
どうすれば、コミュニティをつくれるのか?
自己発展的に拡大するコミュニティをつくるには5つのポイントがあります。①インセンティブ、②リアルタイム、③不確実性、④ヒエラルキー、⑤コミュニケーションです。
お金2.0でわかったコミュニティづくりの5つのポイントを紹介します。
お金2.0
初版:2017年11月30日
出版社:幻冬社
著者:佐藤航陽
目次
なぜ、コミュニティづくりが大切なのか?
いまの時代、コミュニティづくりは非常に大切です。なぜなら、コミュニティづくりは稼ぐ力と直結しているからです。いまは信用を獲得し、ファンを作ることができれば、お金を稼ぐことが可能です。逆に稼ぐ力を身につけたければ、ファンを作る力を身につける必要があります。
革命のファンファーレでは、あなたにダイレクトに課金をしてくれる存在がファンであると書かれています。あなたにダイレクトに課金をしてくれるのは、あなたへの信用の証にほかなりません。そして、そうしたファンをたくさん抱えるコミュニティをつくることができれば、いつでもお金を稼ぐことが可能なのです。
コミュニティづくり5つのポイント
本書では、コミュニティよりも、もっと幅広い意味で優れた経済システムの要素が5つ紹介されています。経済システムとは、生産活動をうまく回す仕組みのことをいいます。
たとえば、会社組織も経済システムの1つです。ほかにも、貨幣経済自体も経済システムの1つでしょう。またフェイスブックも経済システムの1つです。そして、優れた経済システムには、自己発展的に拡大していくような仕組みがあるといいます。
たとえば、フェイスブックを考えてみると、人が人を呼ぶ仕組みとなっており、自然発展していく経済システムであることがわかります。
ただ、貨幣経済や会社組織などのように大きな枠で考えると、遠い話に聞こえてしまいます。そこで、自分にも実践可能なコミュニティづくりに置き換えて考えてみます。
では、いきます。自然発展していくコミュニティをつくるには、5つの要素が必要です。それが、こちらです。
- インセンティブ
- リアルタイム
- 不確実性
- ヒエラルキー
- コミュニケーション
どういうことか、1つずつ本書から引用して、紹介します。
報酬が明確である(インセンティブ)
経済システムなので当然ですが、参加する人に何かしらの報酬(インセンティブ)、明確なメリットがなければ始まりません。当たり前のように感じますが、この要素が抜けていて失敗することが実は最も多いです。
「素晴らしいと思うけれど積極的に参加する気になれない」という組織はサービスは、このインセンティブの設計が欠けています。
インセンティブにも、人間の生物的な欲望や社会的な欲望を満たすものがあり、複数の欲望が混ざっている場合もあります。
現在は生物的な欲望よりも社会的な欲望が目立ってきていて、中でも頭文字をとって3M(儲けたい、モテたい、認められたい)の3つが欲望としては特に強く、これらを満たすようなシステムは急速に発展しやすいです。
時間によって変化する(リアルタイム)
次に、時間によって状況が常に変化するという要素も必要です。
かならずしも本当にリアルタイムである必要はありませんが、常に状況が変化するということを、参加者が知っていることが重要です。
人間(生物)は変化が激しい環境では緊張感を保ちながら熱量が高い状態で活動することができます。反対に、明日も明後日も来年も変化が全くない環境で生活すると緊張も努力もする必要がありませんから、全体の活力は次第に失われていきます。
運と実力の両方の要素がある(確実性)
さらに、不確実な要素があったほうが経済システムとしては活気が出ます。
例えば、誰もが未来を正確に予測できて、生まれた瞬間から死ぬ瞬間までの結果がわかってしまうような世界があったら、必死に生きたいと思うでしょうか。映画も最初から結末がわかっていると興ざめしてしまいます。
人間は生存確率を高めるために不確実性を極限までなくしたいと努力しますが、一方で不確実性が全くない世界では想像力を働かせて積極的に何かに取り組む意欲が失われてしまいます。
自らの思考と努力でコントロールできる「実力」の要素と、全くコントロールできない「運」の要素が良いバランスで混ざっている環境のほうが持続的な発展が望めます。
秩序の可視化(ヒエラルキー)
ヒエラルキーというとネガティブな印象が強い言葉ですが、持続的に発展する「経済システム」を作る上で、秩序が可視化されている必要があります。
実際に社会で広く普及した経済システムは例外なくヒエラルキーが可視化されていて、明確な指標の役割を担います。
世の中には、偏差値、年収、売上、価格、順位のような数値として把握できるものから、身分や肩書きような分類にいたるまで、階層や序列に溢れています。
「経済」は実体のない、参加者の想像の中だけにある概念に過ぎません。
なので、目に見える指標がないと参加者は自分の立ち位置がわからなくなってしまいます。また、指標が存在することで、自分と他人の距離感や関係性を掴みやすくなるメリットもあります。
参加者が交流する場がある(コミュニケーション)
最後に重要なのが、「経済システム」そのものに参加者同士のコミュニケーションの機会が存在しているということです。
人間は社会的な生き物ですから、他人との関係性で自己の存在を定義します。参加者同士が交流しながらお互いに助け合ったり議論したりする場が存在することで、全体がひとつの共同体であることを認識できるようになります。
そのコミュニケーションの場を通して、問題があったらアイデアを出しあって解決したり、1人ではできないことを共同で実現したりできるようになります。この要素が、システム全体をまとめる接着剤としての機能を発揮します。
では、事象では具体的にコミュニティづくりに活かすアイデアを考えてみます。
読書会でコミュニティづくりを考えてみた!
