富田 和成氏「営業」:ダントツになる3つの営業法とは?

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営業

営業は気合と根性、そう考えていませんか?

営業は気合と根性ではありません。営業の公式が解明されていないから、とにかく数・量を言われるのです。富田 和成氏の「営業」でダントツになる3つの営業法がわかりましたので、シェアします。


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初版:2017年10月01日

出版社:クロスメディア出版

著者:富田 和成

富田 和成氏は、なぜダントツになったのか?

富田 和成氏は野村証券という営業の強い会社において、ダントツの成績を残します。

その結果、私は最初の1年間で企業や経営者を中心とする220件の新規顧客を開拓。同期ではダントツトップ、また全社員でも新規開拓においてトップ10に入った。
2年目からは上場企業を含む、より大きな優良企業や、経営者などの富裕層にだけ絞って開拓をして、預かり残額を拡大。3年目で、全国の7年目までの若手のなかで、個人売上においてナンバーワンになれた。
そして入社4年目。最年少にて超富裕層の資産管理や資産運用を担うプライベートバンキング部門に当時最年少で異動した。

しかし、富田 和成氏は最初から営業成績がよかったわけではないそうです。先輩から教えられた営業法では、まったく結果を出せなかったそうです。

そして、このままではダメだと思い悩み、営業スタイルを変えたといいます。では、なぜ野村証券でダントツの営業成績を残せたのでしょうか?

こうした実績を残せたのは、自分の営業スタイルを感覚に頼るわけでもなければ、気合と根性に頼るわけでもなく、徹底的に深掘りをして、定量的に計画をして、ひたすら改善を続けられたからだと思っている。

上記のにもある通り、富田 和成氏は本書のなかでダントツの営業結果を出すために3つのアドバイスをしています。

  • 気合と根性の営業をやめる
  • 定量化する
  • 因数分解をする

営業とは、教科書がない仕事です。だから、数と量で勝負するように教え込まれます。しかし、定量化してプロセスを細かく分解していけば、教科書を作ることができるというのです。

そして、各プロセスにおいて「正解」も用意されているといいます。1つずつ、どういうことか解説していきます。

気合と根性の営業をやめる

イノベーション

営業は、なぜ非効率なのでしょうか?

多くの日本企業では、営業職は個人商店のような扱いのままであることが多い。
その理由は、営業プロセスの体系化や言語化が決定的に不足していることが原因なのではないかと思っている。考えてみれば、営業はどんなビジネスでも欠かせない重要なスキルなのに、MBAで「営業学」を教えないというのも不思議な話だ。
体系化されていないため「営業」という言葉の定義も曖昧で、結局は「量をこなしたやつが成果を出す」とか「コミュニケーション力が大事だ」といった漠然とした話で片付けられたり、「営業なんて誰でもできる」と思われたりする。

営業は、気合と根性が大事だと思われています。そして、とても非効率な営業をしている人が大半です。非効率だから、どんなに頑張っても結果は出ません。

結果が出ないと、上司からアポが足りない!と叱責されます。部下は必死にアポを増やします。ところが、多少アポを増やしても、結果は変わりません。なぜなら、非効率だからです。

そして、やる気をなくし、元のアポ数に戻ります。月末に上司に営業成績を確認されるときには、通常のアポ数です。そして、結果が出てないことに上司が再び激怒し、アポ数を増やせ!と怒鳴ります。震え上がった部下は、再びアポ取りを頑張ります。ところが、結果は変わりません。

こうしたことを延々と繰り返している職場も多いのではないでしょうか?

営業プロセスが体系化・言語化されていないから、いつまでも非効率な営業を繰り返しているのです。

では、なぜ営業プロセスは体系化されていないのでしょうか?

