
正しい働き方をしていますか?
働き方にも損益分岐点があります。今回は読書会で損益分岐点を超える働き方を教えていただきましたので、紹介します。
目次
開催報告:20代読書会in東京
日時:05月12日(土)09:30-12:00
参加者:21名(男性:13名、女性:8名 初参加:6名、リピーター:15名)
MVP賞
セロ秒思考
紹介された本
働き方の損益分岐点
Google流 疲れない働き方
ヘンテコノミクス
英語の品格
嫌われる勇気
20代読書会in東京の感想
普段は技術書をメインで読んでいますが、ビジネス書に触れる機会を得られた
アウトプットできる、かつ、様々な視点で議論になるのが面白い
普段あまり本を読まないので、いろいろな話を聞けて面白かった
いろいろな本を知るのと同時に、どう読めばいいのかが分かる
本のプレゼンも参考になりますが、その後のディスカッションも知識が深まり、良かったです!
働き方の損益分岐点とは?
働き方にも、損益分岐点があります。
損益分岐点とは、ある地点の売上です。その地点とは、利益=コストとなる点です。つまり、損益分岐点を超えれば利益が出るし、損益分岐点を下回れば損が出ます。
そのため、ちょうど損益分岐点の売上で終わると、利益が0になります。
もちろん、損益分岐点は会計上の概念ですが、働き方にも当てはめて考えることができます。このことが「働き方の損益分岐点」(木暮太一)という本で紹介されていました。
では、働き方の場合、なにが売上でなにがコストになるのでしょうか?
労働の売上は、収入、達成感、満足感etcとなります。もちろん、収入から派生して、子どもの教育や家庭の安全など様々な恩恵があるでしょう。
一方で、
労働のコストは、時間、ストレス、健康etcとなります。こちらも、時間から派生して、機会損失として様々な損失が生まれるでしょう。
そして、損益分岐点は利益=0となる時点です。労働の利益=売上-コストとなるので、仕事の結果得られるものと失うものがイコールになる地点が損益分岐点です。
みなさんの働き方は、損益分岐点を超えているでしょうか?どうでしょう?
この問いに答えるのは、非常に難しいです。なぜなら、達成感や満足感・ストレスなどは数値化できませんし、同じ土俵で比較することができないからです。また、上司が変わったり、部署異動で仕事内容が変わったりすることで、変動することも多いからです。
いまの20代・30代前半の方は、60年以上働く世代ですから、人生を通して損益分岐点を超えた働き方ができるか否かは、とても難しい問題となるでしょう。
ただ、一般的なことをいうと、労働市場でも常にアビトラージが起きています。とくに転職への障壁が下がっている現代では、そう言うことができるでしょう。
ちなみに、アビトラージとは、価格差を利用して利益をあげることです。
労働市場での例えを言います。仮に、同じ能力を持つ2人がいたとします。一人はA社で年収500万、もう一人はB社で年収800万で、労働時間やストレスなどは同じとしましょう。そうすると、A社からB社に転職すれば、300万の利益が上がるということになります。そうすると、A社からB社への転職が頻繁に起きるようになります。これがアビトラージです。
ただし、アビトラージには、その先があります。A社は人材が流出しないように年収を上げていきます。B社も相場より高い年収だったことに気づき、年収を下げていきます。その結果、両社の年収はだいたい同じ水準におさまります。
そのため、「働き方の損益分岐点」にも書かれているとおり、労働の売上とコストには相場ができてきます。とくに売上の中心である収入と、コストの中心である時間はトレードオフの関係にあり、相場が決まっています。日本の労働市場では、時給2000円〜3000円に収まります。(もちろん、アルバイトではなく正社員の話です。)
嘘だと思う方は、ぜひ計算してみてください。
年間の労働時間は2000時間〜3000時間ですから、年収は400万(2000円×2000時間)〜900万(3000円×3000時間)に80%の人が収まっていることがわかるでしょう。
その結果、わかることがあります。それは、損益分岐点を超える働き方は難しいということです。なぜなら、相場感が決まっているので、損益分岐点を超えて利益を出すような外れ値になることが難しいからです。
損益分岐点を超える働き方とは?
