
みなさん、思考停止していませんか?
思考停止を抜け出すことで、人生は好転します。なぜなら、思考が停止していると「奴隷の人生」を生きることになるからです。
「思考停止という病」でわかった人生をよくする3つの方法をシェアしたいと思います。
思考停止という病
初版:2016年03月25日
出版社:角川
著者:苫米地 英人
目次
思考停止とは、なにか?
まず「思考する」ということの定義をしましょう。
思考とは2つのレベルで見ることができます。
ひとつは、物理的な脳の活動。
もうひとつは、創造的な問題解決活動です。
このように本書では書かれていますが、生きている限り物理的な脳の活動が止まることはありません。物理的な脳の活動が止まれば、死んでしまうからです。
そのため、本書で書かれている思考停止とは、創造的な問題解決活動の停止という意味です。では、創造的な問題解決活動とは、なんのことでしょうか?
創造的問題解決というのは、クリエイティブな思考です。
思考とひとことで言っても、脳内で起こっていることは次のように分類できます。・分析する(考察する)
・意思決定をする
・問題を解決する(最適解を見つける)
・仮説をつくる私が日本人の思考停止を危惧しているのは、ほとんどの人がこれらを放棄して生きているからです。
著者が警鐘を鳴らしている思考停止とは、分析する、意思決定をする、問題を解決する、仮設をつくるなどの思考のことを指しています。日本人の多くが、こうしたクリエイティブな思考をしていないと言います。
なぜ、日本人が思考停止になっているのか?その原因は、次章で説明します。
その前に、思考停止になると、どうなるのか?思考停止の問題点を見ていきたいと思います。
本書から引用すると、思考停止の問題はこう書かれていました。
そもそも、自分の頭で考えられないと、何が問題なのでしょうか。
自分の頭で考えない人は「奴隷の人生」を歩んでいることになります。知識がなく、自分でも判断できず、自分の頭で考えることをやめた人は、自分で人生を切り開くことができません。
他人の話や言葉を聞いてからしか動けないのです。当然、他人の価値観に従って生きざるを得なくなります。実質、カルト宗教の信者と変わりありません。・親がいい大学に行きなさいと言ったから、いい大学に入るために受験勉強に励む
・大企業に入りなさい、と学校の指導担当から言われたから大企業を志望する
・このまま会社にいたほうがいい、と言われて転職できないこのように自分で思考しない状態が続いていた人は、自分で思考するクセがなくなってしまい、誰かに決めてほしい、どうすればいいかわからない、という状態におちいっています。
思考を停止するというとは、自分で生きることを放棄し、他人に自分の人生を委ねることにほかなりません。これを奴隷というのです。
そんな人が幸せになれるはずがありません。
思考停止=奴隷の人生
とても、痛烈です。しかし、おっしゃる通りです。自分の頭で考えなければ、他人の人生を生きているのと変わりありません。それを奴隷と言われれば、そうでしょう。
では、逆に思考停止を抜け出し、自分の頭で考えられるようになれば、どうなるのでしょうか?
自分の頭で考えることができるようになると、一気にIQが高まります。仕事でいえば、
・生産性がどんどん高まる
・意思決定のスピードが速くなる
・論理的な分析が速く、正確になる
・最善の問題解決法が見えてくる
・自分の頭で答えを導けるようになる
・他人の意見に左右されなくなる
・知識量が増える
・見えてなかった問題点が見えるようになる
思考停止を抜け出すことは、いいことづくめのようです。
次章からは、なぜ思考停止になるのか?そして、どうすれば自分の頭で考えられるのか?その2点を紹介していきます。
サラリーマン教育が思考を停止させる?
十で神童、十五で才子、二十歳を過ぎればただの人
この成句をご存知でしょうか?
