
なぜ、資格を取ったり、残業したりするのでしょうか?
理由は価格(人件費)の決まり方にあります。そして、人生100年時代の到来で価格(人件費)の決まり方が変わります。
Life Shiftで残業と資格がなくなる理由がわかりましたので、紹介します。
開催報告:20代読書会in東京
日時:11月18日(土)09:30-12:00
参加者:24名(男性:13名、女性:11名 初参加:8名、リピーター:16名)
目次
20代読書会in東京の感想
皆さん読書している方が多くて、さらに勉強しようと思いました。(24歳・女性)
自分では読まない本や、自分自身の思考のクセに気づくことができ、面白かったです。(29歳・男性)
皆さんのプレゼン能力が高くて、ほんの内容もしかり、参考にさせていただきたいと思いました。(27歳・男性)
3週間ぶりに参加したが、改めて参加していきたいなと思いました。(24歳・男性)
色々な人の話が聞けて、色々な本が知れて良かった。(26歳・女性)
新しい知識を吸収できる。(28歳・男性)
人生100年時代3つの働き方
1980年以降に生まれた人は、平均寿命が100歳を超えると言われています。そのため、働き方・生き方も大きく変わっていきます。なぜなら、いまの働き方では100年の人生に対応できないからです。
いままでの人生は、3ステージに分かれていました。①教育を受ける20年、②労働をする40年、③老後を過ごす10年。このような3ステージ制の人生が一般的でした。
ところが、人生が100年になると、どうなるでしょうか?③老後が10年から40年に延長されるでしょうか?
もちろん、老後が40年に延長されることはありません。お金も足りないですし、生きがい・やりがいの面でも物足りないでしょう。
そこで、人生が100年になると、3つの働き方が主流になるとLife Shiftで書かれています。1つずつ、Life Shiftから引用して説明します。
エクスプローラー
エクスプローラーのステージは、あらかじめ1年と決められたギャップイヤーとは違う。それはもっと長期間続く人生のステージだ。エクスプローラーは、周囲の世界を探査し、そこに何があり、その世界がどのように動いているのか、そして自分が何をすることを好み、何が得意かを発見していく。このステージは、自分を日常の生活と行動から切り離すことから始まる。新しい街に移ってその土地の人たちと知り合ったり、知らない国を旅して自分の生き方について考えたりといった具合だ。エクスプローラーが行う探索は、単なる観察で終わらせずに、さらに一歩踏み込んだときに最も効果がある。観光客が旅先の街を見学するような態度では、大きな成果は得られない。望ましいのは、関わりを持つことだ。
インディペンデント・プロデューサー
いま出現しつつあるインディペンデントプロデューサーのステージでは、旧来の起業家とは性格の異なる新しいタイプの起業家になったり、企業と新しいタイプのパートナー関係を結んだりして経済活動に携わる。旧来のキャリアの道筋からはずれて自分のビジネスを始めた人たちがこのステージを生きる。エクスプローラーのステージと同様、特定の年齢層に限定されるステージではない。人生のどの段階にいる人でも実践できる。インディペンデント・プロデューサーとは、ひとことで言えば職を探す人ではなく、自分の職を生み出す人だ。
ポートフォリオ・ワーカー
人生には、一種類の活動に専念する時期がある。高給を受け取れる企業の職に就いたり、自分のビジネスを立ち上げたり、エクスプローラーとしてさまざまな可能性を探索したり、フルタイムの学生に戻ったりする時期がそうだ。しかし、さまざまな活動に同時並行で取り組みたい時期もある。そのように、異なる種類の活動を同時に行うのがポートフォリオ・ワーカーのステージだ。ほかの新しいステージと同様、これも特定の年齢層には限定されない。
このステージは、生産活動に携わる期間のいつでも実践できる。さまざまな可能性を探索し、実験するために、このような生き方を積極的に選択する人もいれば、やりがいのある仕事に就くことが難しいために、不本意ながらそれを選ぶ人もいる。理屈の上では年齢を問わないが、この生き方にとりわけ魅力を感じるのは、すでに人生の土台を築いた人たちだろう。著者たちが企業幹部たちに100年ライフについて説明し、みずからの未来を思い描くよう求めると、人生の長期戦略の核としてポートフォリオ型の生き方をあげる人が多い。所得の獲得を主たる目的とする活動、地域コミュニティとの関わりを主たる目的とする活動、親戚の力となるための活動、趣味を極めるための活動など、さまざまな活動のバランスを主体的にとりながら生きようと考えるのだ。
エクスプローラー、インディペンデント・プロデューサー、ポートフォリオ・ワーカーの3つを見ていくと、働き方に1つの共通した変化があるとわかります。
それは、時間ベースではなく、アウトプットベースの収入になるということです。言い換えれば、時間給から成果給への変化です。労働者からプロフェッショナルへの変化とも言えるかもしれません。
著者のリンダ・グラットン氏も対談の中で、
いまやっている以外のやり方でお金を稼ぐ方法を身に付けなくてはならない
と語っています。
なぜ、資格と残業はなくなるのか?
