簡単に分かるクレジットカードの仕組み
恐らく、ほとんど全員の方が日常的にクレジットカードを使っていると思います。
そこで質問ですが、クレジットカードの仕組みはご存知ですか?
私は決済系の会社にいたので、ぼんやりとイメージがあるのですが、実はよく分かっていませんでした。
そこで、自分が使っているクレジットカードで、その仕組みを考えてみたいと思います。価格コムが出している「REXカード」というクレジットカードです。
ちなみに、私が調べた限りで最高の還元率(1.75%)で、ポイントは現金還元と最強です。年会費も一定以上の金額を利用すれば無料になります。
さて、そんなREXカードの宣伝は置いておいて、まず気になるのがブランドです。ブランドはVISAです。そして、発行しているのはジャックス社という信販会社であり、でもカカクコム社がカード会員を募集している…。
もう、よく分からないです(笑)
誰が誰に対して手数料を支払って、成り立っているんでしょうか?
そこで、各プレーヤーをまとめてみると、このような関係にあるようです。
- アクワイアラ:カードを利用できる店舗の開拓とカード会員の獲得
- イシュア:カード会員にカードを交付、ポイント等のサービスを提供
- カードブランド:VISA、JCB等のことで、イシュアに決済機能を提供
つまり、REXカードの例で具体的に考えてみます。
- カード会員:私のような一般消費者
- 加盟店:ユニクロ、和民のような一般の店舗
- アクワイアラ:カカクコム社
- イシュア:シャックス社
- カードブランド:VISA
と、こんな関係になっているようです。もう少し噛み砕いて、推測を交えて関係性を説明します。
- カカクコム社:価格.comで得ている知名度や店舗の資産を生かして、カード会員を獲得。そして、カード利用店舗を次々と開拓。
- ジャックス社:信販会社としてのノウハウ(与信etc)を生かして、カード発行。また各種サービスと提携してポイントをユーザーに還元するサービスを提供。
- VISA:ブランドを提供。
こうした構造になっているのだと思います。クレジットカードは各社の強み(ノウハウや資産)を生かした連携プレーなわけですね。その分、一般ユーザーには仕組みが見えにくくなってますね。
ちなみに、豆知識ですが、日本ではお店でカードを使っても現金で買っても、金額が変わりません。これは店舗が手数料をイシュアに支払っているからです。イギリスではカード会員、つまり我々のような人間に手数料を課すことが認められているので、現金とカードでは金額が異なります。
クレジットカード発展の歴史
第二次世界大戦後のアメリカは消費ブームに沸いていました。1950年にダイナースクラブがクレジットカードを開始して以来、10数種のクレジットカードが発行されていました。
ところが、広範囲で利用できるものがなく、一般の消費者は何枚ものクレジットカードを店舗ごとに使い分ける必要がありました。そのため、毎月何枚もの請求書が届く不便な状態でした。
その時に、クレジットカード事業に参入してきたのがバンク・オブ・アメリカ社でした。
ところが、バンク・オブ・アメリカ社のクレジットカード事業は順風満帆にはいきませんでした。大失敗からスタートしていきました。
実験的にスタートした際に、滞納者が予想を遥かに上回り、更にクレジットカード詐欺に見舞われて巨額の損失を出しました。その金額、約2000万ドルです。現在の貨幣価値で言うと、約720億円です。
一般消費者の小規模与信を取るというのは、本当に難しいのです。法人ではあり得ないような詐欺が発生するからです。しかし、与信にコストを掛けすぎると、利益を圧迫してしまいます。
バンク・オブ・アメリカ社は初期の損失を乗り越えて、クレジットカード事業を軌道に乗せていきました。こうした事業は立ち上げ時は必ず赤字がでますが、初期を乗り越えれば、好循環に入っていきます。
一旦、加盟店が増えてくると、一般消費者にとって便利なクレジットカードと認知されます。その結果、カード会員が増加します。そして、カード会員が増加してくると、多くの店舗が顧客獲得のため加盟店となります。
つまり、ネットワーク効果で加盟店もカード会員も、次々と増えていくのです。その結果、バンク・オブ・アメリカのVISAは世界最大級のクレジットカードとなったのでした。
つまり、まとめると以下のようにバンク・オブ・アメリカ社はVISAという世界最大級のクレジットカードを築き上げていったのです。
- ダイナース社の世界初のクレジットカードは店舗毎に使い分けなければならない不便な欠点があった。
- バンク・オブ・アメリカ社は巨額の損失に耐えて、加盟店を拡大。
- 横断的に加盟店を抱えるバンク・オブ・アメリカ社の利便性の高いクレジットカードにカード会員が集まる。
- カード会員が多いバンク・オブ・アメリカ社のクレジットカードに、加盟店数も加速度的に増加。
- ネットワーク効果でVISAは世界的なクレジットカードに。