「生産性」を実践して結果の出るチームになった!!

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生産性

初版:2016年11月25日
出版社:ダイヤモンド社
著者:伊賀 泰代

チーム改革には生産性が必要

  • 部下にサービス残業をさせてでも成果を極大化する
  • 自分が残業や休日出勤をして成果を極大化する
  • できない社員を育てるより、できる社員に大量の仕事を割り振る
  • 自分の裁量で採用できるバイトや派遣社員を増やす
  • 部下が育児休暇や有給休暇を取得することを好ましく思わない
  • フルタイムで働けない人が自部門に配属されることを嫌がる

こんな上司に悩まされていませんか?また、あなたがこのような行動をとっていませんか?

猫

この方法では一時的に成果を上げることはできても、遠からず限界が訪れます。部下はどこかの時点で「これ以上は無理」と感じ始めるし、管理職が自分の時間を投入して穴埋めを続けていたら、心か体かのいずれかを壊してしまいます。労働力の追加投入によって成果を上げ続けるのは、持続可能な方法ではないのです。

このような状態ではチームをよりよくしていくことは困難です。徐々に疲弊して、成果を落としていくことになります。では、チームを変革するには、どうすればいいのでしょうか?

答えは、生産性を上げることです。

生産性=アウトプット÷インプット

このように本書では定義されています。アウトプットとは成果物で、インプットとは投入された資源量です。つまり、生産性とは成果物と、その成果のためにどれだけの資源を投入したかの比率なのです。そう考えると、より多くの労働力を投入して成果が上がったとしても、生産性は向上していません。

では、チーム変革に、なぜ生産性が必要なのでしょうか?それは、イノベーションを生むためです。

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生産性の高いチームであればあるほど、イノベーションが生まれます。本書には、その理由について、こう書かれていました。

組織全体が生産性の向上に意識的になることこそが、イノベーションを生みやすい組織風土をつくるのです。
というのも、組織全体で生産性の向上に取り組めば、イノベーションに必要なふたつの要素、すなわち、「Time fo innovation」と「Motivation for innovation」が生み出されるからです。

生産性の高い組織がイノベーションを生み出す理由は、2つです。投資時間と、意欲(原動力)です。まず、投資時間から見ていきましょう。

最初に必要となるのは「イノベーションのための時間的な余裕」です。生産性が軽視される組織では、社員は長時間の残業を強いられるなどオペレーショナルな業務(定型的な作業)に忙殺され、新しいアイデアや試みに投資する時間や資金、そして気持ちの余裕を十分に確保できません。特に事業の拡大期にはオペレーション業務が急増するため、意識的に生産性の向上に取り組まない限り、次の飛躍のための投資時間は足りなくなりがちです。

つぎに、意欲(原動力)について、見ていきましょう。

ビジネスイノベーションを起こすためには、社員に「問題認識力=課題設定力」と「その問題を一気に解決したいという動機づけ」をもたせることが不可欠になるのです。これがまさに「Motivation for Innovation」であり、そのために大きな役割を果たすのが「生産性という概念を日常的に、強く意識させておくこと」なのです。

どういうことかと言うと、いままでと同じ成果を半分の時間で上げられないか?いままでと同じ時間で、成果を50%増にできないか?とより高い生産性を意識することが、イノベーションを生み出す原動力になるということです。

まとめ

チーム変革には、生産性の向上が必要です。なぜなら、生産性の高いチームはイノベーションを生むことができるからです。

それには2つ理由があります。

少ない業務量で、いままでと同じ成果を上げられると時間的余裕が生まれます。これがイノベーションを生む投資時間になります。

また、格段に生産性を上げようと意識することで、イノベーションを生み出そうとする意欲(原動力)も高めることができます。

チームの生産性を高めるには?

チーム変革に、生産性の向上が必要であることは述べました。次は、どのようにしてチームの生産性を向上させればいいのか具体的な方法を紹介します。まず、ポイントが3つあります。

  • チーム目標を持つ
  • 人材を育てる
  • ノウハウの標準化

それぞれについて、解説していきます。

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チーム目標を持つ

チームの生産性向上のために管理職が掲げるべきゴールについて書いておきます。それは、「常に3割と3%というふたつの生産性向上を目指す」ということです。
第1章で、生産性を上げる方法にはインプルーブメント(改善)とイノベーション(改革)のふたつがあると書きました。3%の生産性向上はインプルーブメントによって達成すべき目標で、3割のほうはイノベーションによって達成すべき目標です。

本書には、こう書かれていました。

30%と3%という2つの生産性向上を目指す

チームで、この目標を掲げることが、まず大事です。なぜなら、意識せずに生産性が向上することなど、ありえないからです。

たとえば、歯磨きを思い浮かべてみてください。昨日も歯磨きをしたと思いますが、1年前も5年前も10年前もしていたのではないでしょうか?

10年以上も毎日継続している行動だと思いますが、10年前から歯磨きは上達していますか?おそらく、上達していないでしょう。なぜなら、多くの人は歯磨きを改善しようとは考えないからです。

では、歯磨きの生産性を3%上げると目標を立てたらどうでしょうか?