資格と残業がなくなる理由は価格(人件費)の決まり方が変わるからです。
人生100年時代の到来で、先ほど述べたとおり、アウトプットベース(プロフェッショナル型)の働き方が主流となります。そうすると、資格も残業も合理的な選択ではなくなるのです。
どういうことでしょうか?すこし前提的な価格そのものから説明していきます。
まず、価格には2種類の決め方があります。
1つは、価値(原価)から決める方法。もう1つが、使用価値(付加価値)から決める方法。
たとえば、家と水を考えてください。生命維持という点から見れば、両方とも同じ付加価値を持っています。いや、水のほうが高いくらいです。
しかし、価格はどうでしょうか?圧倒的に家のほうが高いです。これは水よりも家のほうが原価が高いからです。このように原価から価格が決められていることがあります。
一方で、車を考えてみてください。マツダのロードスターとベンツのSLであれば、同じ2シーターのスポーツカーでも価格は10倍違います。もちろん、原価が10倍違うということはありません。
この価格の違いは、使用価値(付加価値)の違いです。
はい、前置きが長くなりましたが、価格には2種類の決め方があるとわかっていただけましたでしょうか。それでは、資格と残業の説明に戻りましょう。
みなさん、給料は価値(原価)と使用価値(付加価値)のどちらで決まっているか、わかりますか??
答えは、価値(原価)、です。
たとえば、40代男性のサラリーマンの場合、一般的に奥さんと子どもがいて住宅ローンを抱えています。場合によっては親の介護をしていいる人もいます。その人と、20代の独身男性では、生活費(原価)が異なります。
そこで会社は、40代男性のほうが原価が高いと判断するわけです。そのため、40代男性の方が給料が高く設定されています。
40代の既婚男性と20代の独身男性で、給料に3倍の差があったとします。それは、3倍仕事ができる(付加価値が高い)からではありません。3倍原価(生活費)が高いからなのです。
これが、いままでの給料の決まり方です。
そのため、資格や残業が存在したのです。資格は原価をあげる有効な手段でした。難易度の高い資格と保有していれば、時給単価が上がります。
もちろん、有資格者にしかできない仕事もあります。その場合は、付加価値も上がっているでしょう。しかし、実際には有資格者もそうでない人も、業務内容は同じということは多々あります。それでも、有資格者のほうが給料は高いです。なぜなら、原価が高いからなのです。
残業も同じです。残業0時間と残業10時間では、どちらの給料が高くなるでしょうか?
当たり前ですが、残業10時間のほうが高くなります。残業0時間と残業10時間のアウトプット(付加価値)は考慮に入れられていません。
もしかしたら、アウトプット(付加価値)は同じかもしれません。ひどい場合は、残業0時間のほうがアウトプット(付加価値)は高いかもしれません。それでも、残業10時間のほうが給料は高くなります。なぜなら、原価が高くなっているからです。
このように原価から計算して、時間ベースで決めるのが、いままでの報酬でした。
ところが、100年時代となり、働き方も大きく変わります。時間ベースではなくアウトプットベース(プロフェッショナル型)の報酬に変化していきます。
そうなると、資格も残業も一変します。
本当に成果を高められる資格以外は、すべて淘汰されます。そのため、ほとんどの資格は誰も取らなくなるでしょう。残業も非合理的な働き方となります。
これは、とても厳しい時代の到来です。
どんなに頑張っても、成果に繋がらなければ評価を受けられないからです。その厳しさはプロフェッショナルの世界を見ればわかります。
世の中の99%の頑張りは、正しい努力ではありません。努力感に浸る自己満足の頑張りだからです。このプロフェッショナルの厳しさが身にしみたとき、資格も残業もなくなる時代となるでしょう。