営業のプロセスが体系化しづらい理由は、最終的な成果に関わる要素(=変数)が多いからだろう。
同じ顧客に同じ商品を同じセールストークで提案するとしても、そのときの気分や環境のわずかな変化で結果が変わってしまうのが営業であり、それこそ冒頭で触れたエピソードのように、「ご挨拶で伺いました」と言って経営者に会えてしまうようなことがなまじ起きてしまう。
そして変数が多いから、トークがうまくてプレゼンも堂々とこなせる人材を「営業向きだな」と思って配属させても、人事の思惑通りにいくことは滅多にない。
それにトップセールスの営業スタイルを見ても百人百様なので「これだけ不確実なら型を考えるだけ無駄だ」と思考停止してしまうのではないだろうか。

気合と根性の営業が続いている理由。それは、営業は変数が多く、体系化されていないからです。

営業プロセスを体系化するという難問の前に、「こんなの無理」と思考停止状態に陥ってしまっているのです。だから、アポ数だ!気合だ!根性だ!となっているのです。

こうした状態は、とてもチャンスです。気合と根性をやめて、体系化した人がダントツの営業成績を上げていきます。まわりの人が「あれ?あの人の営業方法は少し違うな」と気づいても大丈夫です。営業の体系化は、膨大な作業量なので、他の人はすぐには追いついてこれません。

いち早く、この難問に取り組んでください。そうすれば、その分長くダントツの成果を上げることができます。

定量化する

考える

肌感覚。この言葉で片付けている営業プロセス、多くないですか?

それは、危険です。なぜなら、人間は錯覚する生き物だからです。過去の通説や元トップセールスの営業理論は正しく感じます。しかし、実際に数字を計測してみたら、正しくなかったということはザラにあります。

たとえば、考えてみてください。

成約率1%の営業と、成約率2%の営業がいます。この1%と2%の差を「肌感覚」で感じることはできるでしょうか?

もちろん、無理です。ところが、成約率1%と2%では、営業成果は全然違います。トップセールスと標準的な営業との違いほど、差があるでしょう。

月の新規契約が平均2.1件の場合と2.8件の場合と、肌感覚で感じられるでしょうか?

もちろん、感じられません。でも、計算すれば33%の差があります。前年度比で33%UPになれば、驚くような成果でしょう。

このように、肌感覚、体感値、経験則は危険な言葉です。わたしも、よく自分の錯覚に惑わされます。

しかし、1つ1つの営業プロセスを数値で把握することは、とても重要です。そうすることで初めて、どこを改善すべきか?を認識することができます。改善するためにも、ぜひ数値化してみてください。

また、富田 和成氏はもう1つ定量化のメリットを説いています。

営業をすべて数字で把握することの心理的メリットは計り知れない。
数字を追い続ける最大のメリットは、営業は確率の世界でしかないことを意識づけできることだ。
営業とは、初めから失敗の山から成果を生み出すことが運命づけられている業種である。普通の営業が100件テレアポをして1件取れるくらいなら、トップセールスでもせいぜい3件くらいだろう。97件は同じように断られているのだ。

そして、こう続きます。

そうではなくて、数字の咀嚼の仕方を変えればいいのだ。
要は、日頃から数字を追っていて「100件かければ1件取れる」とわかっていれば、電話をかけるたびに「この会社はその1%の会社なのか、99%の会社なのか」とリトマス試験しで調べていくような感覚になる。
そこでどんなにきつい言葉で断られたとしても、一瞬、不快な思いはするかもしれないが、すぐに気持ちを切り替えて、「よし、この会社はリストから消せる。正解に一歩近づいた!」と前向きにとらえることができる。

おっしゃる通りです。これは新規メンバーの教育でも気をつけなければ、いけません。

本当のことを教えたら、営業って大変と思われるんじゃないか?と危惧してしまうことありませんか?そして、本当はアポ率は1%なのに、「100件架けたら?5件くらい取れると思うよ」などと言ってしまいます。