まず、インプットを知る必要がありますから、時間を計測しようと思いますよね。アウトプットとして、どれくらい歯垢が落ちてるのかも測らなければなりません。

その上で、3%の時間短縮で同じ成果を出すにはどうするか?や同じ時間で、3%成果を上げるにはどうするか?を考えると思います。歯ブラシを変えてみようか、電動歯ブラシにしてみようか、歯磨き粉を変えてみようなど、いろんなアイデアも出てきます。そして、改善策を実践して、生産性が上がります。

これらの行動は、すべて目標を掲げたところからスタートしています。これはチームでも同じです。30%のイノベーションと3%のインプルーブメントは意識せずには、起きません。

まずは生産性向上を目標に掲げて、生産性をチームで意識することが大切です。

人材を育てる

管理職の仕事とは、「チームの生産性向上のためにリーダーシップを発揮すること」に尽きます。
よく「仕事で成果を上げるだけではなく、部下を育成することも管理職の大事な役割」などと言われますが、これはやや不思議な表現です。というのも、「AだけでなくBも大事」という言い方は、「Aを追求するとBがおろそかになりがちだが、どちらも大事である」と聞こえるからです。
より直接的に「いくら多忙でも、部下の育成には時間をかけるように」と言われることもありますが、これではまるで成果をあげることと部下の育成というふたつの責務が、管理職の時間を取り合う別々の仕事のように聞こえます。

そして、こう続きます。

笑顔

反対に、部下のスキルアップが部門の成果を上げるための有効な手段だと認識されれば、「忙しくて部下の育成に手が回らない」のではなく、「忙しいから早く部下を育成しなければ!」へと意識を変えることができます。仕事の成果は、自分や部下がより長い時間働くことで上げるものではなく、チームの生産性を高めることで実現するものなのです。

耳の痛い言葉です。成果を上げるために、自分がより一層頑張っても根本的な解決にはなりません。

目先の短期的な成果のために、チームメンバーの育成がおろそかになっている人は、パラダイムを変える必要があります。チームメンバーの育成をすることで、チームの生産性が上がり、長期的に繁栄するチーム作りが可能です。

では、人が育つとは一体どういう状態をいうのでしょうか?本書では、それも生産性の向上であると説いています。

そもそも「成長する」とは「生産性が上がる」ということに他なりません。より具体的にいえば、成長する=生産性が上がるとは、
①今まで何時間かかってもできなかったことが、できるようになった
②今まで何時間もかかっていたことが、1時間でできるようになった
③今まで1時間かかって達成していた成果よりはるかに高い成果を、同じ1時間で達成できるようになった
④②や③で手に入った時間が、別の「今までは何時間かけてもできなかったこと」のために使われ、①に戻る
というサイクルが繰り返されることです。いうなれば成長するとは「生産性があがること」と同義なのです。

つまり、成長とは生産性が上がることだというのです。

イノベーション

チーム全体の生産を上げるためには、チームメンバーの育成が必要です。それは、一人一人の生産性の向上を意味しています。

まずは、忙しいから育成に手が回らないというパラダイムを捨て、忙しいからこそメンバーを育成するというパラダイムにシフトすることが大切です。

ノウハウの標準化

人材を育成するときに、大切なことはノウハウを標準化することです。

どんな組織にも、飛び抜けた成果を上げる人がいます。生産性のとても高い人です。その人を、あの人は天才だと言って放置していたら、もったいないです。

なぜなら、そういう人のノウハウを標準化して、他のメンバーを教育することで、他のメンバーも大幅に成長することが可能だからです。

考える

本書には、このように書いてありました。

仕事のやり方についてみんなで話し合う機会をつくると「◯◯さんにしかできない仕事」のマニュアル化、テンプレート化も進められます。
「あの人にしかできない仕事」は、当人の高い評価につながっていることも多いですが、一方でその人は「自分の仕事を伝達可能な形に要素分解し、他の人にもできるようにすることで、組織の生産性を高めるという貢献ができていない人」ともいえ、組織としては、その人の急な病気や退職、休暇取得の際の大きなリスクを抱えてしまいます。
本当の意味で仕事ができる人というのは、少ないインプットで高い成果の出せる生産性の高い仕事のやり方を考案し、その仕事が他の人にも可能になるよう言語化し、移植できる人です。そして自分自身は、どんどん違う仕事にチャレンジしていく人のことです。

わたしの言うところのノウハウの標準化とは、自分の仕事を伝達可能な形に要素分解し、他の人にもできるようにすることです。

これは仕組み化と呼ばれることもあります。要は、誰がなんどやっても同じように成果を上げられるように標準化することです。

このノウハウの標準化によって、チーム全体の成果は驚くほど上がります。なぜなら、どんなチームでも2:8の法則が働いているからです。

つまり、成果の8割を2割の優秀な人が上げているという状態です。その優秀な2割のノウハウを標準化して、他の8割のメンバーを教育するのです。そうすると、チーム全体としては大きく成果を上げられます。

たとえば、10人のチームで100の成果を上げているとします。そして、優秀な2人が80という成果を上げています(1人あたり40)。そのとき、残りの8人は20という成果で止まっています(1人あたり2.5)。

この8人に優秀な2人のノウハウを標準化して教えるのです。優秀な2人と同じ成果を上げるのは難しくても、1人20の成果を上げるように教育することは可能です。

そうすると、2人×40+8人×20=240となります。最初のチームの成果が100でしたので、チーム全体としては成果が2.4倍になりました。これがノウハウを標準化することの成果です。こうして人材を育成し、チーム全体の生産性を高めていきます。

まとめ

チームの生産性を高めるには、3つのポイントがあります。

  • チーム目標を持つ
  • 人材を育てる
  • ノウハウの標準化

 

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