
リーダのみなさん、あなたを支えてくれる人はいますか?
強いチームを作るには、フォロワーの存在が欠かせません。「リーダーに強さはいらない」で学んだ強いチームを作る4つのポイントをシェアしたいと思います。
リーダーに強さはいらない
初版:2017年05月21日
出版社:あさ出版
著者:三城 雄児
目次
リーダーに強さはいらない
リーダーのみなさん、あなたを支えてくれる人はいますか?
強いチームを作るには、フォロワーの存在が欠かせません。本書には、このように書かれています。
一般的に、リーダー教育では、強くて有能なリーダーであれといわれますが、リーダーをリーダーにしてくれるのは周囲の人たちです。
リーダーがすご過ぎたり、リーダーが一人で頑張り過ぎるために、誰もついていくことができず機能不全に陥っているチームを、私はコンサルティングの現場でたくさん見てきました。
そして、このように続きます。
強いチームには強いフォロワーがいます。
リーダーは強くなくていいのです。
カリスマである必要もありません。
極論すれば、弱いリーダーでも強いチームをつくれるのです。
確かに、リーダーというのは役割のことです。そのため、一人でリーダーになることはできません。リーダーにはフォロワーがいるから、リーダーなのです。そして、強いチームには強いフォロワーが必要なようです。
では、フォロワーとは一体なんなんでしょうか?次章で解説していきます。
フォロワーとは、なにか?
フォロワーとは、リーダーと一緒にチームを動かしてくれる人。
会社でいえば社長を支えてくれる幹事の人、部署でいえば部長や課長のもとで貢献してくれている2番手や3番手。
と、本書ではフォロワーの定義が書かれています。組織の2番手や3番手のことをフォロワーというようです。
しかし、フォロワーとは単に立場のことではありません。その役割を見てみましょう。
フォロワーとは、チーダーとメンバーの橋渡しを担う存在です。
チームを動かしてくれる縁の下の力持ちといえます。
それを顕著に感じるのが、リーダーとメンバーの間で物事の捉え方、価値観にズレが生じているときです。
たとえば、同じ仕事に取り組んだとしても、リーダーとメンバーでは見ている”景色”が違います。メンバーが目標達成に必死だったとしても、リーダーは目標達成後のことを考えて仕事に取り組んでいるかもしれません。
しかし、リーダーの右腕として活動しているフォロワーであれば、リーダーと同じ視点で物事を考え、同じように理解する力があります。
たとえ、”溝”ができたとしてもリーダーの考えをメンバーにわかるような言葉で説明してくれたり、リーダーの代わりに一体感あるチームづくりを助けてくれたりします。
リーダーは、ビジョンを語ってメンバーを引っ張っていく存在です。
そして、リーダーの語るビジョンに共感した人が集まって、チームができあがります。そのときに、リーダーのビジョンや価値観を1番理解して、メンバーに伝播してくれるのがフォロワーという存在なのです。
そのため、このフォロワーはとても重要な役割を果たします。そのチームが一致団結して目標を達成できるか否かは、フォロワーが鍵を握っている言っても過言ではありません。
強いフォロワーを育てる4つのポイントとは?
強いフォロワーを育て、組織に揃えるには、どうすればいいんでしょうか?
