
どうすれば幸せになれると思いますか?
十人十色だと思われていた幸せの形が、実は統計的に決まっています。幸福の習慣でわかった人生を幸せにする5つの条件を紹介します。
幸福の習慣
初版:2011年10月15日
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
著者:トム・ラス
人生を幸せにする5つの条件とは?
どうすれば幸せになれると思いますか?
十人十色だと思われていた幸せの形が、実は統計的に決まっています。ギャラップ社が150カ国以上を調査し、世界人口の98%をカバーする統計結果を示しています。
その5つの条件が、こちらです。
- 仕事
- 人間関係
- 経済
- 身体
- 地域社会
ここで1つ注意点があります。
わたしも社会人になったとき、よく耳にした言葉です。それは、”20代はとにかく仕事に打ち込め!20代を仕事に投資すれば、他のものは30代以降に返ってくる”というアドバイスです。
ギャラップ社の調査結果によると、このアドバイスは正しくありません。
人生のいろいろなことに目配りをするよりも、ある時期に限って、たとえば仕事だけに集中するほうが、うまくいきそうに思えるものです。仕事と、健康や人間関係のバランスを取るよりも、他のことには目をつぶって、1つに集中するほうが簡単に感じられるからでしょう。
しかし、収入を得ること、健康でいること、人間関係を保つこと、その他生活の様々な側面ーこれらは相互に深く関係していて、どれか1つだけを切り離して扱うことはできません。仕事だけに集中する人生はやがて破綻します。
なにか1つの項目に集中することは、幸せにつながる道ではないようです。バランスを取ることが大事です。
そして、もう1つ重要なアドバイスがあります。
ヒントを少しだけお伝えしましょう。彼らは、”短期的な欲求を満たすことで得られる利益と長期的視点で得られる利益を一致させる”ことで、正しい決断を容易にしていました。
どういうことでしょうか。
…人間は、”何かを行った直後にいられる利益”がはっきりと見えた方が、行動変えやすいのです。この性質をうまく使えば、日々の行動を、短期的にも長期的にも、よい方向に変えて行くことができます。
「1日良い気分で過ごしたい(=短期的利益)」と思うことが「毎日20分の運動をしてみよう(=短期的利益に基づく、よりよい決断)」と思う動機となり、結果的に成人病や慢性疾患の予防(=長期的な利益)へとつなげられるのです。
5つの条件について、短期的利益と長期的利益を一致させることが大事です。
短期的利益と長期的利益が反する場合、人はついつい短期的利益を優先させがちです。そこで、短期的利益と長期的利益が相反する選択肢だけでなく、一致する選択肢も用意するのです。そうすれば、長期的に幸せを実現することができます。
それでは、仕事・人間関係・経済・身体・地域社会の5項目について、それぞれどうすればいいか解説していきます。
仕事の幸福
- 仕事の幸福度が高い人は、毎朝ワクワクして目覚めることができます。家で仕事をしている人でも、学生でも、会社で仕事をする人でも同じです。
- 日々、自分の強みを活かすチャンスに恵まれ、強みを磨いて成長できていると、毎朝期待とともに目覚めることができるのです。
- 仕事の幸福度が高い人は人生の目的がはっきりしていて、それを達成するための中間目標もはっきりしています。その1つ1つの中間目標達成するためのプランも持っています。
- そういう人は、マネージャーや友達にも恵まれています。彼らのマネージャーは、未来に対して彼らの努力を心から応援し、友達は情熱を持って物事に取り組んでいることを、喜んでくれています。
- 「仕事の幸福度の高い人は、実は働きすぎではないか?」と思われる人がいるかもしれません。
- しかし実際のところ、彼らは仕事の幸福度が低い人より、仕事もプライベートも楽しんでいて、人間関係も良好です。
- また彼らは、日々の生活や仕事や人間関係がうまくいってることを当然だと思っていません。日々の仕事や生活1つ1つに感謝し大切にしています。
人間関係の幸福
- 人間関係の幸福度が高い人は、彼らが何かを成し遂げたり、人生を楽しんだり、健康でいることを応援し、成長に手を貸してくれる親しい仲間に囲まれています。
- 人間関係の幸福度の高い人は周囲の人に恵まれたラッキーな人なのでしょうか?
