
OSトロンを知っていますか?
ウィンドウズよりも10年先をいくと言われていたOSです。ところが、競争に敗れ、あえなく世界基準となることはできませんでした。
このトロンが破れた理由にブルーオーシャン戦略の築き方が隠されていますので、シェアします。
開催報告:20代読書会in東京
日時:11月11日(土)09:30-12:00
参加者:27名(男性:14名、女性:13名 初参加:7名、リピーター:20名)
目次
20代読書会in東京の感想
多くの本を知ることができた。(24歳・男性)
普段読まない本が多くて新鮮でした。(29歳・男性)
知識の共有が刺激的。(23歳・男性)
3週間ぶりに参加したが、改めて参加していきたいなと思いました。(24歳・男性)
色々な人の話が聞けて、色々な本が知れて良かった。(26歳・女性)
新しい知識を吸収できる。(28歳・男性)
トロンとは、なにか?
ウィンドウズの10年先をいくと言われた画期的なOSです。
1984年に東京大学の坂村健氏がプロジェクトを立ち上げ、研究していました。ちなみに、1984年はマイクロソフト社の創業と同じ年です。
そのため、技術的に進んでいるトロンが世界標準のOSになっていても、おかしくなかったのです。そして、実際に日本の各メーカーはトロンを採用しようとしていました。
理由は2つあります。1つは、技術的に非常に革新的だったからです。もう1つは、トロンは無料で配布されたOSだったからです。マイクロソフト社のウィンドウズのようにライセンス料を支払う必要がなかったのです。
ちなみに、1985年に日航機墜落事故という痛ましい事故が起きています。8月のお盆の時期に500名以上の乗客を乗せた航空機が墜落した事故です。そして、520名もの死者が出て、いまでもその時期になると追悼のニュースが流れます。
その520名の死者の中には、トロンの開発者も20名近く含まれていました。
日航機墜落事故には不可解な点が多く、いろんな噂が囁かれています。このトロンプロジェクトを阻むため、という理由も言われています。もちろん、わたしには真相はわかりません。
ただ、それほどトロンは性能的に優れていたということでしょう。そして、世界標準となることの影響力、意味の大きさを物語っているのだと思います。
また、これも余談ですが、トロンは完全に消えたというわけではありません。PCやスマホのOSは取れませんでしたが、ネットワークプリンター、ルーター、自動車などのOSでは圧倒的なシェアを占めています。
これだけ幅広い分野のOSに応用できるというのも、すごいことです。
なぜ、トロンは負けたのか?
性能で優れていたトロンが負けた理由は、販売網(ネットワーク)を所有できなかったからです。
逆に、マイクロソフト社に販売網を独占されることになったのです。インベスターZでも紹介されていましたが、背景にはアメリカの外交戦略があります。
OSの販売となると、もちろん売り先はPCメーカーです。自社でPCの製造もしているアップル社の場合は、直接ユーザーに販売することができます。しかし、トロンもマイクロソフト社も自社ではPCを製造していません。そのため、PCメーカーに採用されなければ、OSを売ることはできません。
そして、トロンは日本の各メーカーが採用を決めていました。しかし、OS競争に負けることの意味を理解していたアメリカがストップをかけます。
当時、日本とアメリカは貿易摩擦が起きていました。理由は自動車や家電など日本の輸出が多かったため、アメリカは巨額の貿易赤字を出していたからです。
そこで、日本政府に対して、外交交渉を仕掛けてきました。貿易摩擦を解消するために、輸入規制をかけると言い出したのです。これには日本メーカーは困りました。なぜなら、アメリカへの輸出は、日本メーカーにとって大きな収益だったからです。
そこで、バーターとなったのがトロンです。採用を決めていたトロンに代えて、ウィンドウズを採用することになったのです。
当時の日本メーカーにとっては、未知の新製品であるPCよりも、今の主力製品を守ったということでしょう。しかし、今となっては家電を捨ててでも、PCにかけていた方が…と考えてしまいます。
もし、トロンが世界標準のOSとなっていれば、シリコンバレーは日本にあったかもしれません。
こうした背景があって、トロンは販売網(採用してくれるメーカー)を失いました。逆にマイクロソフト社が販売網を独占することになったのです。これが、性能で優れていたトロンが負けた理由です。
トロンに学ぶブルーオーシャン戦略とは?
トロンのOS競争には、教訓となる点が多いです。そして、そこにはブルーオーシャン戦略の重要なヒントもありますので、解説していきます。
ちなみに、ブルーオーシャン戦略って、なにかわかりますか?
対比されるのは、レッドオーシャン(血の海)です。こちらは競合の多い市場という意味です。つまり、ブルーオーシャンとは、競合の少ない市場ということです。
そのため、ブルーオーシャン戦略とは、競合の少ない市場で稼ごうという戦略です。
ところが、現代の資本主義経済でブルーオーシャンを放置しておく企業はありません。隣にブルーオーシャンで稼いでる企業がいれば、どんどん新たな会社が参入してきます。そのため、ブルーオーシャンもすぐにレッドオーシャンになってしまいます。
そこで、どうやって長きにわたりブルーオーシャン化するのか?が重要になります。その具体的な手法を次章で解説します。
ブルーオーシャン戦略3つの方法
ブルーオーシャン戦略はブルーオーシャンを見つけることも重要ですが、それ以上にブルーオーシャンを守ることが重要です。新規参入を阻止することができなければ、すぐにレッドオーシャン化してしまいます。
答えを言ってしまうとブルーオーシャン戦略で重要なのは販売網を独占することです。長きにわたって、販売網を独占することができれば、ブルーオーシャンで利益を上げ続けることができます。
では、どうすれば販売網を独占できるのでしょうか?3つの方法があるので、紹介します。
プラットフォームの創出
販売網を独占する1つ目は、自らプラットフォームを作ることです。
たとえば、グールグ社やアップル社は典型的です。Google PlayやApp Storeといったプラットホームを作っています。これらのプラットフォームに乗ることなく、アプリをユーザーに販売することはできません。
そうすると、他社はグールグ社やアップル社の土俵に乗らない限り、市場に参入できないです。そして、土俵に乗った瞬間に、グーグル社やアップル社が勝つようなプラットフォームになっています。
これがプラットホームによって、販売網を独占する方法です。
設備投資
販売網を独占する2つ目は、設備投資をすることです。
たとえば、QBハウスやマクドナルドなどが典型です。圧倒的な店舗を構えることで、販売網を独占しています。
他社がQBハウスやマクドナルドと張り合おうと思うと、同等の店舗数が必要になります。そうすると、とんでもない金額の設備投資をすることになりますので、誰も参入してきません。
アマゾン社も、設備投資で販売網を独占する戦略をとっています。アマゾン社は店舗ではなく、物流倉庫の設備投資をしています。これも膨大な金額を投資してきているので、アマゾン社と同じサービスを提供して張り合おうとする新規参入社は現れません。
これが設備投資によって、販売網を独占する方法です。
外交戦略
最後が外交戦略です。これは、まさにトロンとウィンドウズの対決のようなことです。
他にも、ビデオの規格でVHS対ベータも有名な話でしょう。他にも、このような規格争いは数多く存在しています。
MD対DCCや非接触型ICカード、無線LAN、EVの急速充電などです。まだ決着のついていない、現在進行中の対決もあります。
単純な技術力だけでは勝敗がつきません。外交戦略が必要なのです。これも販売網を独占する方法の1つです。