フォロワーの存在がチームとしての成否をわけるわけです。とても、気になります。本書には、4つのポイントが書かれていました。
- フォロワーへの正しい認識
- 正しいコミュニケーションをとる
- 「結果」だけを求めない
- 修羅場体験を積ませる
これらを1つずつ、解説していきたいと思います。
フォロワーへの正しい認識
これは、多くのリーダーがまちがっている落とし穴です。
リーダーはフォロワーより上に立つ偉い人ではありません。その認識を持ってくださいという意味です。
リーダーはフォロワーと対等な立場を心がけてください。
なぜなら、フォロワーは同じ目線でチームを盛り上げる仲間。リーダーであるのか、フォロワーであるのかは、役割の違いだからです。
そのことを自覚し、フォロワーにもしっかり説明して、協力をお願いします。
ただ、残念ながら横柄な態度をとるリーダーが多いのも現実です。
リーダーとなると、みんなが低姿勢で接してきます。そして、指示をすれば、みんなが従います。そうすると、段々と「自分がルール」状態になってしまいがちです。その結果、独裁的なリーダーになったり、横柄なリーダーになったりします。
しかし、そうなるとフォロワーと良好な関係を築けません。フォロワーがしらけてしまうからです。フォロワーは一般的なメンバーよりもリーダーのことを深く理解しています。そのため、リーダーが完璧でないこともわかってますし、まちがっているときにも気付きます。
なので、リーダーはフォロワーと同じ立場であると認識して、協力してチームを盛り上げていく意識を持ってください。
正しいコミュニケーションをとる
フォロワーとのコミュニケーションは重要です。なぜなら、コミュニケーション量がモチベーションに直結するからです。
ただ、コミュニケーション量だけが重要なわけではありません。コミュニケーションの中身も、重要です。
リーダーは、リーダーシップを一緒に取れるメンバーをフォロワーに選び、フォロワーと密にコミュニケーションを取ることが重要です。フォロワーとのコミュニケーション不足が、チーム崩壊の大きな原因になるからです。
では、具体的にどのようなコミュニケーションを取るべきでしょうか。
それは、フォロワーに「自分がリーダー」だと思わせるコミュニケーションです。フォロワーに当事者意識を持たせ、自らの力でメンバーを奮い立たせるのが自分の仕事だと思ってもらうのです。
つまり、フォロワーにリーダーとしての自覚を持たせるコミュニケーションが大切なのです。
これは、難しいことです。「リーダーとして頑張って」と伝えても、リーダーの自覚は生まれません(笑)。
どうすればいいんでしょうか?本書には、2つの方法が紹介されていました。
これと同じように、たとえフォロワーに仕事を任せていたとしても、フォロワー自身が「これは自分の仕事?」「自分の役割?」と疑問に思っていたら、自発的に行動することはありません。
そのためリーダーは、任せた仕事について、フォロワーが自分ごとと思えるような行動をとらせなければいけないのです。方法①「どう思う?」で意欲を引き出す
フォロワーに自分と同じ視点を持ってもらいたいとき、リーダーは「こうしたいと思っているのだけど、どう思う?」と相談を持ちかけてください。
質問されてはじめて、本人も同じ立場で考えてくれます。
フォロワーになってほしい相手には、たくさん質問をなげかけて、自分と同じ立場に立ってもらう経験を積んでもらいましょう。方法②「ダメな人」を演出する
一般的に、弱いリーダーのほうがチームワークは高まるといわれています。
動物の世界でも、弱い動物は群れを成して過ごすことが多いものです。
リーダーはあえて自分の苦手なところをさらけ出して、フォロワーに「あのリーダーを助けなきゃ」と思ってもらうことも必要です。
はい、ということで、
- 「どう思う?」で意欲を引き出す
- 「ダメな人」を演出する
この2つが、フォロワーにリーダーとしての自覚を促すコミュニケーションなようです。
ただ、2つ目のダメな人を演出するのは、高度なテクニックですね(笑)
本当はできることをできないように見せるのは、難易度が高いでしょう。なので、できないことを隠さずに、フォロワーに協力を仰ぐというのがいいと思います。
少なくとも、1つ目の「どう思う?」という問いかけは、簡単にできます。意思決定のときや、なにかを共有するときに、フォロワーには問いかけをすることを意識してみてください。
「結果」だけを求めない
目から鱗が落ちる理論が紹介されていました。
マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱した「組織の成功循環モデル」という理論です。組織がうまくいくかどうかは、4つの要素が関係していて、どういう順番で高めるかがポイントだと書かれています。