わたしは、20代読書会というコミュニティを運営しています。実際に行っている活動は、週1回か2回の読書会の開催です。20代の参加者が20〜30人集まって、オススメの本をお互いに紹介していきます。そして、読書会終了後は近くでランチを食べて解散、というのが普段の流れです。
この読書会を考えたとき、さきほどの5つのポイントは押さえられているのでしょうか?もし押さえられていないなら、どう改善できるのでしょうか?考えてみました。
インセンティブ
参加者のインセンティブ(報酬)はお金ではありません。おそらく、勉強になった!いい本を知れた!という情報のインプットが第一のインセンティブになっていると思います。また、自分のオススメがきっかけで他の参加者が同じ本を買ったとか、他の参加者から感謝されたなどの承認も、インセンティブになっているのではないかと感じます。
他にも読書のモチベーションになるとか、土日を有意義に使えるなどのインセンティブもありますが、本書にあるような3M(儲けたい、モテたい、認められたい)のインセンティブは明確には設定されていません。ここは、要改善だと感じます。
リアルタイム
読書会はリアルタイム性は非常に高いです。まず、参加者が毎回変わりますし、初参加の方が必ずいらっしゃいます。そして、同じ参加者であっても、紹介される本は変わります。また、10分毎に発表者も変わっていきます。
そのため、同じ回の中でのリアルタイム性も高いですし、毎回のリアルタイム性も高いです。
不確実性
リアルタイムのところで説明したような不確実性はありますが、それ以外の部分では不確実性はありません。
もしかしたら、参加人数を減らして、毎回抽選で参加者を決めるなどの不確実性の演出をすれば、コミュニティとして活気が出るのかもしれません。ここも、要改善だと感じます。
ヒエラルキー
残念ながら、読書会にはヒエラルキーはまったくありません。ヒエラルキーをつくることが、コミュニティづくりに善だという認識がなかったため、設計していませんでした。
ただ、よくよく考えれば、健全なヒエラルキーであれば、あったほうが盛り上がるのは間違いないと思います。たとえば、プロ野球でも打率や本塁打で順位がつくから盛り上がるという側面は必ずあります。ここも、要改善です。
コミュニケーション
参加者同士のコミュニケーションは、存在します。読書会自体がコミュニケーションで成り立っていますし、読書会後に一緒にランチにも行きます。
ただ、それ以外でもコミュニケーションは、存在していません。なので、もしかしたら、3ヶ月に1回飲み会を開催してみたり、読書会からのスピンオフ企画をやってみたりするのもいいのかもしれません。
以上、簡単ですが、5つの要素に対して読書会の現状把握でした。ここからは、わたしが考える改善策を挙げていきます。
改善策①MVP制
読書会の最後に、今日のMVPを参加者の投票で選ぶというものです。そうすると、MVPに選ばれた人はもちろん、選ばれなくても票が入れば、他の参加者の役に立ったという承認欲求が満たされます。
さらに、MVPが1名選出されるので、ヒエラルキーも設計することが可能です。2週連続でMVPを取ろう!みたいな人も出てくるかもしれません。①インセンティブと④ヒエラルキーを満たす改善策です。
改善策②抽選制
すでに述べましたが、人数制限を厳しくして抽選制にするというものです。そうすると、今回は参加できないかもしれないという③不確実性が高まります。
改善策③スピンオフ企画
これもすでに述べましたが、読書会の参加者でコミュニケーションを促進する場を設けるというものです。わたしが人狼にハマっているので、人狼ナイトを開催するのが、もっとも有力な案です(笑)
以上です。ぜひ、みなさんも身近なコミュニティづくりに、活かしてみてください。