幼少時代は並外れてすぐれているように見えても、多くは成長するにつれて平凡な人になってしまうことを指しています。本書でも、この成句が引用され、以下のように続きが書かれていました。
学生の頃など、秀才とか天才とか言われ、いい大学に入った人も、大企業に入って3年も経つと普通の人になっています。
なぜかといえば、サラリーマンになるとほとんど自分の頭で考えることがなくなるからです。
そもそもビジネスにおいて、クリエイティブな思考は基本的に求められません。特に入社1年目は、会社の先輩の言うことをひたすら聞くことを求められます。先輩や上司は「自分で考えろ」と言葉では言いますが、勝手にやると「馬鹿野郎!」と怒鳴ります。ホウレンソウをしなくても怒られる。当然、重要な仕事はほとんどまわってこない。基本的サポートをしながら、会社のやり方を覚えさせられる。上司や先輩に嫌われると仕事がし難くなるので、飲み会に参加して、愚痴を聞かされ、つまらない人生訓を教えこまれます。
そして、著者は「入社して3年たてばただの人」と結論づけています。
では、なぜサラリーマン教育が思考を停止させるのでしょうか?理由は3つあります。それが、こちらです。
- 前例主義
- 知識不足
- ゴールがない
どういうことか、1つずつ見ていきましょう。
前例主義
日本人の多くが思考停止してしまう多くの原因が、前例主義であることです。
前例主義とは、何かを行う時、過去のやり方・結果を引き継ぐという考え方です。たとえば、経営者や管理職の意思決定が、「昔からこのやり方でやってきたから」
「前年の売り上げは○○だから、来年の売り上げはこれくらいね」と、過去にやったことをそのまま適用することがあります。もちろん、過去と同じ行動をすること自体は問題ありませんが、思考した結果の意思決定でなければいけません。
本書では、このように書かれています。つまり、記憶と思考は別物だということです。
たとえば、日本のプロ野球は、何球団ありますか?という質問に、12球団と答えるのは思考ではありません。ただ記憶から情報を引っ張り出してきただけです。
同じく、日本のプロ野球人気を取り戻すためにどうすればいいか?という質問に、TVのコメンテーターが言っていた意見を引用することも思考ではありません。それも、記憶に過ぎないのです。
しかし、多くの人がこの記憶と思考を混同しています。
そして、著者はサラリーマン社会は前例主義で動いていると言います。そうすると、サラリーマン生活が長くなればなるほど、頭を使わずに生活する時間が長くなります。その結果、思考停止になっていくそうです。
知識不足
思考停止となる2つ目の理由は、知識不足です。本書では、こう書かれていました。
思考停止の原因は知識がないことです。それも絶対的な量の不足です。
まず大前提として覚えておいて欲しいのが、「脳は知ってるものしか認識できない」ということです。
つまり、知らないことは、脳は認識自体できません。ただ、知識があっても自分にとって重要と思っていなければやはり認識しません。それが脳の特徴です。人間の認識は、過去の記憶でできています。自分が重要だと思うこと、脳の中にある知識、つまり記憶と照合することで初めて認識ができるのです。つまり、記憶にないもの、知らないものは、認識できないのです。
さらに、ビジネスにおける思考には知識量が欠かせないとも書かれています。
仕事で次にどのような戦略がいか、来年の目標は何がいいか、予算をどうするか、人材をどうするか、などを決めるのにクリエイティビティはいりません。そのために必要なのは過去の最適化だけだからです。
知識があれば自動的に答えは決まります。そこで答えが出なかったり、迷ったりするのは、単に知識・情報が足りないから、答えを決められないだけです。
ただし、アプリオリがないということは、完全な情報は手に入れられないということです。だからこそ、どこのだれよりも多くの知識を手に入れることが大前提。99%正しいというところまで、情報量が必要です。あとは、そういう情報の量から信頼度を決めて、判断すれば、自動的に答えは出るはずです。
考え続けるために必要なことの半分は、常に知識を手に入れ続けること。
そして、手に入れた知識を常に評価することです。
分析をしたり、意思決定をしたり、問題を解決したり、仮説をつくったりするには、前提として知識が必要不可欠です。
当たり前ですが、なんの知識もない人に、考えろというのは無理難題です。
雪を見たことのない人に、スキージャンプで優勝する方法を考えろと言っても、それは無理でしょう。でも、このような無理難題を自分に課している人が多いようです。
地方創生について本を1冊も読んだことのない人が、地方創生がしたい!と意気込んでいたら、それは無理難題です。英語を上達させたい!と言いながら、英語教材を1冊も読んでないとしたら、それも無理難題です。
思考、つまり分析や意思決定、最適解、仮設には、前提知識が必要です。社会人になり、本を読むことがなくなった人たちは思考をすることができなくなります。
ゴールがない
思考停止の3つ目の理由が、ゴールがないことです。
本気で達成したいと思えるゴールがあるからこそ、思考を動かすパワーが生まれるのです。そして、そのゴールを達成するまでホメオスタシス(恒常性維持機能)活動が働きます。つまり、達成するまで思考が動き続けるのです。
その意味で、思考停止しない人は、ゴールがあるから思考停止していないのだと言えます。逆に、思考停止する人は、ゴールがないから思考停止しているのです。
ゴールが達成されていないから、ホメオスタシス活動により動き続けます。
本書では、こう書かれていました。
ゴールと現状にギャップがあるから、人は思考するのです。なぜなら、ゴールと現状の差を埋めるために、分析をしたり、仮説を立てたり、最適解を探したり、意思決定をします。これが、まさに思考です。
ゴールもなく、現状維持で問題がないのであれば、すべて前例主義で過去と同じ行動を続けることが最適になります。そうすると、クリエイティブな思考は必要なくなります。
思考停止を抜け出す3つの方法
まず、改めて思考することのメリットを本書から引用します。
- 奴隷の人生から、本当にやりたい人生に進むことができる
- 自分の考えが正しいか、間違っているか、を正しくチェックできる
- メディアや権力者から騙されなくなる
- 世の中を見る時の深みが変わる
このように書かれていました。では、思考停止を抜け出して上記のメリットを享受するには、どうすればいいのでしょうか?