わたしも、つい甘めの数字を教えてしまうことがありました。しかし、これは逆効果です。

100件に5件のアポだと思って営業し始めて、1件しかアポが取れないと、落ち込んでしまいます。落ち込む必要はないのに。

でも、最初から実際の数字を伝えていたら、1件アポが取れたら、大喜びします。そして、次も頑張ろうとやる気になってくれます。この差は、大きいです。

そのため、実際の数字を把握すること、そして、実際の数字を認識させること。とても、大事です。

因数分解をする

そして、最後に因数分解です。これは改善をする前提の重要な作業となります。

例として、簡単な因数分解をしてみます。営業から成約までは、以下のプロセスになってます。

  1. リスト選定
  2. アポ取り
  3. ヒアリング(ニーズ把握)
  4. 提案(プレゼン)
  5. 成約

こうやって営業プロセスを可視化するだけでも「自分はプレゼンは得意だけど、リスト選定は結構適当にやってるかも」といった改善ポイントが見えてくる人もいるはずだ。
それがまさに因数分解の強みである。
もちろん、このレベルの分解ではまだまだ粒度が粗い。それぞれのプロセスもさらに因子を分解して、ピンポイントのボトルネックに光を当て、仮説を立てて検証しながら一つひとつ是正していく。
これが営業として成長していく基本形だと思っている。
因数分解のクセがついていない人や、因数分解の粒度が粗い(=思考の深掘りが苦手な)人ほど、絶えずボヤッとした状態で課題を抱えている。
しかし、課題が不明瞭だと打ち手がわからないし、いくら頑張っているつもりでも結果につながらないからモチベーションは下がるばかりで自信もつかない。
このような悪循環に陥っている人は、営業に限らず本当に多いと感じているが、その悪循環も1分の因数分解で断ち切ることができるかもしれないのだ。

因数分解で大事なことは、深掘りしていくことです。例で紹介した粒度では、改善には繋がりません。もっと深く深く分析していく必要があります。

一つ言えることは、因数分解に慣れていない人は、往往にして分解が甘い。本人的には分解し尽くしたと思っても、2階層くらい分解したら思考が止まっているケースがほとんど。これは若手メンバーを指導するなかで、毎日痛感していることだ。
では、どこまで深掘りすればいいかというと「やることが明確になるまで」だ。
先ほどの例だと、「資料づくり」に改善の余地がありそうだとわかったとしても、課題の粒度が粗いので具体的に何をすればいいのか見えてこない。ということは深掘りが足りない証である。
そこからさらに深掘りして「デザイン」が課題だとわかったら、改善案として「誰かからテンプレートをもらう」というアイデアを思いつくかもしれない。
ここまでいけば、「資料づくりの上手なA先輩から雛形をもらう」といったTODOが出てきやすい。
そこまでいけばあとは「やるかやらないか」の話になってくる。

改善策を考えるとき、ぼんやりと「この辺りに課題がある」というのは、誰でもわかります。

定量化していれば、他の営業とくらべて確率が低くなっているプロセスが明らかになるからです。ところが、因数分解が十分にできていないと的確な改善策を考えることができません。

そのため、毎月毎月思いついた改善策を実行しているのに、なかなか数字が上がってこないという事態が起きます。

その場合は、因数分解の粒度を疑ってみてください。1つのプロセスを細かく細かく因数分解をし、可能であれば数字を計測します。そうすると、明確に課題が浮かび上がってきます。そうすれば、ピンポイントに改善することができ、数字も上がってくるようなります。

以上、気合と根性の営業をやめる、定量化する、因数分解をするがダントツになる3つの営業法でした。

強い営業組織を作るには?

