
書籍名:ペコロスの母に会いに行く
著者名:岡野 雄一
出版日:2012年7月7日
出版社:西日本新聞社
内容・要約
漫画家の岡野雄一氏が認知症になったお母さんの日常を描きます。亡くなったご主人との日々や、幼い頃になくした子供のことを思い出し、涙することもあるお母さん。そんなグループホームで過ごすお母さんのお茶目な行動や心のつぶやきを、子供である作者の目線で、時には母の気持ちの代弁として描いた作品です。
印象に残った箇所
忘れることは、悪いことばかりじゃない。母を見ていて、そう思います。
※あとがきで、作者がこの本の出版に至った経緯が書かれている箇所にある言葉です。
所感
年を取ると、昔のことを思い出す人も多いようです。出会った人々のことや出来事を思い出し、懐かしさや悲しみが、また、楽しかった出来事が蘇ってくるそうです。ペコロスの母の、目に見えないご主人との会話や、亡くした子供への言葉は素直で優しい愛情があり、また、可愛らしく微笑ましいのですが、それと同時に、涙が止まらなくなります。一生懸命生きてきた一人の女性の人生に触れてしまったように思います。認知症は、介護する側にとっては大変な苦労を強いられるのですが、このペコロスの母にとっては、過去の出来事を一つずつ昇華していくための病気なのかもしれません。そして、たとえ自分でできることが少なくなっても、頑張って生きていると思うのです。