- ゴールを持つ
- 知識量を増やす
- 前例主義をやめる
思考停止を抜け出すには、この3つが解決策となります。1つずつ、本書にヒントが書かれていましたので、紹介していきます。
ゴールを持つ
やりたいことがない。夢がない。
こういう悩みを抱えている人が多いとわたしは感じています。そんな人にも、オススメのヒントが本書に書かれていました。
ゴールはひとつ、と思い込んでいる人が多いのですが、ゴールは幾つあってもいいのです。自分が好きなことで、本当に成し遂げたいことであれば、いくつも持ちましょう。
ただし、ある程度区分が必要です。私がオススメしているのは、8つのゴールを持つことです。たとえば、次のように分けてみてください。・仕事
・健康
・趣味
・生涯学習
・家族
・ファイナンス
・地域活動
・社会全体に対する貢献活動ここで重要なことは、
お金と仕事を分けること
です。お金と仕事を分ける理由は、さきほども言いましたが、お金は、あくまでもその他のゴール達成のためのファイナンス活動の一部にすぎないからです。
ゴールというと、人生のゴールを1つに定めなければいかない!という印象を抱きがちです。
でも、そんなことはありません。途中で変わっても、大丈夫です。1つだけではなく、人生のいろんな側面において、いまのゴールをもってください。
そして、そのゴールの達成に向けて動き出せば、思考が必要になります。
知識量を増やす
次に、思考するには知識量を増やすことです。なぜなら、知識がなければ思考ができないからです。
たとえば、体脂肪率10%の体をつくるというゴールを設定したとします。しかし、知識がなければ、どう達成していいか?現状の何が問題か?考えることができません。
では、知識を増やすには、どうすればいいんでしょうか?著者は、読書をおススメしています。
しかし、結局本を読むことが知識習得の一番の近道です。他人の話をどれだけ聞いても、それはあくまで他人の話であって、知識にはなりません。短時間ですごい人たちの知識を得られる方法は、間違いなく本だけなのです。
(中略)
視覚野から情報を使うということは、視覚野だけでなく、海馬、側頭葉なども使って処理されます。そして、それが、前頭前野にて構造化されます。視覚を使って情報を手に入れるほうが、脳全体が働きやすいといえます。
また、読書は大量に行うことができますが、話を聞くのは、大量に行うのも限界があります。思考を働かせるための知識習得で考えれば、読書のほうが有効に機能します。
さきほど説明したゴールを持つにも知識は必用です。そして、ゴールを持てば、知識を増やすことも楽しくなります。
ゴールと知識は、鶏と卵と同じような関係にあるかもしれません。知識を増やしながら、ゴールも磨き上げてください。
前例主義をやめる
最後に、思考するには、前例主義をやめてください。
前例主義をやめるためには、まず意識することです。記憶と思考の違いを意識するだけでも、この意見は知識を話しているのか?思考の結果を話しているのか?を自覚できるようになります。
そして、新たな知識を吸収することでも、前例主義をやめることができます。
なぜなら、自分を構成する知識が変われば変わるほど、最適解が変わっていくからです。そうすると、前例主義にしたがって意思決定することに違和感を感じるようになります。
なぜ、こんなに非効率なことを続けているんだろう?なぜ、こんな非合理的な判断をしているんだろう?と自覚できるようになります。そうすれば、前例主義をやめて、自分の頭で思考することが可能になります。
以上、①ゴールを持つ、②知識量を増やす、③前例主義をやめるが思考停止から抜け出す3つの方法でした。