまり真剣に考える必要がなかったのだからしかたない。
彼らは、定年時に住宅ローンが残っていても、確実に出る退職金で一気に支払うことができた。つまり、退職するまでの会社人生で「一回あがり」ができる幸福論があったのだ。それに疑いを挟む余地がなかったので、定年までは会社とともにあればよかったのである。
いっぽう彼らの定年後のイメージは、たとえば畑仕事に精を出すとか、蕎麦打ちに精を出すとか、郊外にペンションを構えるというような「第二の人生」を計画することだった。
ところが、もはや、国家と企業にはそうした幸福論を保証する能力がないことがバレてしまった。それぞれ一人一人が自分自身の幸福論を編集し、自分オリジナルの幸福論を持たなければならない時代に突入したのである。
つまり、20世紀は会社や国が幸せを提供してくれた時代であったということです。ところが、21世紀は会社や国が幸せを提供してくれる時代ではありません。
その変化を、著者はジグソーバズル型からレゴ型への移行と説明しています。
どういうことでしょうか?再び、本書から引用してみます。
序章で触れた「20世紀型の成長社会」から「21世紀型の成熟社会」への移行をわかりやすくいうと、「ジグソーパズル型思考」から「レゴ型思考」への転換と言い換えることができる。
ジグソーパズルでは、美しい風景写真やディズニーアニメなどの完成図(正解)があらかじめ設定されている。その正解を、簡単なものでは数十ピースに、難しいもので数千ピースに崩してから元に戻す遊びだ。
1つ一つのピースには、たった1か所の正解となる場所が決まっていて、代わりに置くことのできる場所はない。仮に間違えて置いてしまうと、本来そこに置くべき正しいピースの行き場所がなくなる。当然、ジグソーパズルを完成できない。
20世紀の日本の教育は、たった1つの正解を早く正確に導き出し、パズルをだれよりも早く仕上げられるような少年少女を大量生産することを目指してきた。
さらに、レゴ型の説明も見てみましょう。
反対に、レゴブロックの組み上げ方は、知恵を出せば無限に広がる。
つくり手のイマジネーションしだいで、家をつくることもできれば、動物園をつくることもできる。壮大な街並みをつくることもできれば、地球を飛び出して宇宙ステーションをつくることもできる。みんな一緒の正解はない。一人一人が、自ら納得する解(納得解)をつくり出すことができるかどうか。それがすべてだ。
つまり、20世紀と21世紀の違いは「正解を探す時代」と「納得解を作る時代」の違いなのです。
そして、その納得解を作るために、著者は読書が必須だと述べています。
なぜ、読書で人生の納得解を作ることができるのでしょうか?
理由は、読書で人生の鳥瞰図を得られるからだと書かれています。一体どういうことなのか、引用してみたいと思います。
しかし、本を読むことが生活の一部となるようになって、私のなかである変化が起きた。それは「人生の鳥瞰図」が見えるようになったことだ。
もちろん、鳥瞰図を獲得しようと思って本を読んだわけではない。結果的に、読書を重ねて他人の脳のかけらをつないでいくうちに、鳥瞰図が現れたと言ったほうが近い。
人間にはみんな、どこかに欠落している部分がある。しかし、多くの人は、その欠落している部分がいいたい何であるのか、わかっていない。実社会でなんとなく生きているだけでは、なかなか気づくことはできないのだ。
どうしたらその欠落している部分に気づくことができるのか。おそらく、そのヒントは本のなかにある。
さらに、このように続きます。
読書によって、さまざまな人物の視点を獲得していける。つまり、巨大なロールプレイングをすることができる。そうしたシュミレーションを繰り返すことで、人生を鳥瞰図として見られるようになるのだと思う。
人生を地平から見ているだけでは、いま進んでいる1本の道しか見えないのに対し、鳥瞰図の視野を手に入れれば、その横に走っている別の道が見えるようにもなるのだろう。
はい、分かっていただけたでしょうか?
人生には当然ですが、山があり、谷があります。そして、普通に人生を生きていくと、目の前にそびえ立つ山で視界がいっぱいになります。
その先に、谷があるのか断罪絶壁が待っているのかが分かりません。そのため、多くの人は何となくの不安にかられます。
ところが、人生の鳥瞰図を手にすると、俯瞰して人生を見ることができるようになります。
そうすると、目の前の山を乗り越えたら、どんな人生が待っているのか?が分かるようになります。それだけでなく、人生がどこに進んでいるのかも分かります。
また、少し視野を広げると、他にどんな人生が存在しているのかも見えてくるようになります。
そうすると、自分の人生を納得して選択することができます。なぜなら、選択した人生にどんな山や谷が待っているのか?そして、どこにたどり着くのか?が分かるようになるからです。
では、一体どれだけ読書をすれば、人生の鳥瞰図を得ることができるのでしょうか?
その答えも、本書に書かれていました。
それでも、大学卒業とともに入社したリクルート時代は面白い企画を考え出し、それを効果的にプレゼンし、実際に成果をあげていた。
しかし、世の中に対する意見や人生に対する仮説を持つことはできなかった。ようやくそういうものが出てきたのは、30代を超えてから一念発起して読書を始め、300冊を超えたあたりからだった。
あらためて思うのは、読書を通じて知識のインプットを蓄積していかないと、自分の意見というものが出てこないという事実だ。
つまり、300冊が1つの目安です。
累積の読書冊数が300冊を超えたら、人生の鳥瞰図を得て、仮説・意見を持つことができるようになるそうです。
ぜひ、皆さんも300冊以上の読書数を目標にしてみてください。
ところが、300冊というとハードルが高すぎる…という人もいると思います。
これから読書の習慣を作るという方は、300冊を目標にしても挫折してしまうと思います。
そんな方にも、著者からのアドバイスがありました。ぜひ、読んでみてください。
最後にお伝えしたいのは、ただ単に本を読んで、インプットすることだけをやっていても、読書の習慣は身につかないかもしれない、ということだ。
アウトプットの前提のないインプットでは、途中でだれるし、何より飽きる。なんとなく文字を目で追うだけになってしまい、読んだつもり、ということになりがちだ。
これは子どもに限ったことではない。大人でも同じだ。出口(目的や目標)のない読書は、その行為に意味を見出せなくなりやすい。だからこそ、本はただ読むだけでは終わらせないほうが習慣が続く。しかも、もうちょっと楽しい。
これは、もう読書会に参加してくださいということですね(笑)
アウトプットの場を持つことは、わたしも大切だと思います。ぜひ、読書会もうまく使いながら、読書の習慣も身につけてください。
初版:2015年9月30日
出版社:日本実業出版社
著者:藤原 和博