4つの品質とは
- 関係の質
- 思考の質
- 行動の質
- 結果の質
この4つです。この4つが組織の成否を決めているとは、どういうことでしょうか?本書では、こんな例が書かれていました。
まず「悪いサイクル」から説明しましょう。
一般的にリーダーは、メンバーに「結果」を求めます。
ただ、結果だけを求めてもなかなか成果につながりません(「結果の質」の低下)。
結果が出ないと、いずれリーダーは「お前の働き方が悪いんだ!」と指摘し始めます。しかし、働き方はそう簡単には変わりません(「行動の質」の低下)。
すると徐々にイライラしてきて、今度は「そもそもお前の考え方が悪いんだ!」と考え方を否定し始めます。ですが、信頼していない上司の言うことを聞きたくないと思ったメンバーは考え方を変えません(「思考の質」の低下)。最後には「お前が悪い」と人格否定になって人間関係は悪化します(「関係の質」の低下)。
そして、こう続きます。
一方、「良いサイクル」は、まず「関係の質」から高めます。
フォロワーやメンバーが何を考えているのか、相手を知ることで意思疎通のスピードが速くなります(「関係の質」の向上)。
すると前向きな考え方やアイデアが出てくるようになり(「思考の質」の向上)、積極的に行動するようになります(「行動の質」の向上)。
行動するようになれば、徐々に結果がともなう(「結果の質」の向上)ようになり、メンバーから信頼されて関係がよくなっていくのです。
この理論は、「関係→思考→行動→結果」と時計回りになるのが良い循環です。つまり、最初に人間関係を良くしておかないと、何事もうまくいかないのです。
もう、おっしゃる通り!という感じです。
うまく人材を教育できない人は、結果→行動→思考→関係の順番で向上を求めています。残念ながら、こうした教育を行なっているリーダーも多々います。
そして、本書でも書かれていた通り、「関係」のところに来たときには、完全に信頼関係が崩壊しています。
こうしたマズい人材教育をフォロワーに対して行ってしまうと、致命的です。組織に貴重なフォロワーの心がリーダーから離れてしまうからです。一人のフォロワーが減ることは、組織に多大なマイナスを与えます。
逆に、結果を出せるようになった人を見ると、この成功循環モデルに従ってリーダーが教育していたことがわかります。
みなさんもリーダーやフォロワー、メンバーといろんな人を教育することがあるでしょう。そのときは、関係→思考→行動→結果の順番で改善できているか気にしてみてください。
関係ができていないのに、結果にばかり目が行くときは要注意です。
修羅場体験を積ませる
新卒で入社した会社の社長も、修羅場体験の重要性を度々語っていました。
自分の能力以上を求められる環境でこそ、人は成長できるということです。本書では、修羅場体験を積ませる3つの方法が紹介されています。
こうしたその人の能力でできるかどうか、ギリギリの葛藤状態をつくり出すのが「修羅場体験」です。
国内のスポーツ選手が海外で成長しようというのと同じように、フォロワーもストレス状態をうまく利用すれば、成長につながる葛藤状態を体験できるのです。①120%程度の負荷で挑戦させる
たとえば、普段の業務量が100%だとしたら、20%くらいプラスαの仕事を準備します。いつも10個しかやっていないなら12個を目指してもらいます。企画書の作成に100分かかっていたなら80分で仕上げてもらいます。②普段はやらないことをやらせてみる
内勤の人だったら外部の人と仕事をやってもらう、指示を受ける側なら指示を出す側になってもらうなど、思い切った業務の転換が効果的です。③任せて、教えず、放置する
新しい案件の責任者として任命して、その後、細かい指導はせずに自分で考えさせます。通常ならば、アドバイザーや先輩社員をつけるところを一人で考えてやってもらいます。
修羅場体験は、成長を促すときに、とても重要です。
アスリートも国内から海外に移籍をしたり、より厳しい環境を求めて飛び込んでいったりしています。
しかし、注意点もあります。むやみに厳しい環境に放り込んではいけないということです。人の性格やマインドにもよりますが、あまりにも厳しい環境に放り込まれると、心が折れてしまいます。そうすると、貴重な人材を失うことになります。
本人の能力や性格を見抜いた上で、適度な修羅場を用意してあげることが大切です。
まとめ
強いチームには、強いフォロワーが必要
強いフォロワーを育てる4つのポイント
- フォロワーへの正しい認識
- 正しいコミュニケーションをとる
- 「結果」だけを求めない
- 修羅場体験を積ませる
以上です。リーダーのみなさん、これからリーダーになるさん、ぜひ本書を反省と飛躍のきっかけにしてください。