ケーキ

個人としてダントツになる方法は、すでに述べました。ここからは営業組織としてダントツになる方法を述べます。

多くの営業組織では、一部(20%)の営業マンが売上の大部分(80%)を作っていると言われます。トップセールスと平均的な営業マンの売上を比べると、5倍以上の開きがあることも珍しくないでしょう。

しかし、著者は適切な営業組織を作れば、全員がトップセールスの70%ほどの売上を上げられるといいます。

世の中の営業組織は、その売り上げの多くが一部のスーパー営業パーソンに頼みになりがちだ。しかし、型と自走の仕方を教えることができれば、どんな社員であっても、トップセールスの7掛けまでの成績は出せるようになる。あなたの部署で数字に落とし込んでシュミレーションしていただきたいが、全員がトップの7掛けというのはとんでもないインパクトを持つ。
そしてこれは属人的なものではなく、仕組みで実現できることだ。だから、組織に横から下から人が入ってきても、すぐに戦力にすることができる。非常に高い強度を誇る組織になっていくのだ。

全員がトップセールスの7掛けの成果を上げられる。こんな夢のような組織を作るには、どうすればいいんでしょうか?

型と自走というキーワードが出てきています。

まず、型のほうから見ていきましょう。

たとえば昔ながらの人情型営業では、手法が属人的であるため、それを部下に再現させるのは非常に難しい。実際にマネージャーとしての立場になってから初めてマネージャーとしての試行錯誤を始めなければならない。
しかし一方で、仮説思考を手に入れていれば、経験のすべてが肩に落とし込まれていて、それはすぐに部下やチームメンバーに適用させることができる。また、彼らの話を聞きながら、ボトルネックはどこか、何を伸ばすべきかという因数分解も即座にできて、適切な指導をすることができる。

マネージャーになる前の営業マンのときから、因数分解をしてノウハウを蓄積しておくことが大事なようです。

そうして体系化・言語化された営業ノウハウがあれば、教育に活用することができます。「見て学べ」スタイルを脱却し、いち早くメンバーを戦力に育てることができるのです。

次は、自走です。これは、上司からモチベーションをかけられなくても自分の頭で考えて改善し、成果をあげるという意味です。この自走する組織を作るには、仕組みが大事なようです。

私は営業組織を底上げするときに必要なのは、元トップセールスの上司ではなく、メンバーのモチベーションが高い状態で迷いなく業務に当たることができる適切なツール(仕組み)だと思っている。
手前味噌で恐縮だが、弊社の営業チームのモチベーションは非常に高い。というより、日々チームをよくしていくプロセスをとても楽しんでいる。なぜなら営業のPDCAが回る仕組みができているからで、どんなに小さな仕事であっても、どんなに気後れしそうな仕事であっても、その努力がゴールに向けての推進力になっていることが可視化されている。またチームとしての成果を追い続けているので、メンバーが課題を抱えていたらみんなで知恵を絞ってそれを解決していくことが当たり前になっていることも大きいと思う。

では、どのような仕組みがあれば、自走するのでしょうか?そのヒントが書かれていました。

近年、ゲーミフィケーションという考え方が生まれ、注目されている。
これはコンピューターゲームで培われた「経験値とレベルアップのシステム」や「バッジや宝物の収集」といった、ユーザーのやる気・楽しさを上げる仕組みを、現実のビジネスや社会問題に適用して解決を図ろうというものだ。
数字目標の意識と徹底は、このゲーミフィケーションの一つだともいえる。
KPI・KDIが分解され、毎日の目標に落とし込まれていると、営業も前進してクリアしていくRPGのようになり、楽しくなってくる。

自走する組織づくりには、仕組みが必要です。その仕組みとは、KPI・KDI(どれだけToDoをこなしたか)を数字で把握していくことです。

ここで、そんな数字の把握ならどこの営業でもやってるよと思われた方、おっしゃる通りです。ただ、富田 和成氏はこの数字の把握をゲーミフィケーションと仰ってます。

一般的な営業部隊で行われている数字の把握は、誰の営業成績が悪いのかをあぶり出し、気合と根性を入れるための行為です。つまり、「他人」との比較のための数字です。

一方、ゲーミフィケーションで大切なのは、過去の「自分」との比較です。自分がどれだけ改善したか?成長したか?を目で見て確認できるようにするのです。自分で考えた改善策のおかげで、数字が上がってくる様子を見るのは、楽しいです。RPGと同じです。

以上、型と自走の2つが強い営業組織を作る方法でした。

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