- そんなことはありません。彼らは、仕事の時間も含めて、毎日ほぼ6時間程度の時間をコミュニケーションのために使っています。さらに、意識的に時間を使って、仲間と集まったり、共に旅をすることで絆を深めています。
- その結果として、彼らはすばらしい人間関係を持ち、そこから毎日ポジティブなエネルギーを得ることができているのです。
経済的な幸福
- 経済的な幸福度が高い人たちは、今の生活水準に満足しています。
- 彼らは身の丈に余る借金を避け、さまざまな仕組みを利用して自分の財産をコントロールすることでコツコツと蓄えを増やし、経済的な安心感を得ています。
- また、彼らはお金を使うときも賢く使います。
- 次々と物を買うのではなく、後々まで思い出に残る体験にお金を使います。そして、自分のためではなく、だれかを喜ばせるためにお金を使います。
- 本当にお金を賢く使えば、経済的な自由を得るだけでなく、大切な仲間と心から楽しいと思える時間を増やすこともできます。
身体的な幸福
- 身体的な幸福度が高い人たちは、自分の健康を効果的に管理しています。
- 彼らは定期的な運動を欠かさず、その結果1日を気持ちよく過ごしています。頭の回転をシャープに保ち、1日中高いエネルギーレベルを維持するために、健康的な食べ物を選ぶ工夫を怠りません。
- 睡眠をしっかりとることで、目が覚めた時には疲れが取れて充実感に満たされ、睡眠中に前の日の学びが身について翌日をスタートします。
- 身体的な幸福度が高い人は、元気で見た目もよいばかりではなく長く生きられることも確実です。
地域社会の幸福
- 地域社会の幸福度が高い人は、自分の住んでる地域社会が安全で文化的な場所であることに誇りを持っています。そして、自分に安心と喜びを与えてくれる地域社会に感謝し、何らかの形で恩返ししようと意識的に地域貢献を行っています。
- 彼らは自分の強みは好みを考え合わせて、どんな貢献活動ができるか考えています。そして自分の状況を考え方にあったグループと関わる機会ができるように、周りの人たちに自分の関心や特技を知らせています。
- このような人たちの貢献は、最初は小さいものかもしれません。一人だけの力で小さいかもしれません。
- しかし時間がたつにつれて彼ら同士、また周囲の人々との結びつきが強固になり、地域社会に欠くことのできない大きな影響を及ぼす存在となっていくのです。
幸せに仕事をする2つの条件とは?
幸せの5条件は、仕事・人間関係・経済・身体・地域社会です。
なにか1つだけ重点的に行うことで、幸せになることはできません。これはすでに説明した通りです。しかし、この5つの中で、もっとも比重の高いものがあります。それは、仕事です。
このことは、本書のなかでも紹介されています。そこで、幸せに仕事をする2つの条件をシェアします。
1つ目が、自分の強みを生かすことです。
「仕事が楽しい」と思える人に共通する点がいくつかありますが、その中で最も重要なのは、「毎日、強みを使う機会がある」ことです。
自分の弱みは失敗に意識を向けるよりも、うまくいってること、自分の強みに目を向けて日々を送る方が、人は多くのことを学び成長できます。
ギャラップ社の調査では、自分の強みを活かして仕事をしている人は、弱みに意識を向けて仕事をしている人に比べて、仕事に熱意を感じて楽しんでいる割合は6倍、人生を心から楽しんでる割合は3倍という結果が出ています。
自分の強みを活かして仕事をしている人は、週40時間の業務時間を楽しんでいます。一方、自分の強みを活かせず仕事をしている人は、週20時間までは元気に働きますが、20時間を超えたあとは、働けば働くほど疲れてしまいます。
人には、強みが必ず存在しています。周りの人から見れば、才能と見える部分です。
人は不幸が自分の身に起きたとき、なぜ自分にこんな不幸が起きるのだろう?と不思議がります。しかし、自分の強みを発見したときも、なぜ自分にはこんな才能があるのだろう?と意味を知りたがります。
そして、自分の強みを日々活かし、社会に貢献したときに喜びを感じることができます。なぜなら、才能に恵まれた意味を見出せるからです。こうして強みを生かして仕事をすること。これが幸せに仕事をする1つ目の条件です。
2つ目の条件は、上司に恵まれることです。
これは確率的に非常に難しいです。しかし、上司に恵まれることは、幸せに仕事をする上で、もっとも重要な条件となります。
ギャラップ社がこれまで調査した結果、仕事に熱意を失う危険性が最も高いのは「自分の上司は部下である自分に全く関心を持っていない」と感じている人でした。
もし、あるマネージャーが「部下の発言にまったく関心がなく、部下がどんな状態であるか気にしない」と思われているとしたら、そのチームメンバーの40%以上は、職場に対して強い不満を感じ、自分の仕事にまったく熱意が持てず、仕事に何らかの実害をもたらす可能性があります。
もし、マネージャーが「部下にあまり意識を向けていない」もしくは「部下の弱みに意識が向いている」場合(つまり、全く関心を持たないマネージャーよりも少しだけマシな場合)、職場や仕事に不満を持つチームメンバーの割合は、22%にまで下がります。
逆に、マネージャーが「部下の強みに意識を向けている」人である場合、そのチームで職場に不満を持つ人の割合は全体の1%まで下がります。これほどまで上司の影響力は大きいのです。
上司に恵まれている人は、その幸運に感謝する必要があります。
一方で、上司に恵まれていない人も、その上司を反面教師にしましょう。そして、自分が部下をもったときに、部下の強みに意識を向けるよき上司になってください。そうすれば、部下は幸せに仕事に取り組めるようになります。
以上、自分の強みを生かすこと・上司に恵まれることが幸せに仕事をする2条件でした。