書籍名:シズコさん
著者名:佐野 洋子
出版日:2008年4月25日
出版社:新潮社
内容・要約
『100万回生きたねこ』の著者・佐野洋子さんによる、母娘の葛藤の記録です。幼少期の虐待に始まる長きに渡るキツイ親子関係。ヨーコさんは母・シズコさんの様々な美点と欠点を淡々と並べながら、終わることのない反抗期を振り返ります。時に母を愛せない娘である自分を責めながら葛藤が描かれています。。しかしシズコさんが呆けはじめまるで子どもに還っていくようになると、ヨーコさんの心境にも変化が訪れるのでした。
印象に残った箇所
「わァ、すげえ、私母さんの足さすっている、さすっている、さわっている、さわっている」と心の中がずっと云っていた。
私は母に子供の時からなでられたり、抱きしめられたりした事がなかった。
四歳位の時、母が私の手をふりはらったときから、私は母の手にさわった事がない。
私は母に子供の時からなでられたり、抱きしめられたりした事がなかった。
四歳位の時、母が私の手をふりはらったときから、私は母の手にさわった事がない。
所感
シズコさんが”ごめんなさい”と”ありがとう”をヨーコさんに言わなかったことへの恨み。しかしヨーコさんもまた、シズコさんにこの言葉が言えなかったのでした。この二言が二人の間に溢れ出る瞬間の描写の清々しさ、何度読んでも胸にこみあげるものがあります。
濃密な関係だからこそ敢えて口に出すのが難しくなる言葉がある。何かで思い悩んだとき、この本から得たものを思い出すでしょう。
濃密な関係だからこそ敢えて口に出すのが難しくなる言葉がある。何かで思い悩んだとき、この本から得たものを思い出すでしょう。