
初版:2016年10月01日
出版社:小学館
著者:野村 克也
野村の遺言は、こんな人にオススメ
1.野球好きの人
2.野村監督の考え方を知りたい人
野村の遺言の内容
1.野村克也氏の成功哲学
2.現役時代、監督時代の裏話
3.いまのプロ野球に対しての提言
野村の遺言が、プロで生き抜く秘訣を教えてくれた!!
安打:歴代3位
ホームラン:歴代2位(本塁打王:9回)
打点:歴代2位(打点王8回)
出場試合:歴代1位
打席:歴代1位
犠飛:歴代1位
ベストナイン:歴代1位
オールスター:歴代1位
呆気にとられてしまうこの数字は、野村克也氏の成績です。日本プロ野球史上最高の名捕手です。
しかし、この野村克也氏は注目のルーキーとしてプロになったわけではありません。まったくの無名選手として入団し、一度はクビも宣告されています。そんな中、這い上がり、一軍に定着した選手なのです。ご自身でも才能に恵まれた選手ではなかったと語っています。
では、なぜ野村克也氏はプロで生き残り、活躍することができたんでしょうか?
本書に、こんなことが書かれていました。
自慢するわけではないが、私は二十四時間、野球が頭から離れなかった。土曜と日曜はパ・リーグはデーゲームで、巨人戦はナイトゲームだったから、自分の試合が終わってから必ずテレビ中継を観戦していた。そうして自分がキャッチャーになったつもりで、王や長嶋の攻略法をイメージしていた。
V9時代の巨人の正捕手だった森も、控え時代から進んでブルペンで別所毅彦さんらのボールを受け、誰がどんな球種を持っているのか、特徴は何かを探り、ならば試合ではどのようにリードをすればいいのか、徹底的に考えたという。ベンチにいても、自分が試合に出ているつもりでリードをシュミレーションしていたそうだ。と同時に、相手チームのバッターの特徴、長所や短所、クセをチェックし、逐一メモにしていったそうだ。
そして、このように続きます。
知識欲や問題意識は、自分が無智無学であることを自覚することから生じる。自分が何も知らないと自覚すれば、おのずと貪欲な向上心と探究心、「なんとかしてやる!」という執念、「こうなりたい」という希望が生まれるからである。そして、知識が高まれば高まるほど、あらためて自分の無智無学を自覚させられ、さらなる問題意識が呼び覚まされる。
大切なのは、「我以外皆我師」「森羅万象皆師」という気持ちを忘れずに、つねに「なぜ?」を自分自身に問いかけることだ。そうした疑問符の積み重ねが進歩となるのである。
向上心と探究心を持ちづづけること。これが、野村克也氏の成功の秘訣だったのです。
そして、さらにその向上心の強さを伺える教えが書かれていました。それは、敗戦について原因を考えるという話です。
負けたときは謙虚になり、徹底的に敗因を追求した。すると、試合をしているときには気づかなかった発見がたくさんあった。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
私はよく口にする。勝利の中には、幸運や相手のミスによって転がり込んでくるものもある。しかし、敗戦には必ず理由がある。偶然のように見えても、アンラッキーに見えたとしても、そこにいたるまでのどこかに、必ずそうなった理由があるはずなのだ。
武田信玄も言っている。
負けまじき軍に負け、亡ぶまじき家の亡ぶるを、人みな天命という。それがしに於いては天命と思わず、みな仕様の悪しきが故と思うなり
わたしなんかは失敗すると、その事実から目をそらしてしまいがちです。自分を正当化したくて、なぜ上手くいかなかったのかなど考えたくありません。
失敗した原因を考えるのは、自分の傷口をわざわざ開いてじっくり観察するような痛みが伴います。それでも、野村克也氏は敗戦に対しても探求する姿勢を変えないのです。
なぜ、そんなにも向上心を持ち続けることができたのでしょうか?
その理由はも書かれています。
多くの人は、努力をすればすぐに好結果が出ると誤解している。しかし、努力に即効性はない。すぐに結果に結びつくことなどまれだ。結果が出ないと苦しいし、もしかしたらこのままでいいのかと不安にも苛まれる。だから、多くの人は結実する前に努力することを放棄してしまう。
しかし、努力は裏切らないのも事実である。いつかは必ず実を結ぶ。だからあきらめてはいけない。そして、あきらめないためにも、「こうなりたい」という目標をもつことが大切なのだ。
「自分は何のために野球(仕事)をしているのか」
自分自身に問いかけ、目標を明確にすることが意識を変え、努力を促し、運命を変えることになるのである。
目標を明確にすることが意識を変え、運命をも変えてしまう。野村克也氏から聞くと、その言葉に重みを感じます。
小さなことで浮き沈みする情けない自分を反省しました。
初版:2016年10月01日
出版社:小学館
著者:野村 克也