損益分岐点を超える働き方が難しいことは、すでにお伝えしました。しかし、それを踏まえて、損益分岐点を超える方法が2つありますので、紹介します。
1つは、仕事から特別な満足感を得ること。
もう1つは、付加価値の世界に入ること。
この2つです。どういうことか、1つずつ解説していきます。
仕事から特別な満足感を得る
労働市場でアビトラージが起きているのは、普通の人の場合です。しかし、普通の人にはなんでもない仕事だけど、自分にとっては特別な満足感がある場合は、アビトラージは起きません。
たとえば、アパレル店員さんでめちゃくちゃ服が好きだとします。わたしも服は好きなので、いい店員さんには本当に感謝しています。
ただ、一般的に考えると、立ち仕事で肉体的にもキツくて高給とも言えません。シーズンごとに売り場に並ぶ服を購入する必要もあります。お客さんの中には、嫌な人もいるでしょう。そのため、カッコいい仕事かもしれませんが、その分(労働としての)売上も少なく、(労働としての)コストも高いです。
ただ、その店員さんが服を扱えること、日々最新の服に囲まれていることに特別な満足感を感じる場合は、特別に(労働としての)売上が高まります。そのため、損益分岐点を超えていくことができます。
つまり、好きなことを仕事にすることで、損益分岐点を超えることができるのです。
もちろん、好きな仕事というのは幅広い意味があります。達成意識の強い人なら、営業で売上を上げることに特別な満足感を感じるかもしれません。子供が好きな場合は、保育士として特別な満足感を感じる場合もあるでしょう。
そうした意味で好きな仕事をすることで、仕事から特別な満足感を感じることができ、損益分岐点を超えることができます。これが1つ目の方法です。
付加価値の世界に入る
付加価値の世界で収入を得ることでも、損益分岐点を超えていくことが可能です。
これを理解するには、給料や価格の仕組みを理解する必要があります。世の中の価格には2通りの値付けの方法があります。
1つは、使用価値(付加価値)にもとづいて値付けされている場合
もう1つは、価値(製造コスト)にもとづいて値付けされている場合
この2通りです。
PCがわかりやすいので、PCの例で考えてみましょう。
macのPCは使用価値(付加価値)で値付けされており、windowsのPCは価値(製造コスト)で値付けされています。たとえば、mac book(12インチ)で以下の条件だと142,000円です。
- 12インチ
- CPU:1.2GHz/2コア
- メモリ:8GB
- SSD:256GB
上記の条件でWindowsのPCを検索してみると、最安値で88,000円でした。ボリュームゾーンでいえば、110,000円あたりです。そう考えると、mac bookは割高に見えます。
では、なぜmac bookは142,000円なのでしょうか?
これは製造コストではなく、使用価値で値段が決まっているからです。そのため、単純なスペック比較ではコストパフォーマンスの悪いmac bookであっても、多くの消費者が購入しているのです。(ちなみに、わたしもmacユーザーです)
ここで言いたいことは、macのPCは値段の相場から外れているということです。つまり、使用価値(付加価値)の世界では、製造コストとは関係のない値段がつけられるということです。
そして、同じことが給料にも言えます。大半の場合、給料はコストから計算して決まっています。
たとえば、40代男性の給料は、一般的な40代男性の生活費を考慮して決まっているということです。多くの場合、40代男性は結婚しており、子どももいます。そして、住宅も購入している場合が多いです。そうした一般的な生活費を考慮して、給料が決まっているということです。
他にも弁護士や公認会計士、高学歴な人たちの給料が高いのも同じ理由です。資格や学歴のためにかけたコストが高いため、こうした人たちの給料は高く設定されているのです。決して、20代男性Aと40代男性Bの付加価値(仕事での成果)を同じ土俵で比較して、給料は決まっていません。
なので、損益分岐点を超える働き方は簡単です。
給料以外でお金を稼ぐことです。もちろん、競合がひしめく働き方をしてしまうと、アビトラージが起きてしまいます。しかし、わざわざ個人でお金を稼ぐときに、そんな競合がひしめくマーケットに参入する必要はありません。マーケットとして大きくなくても、参入者のすくないところで顧客をしっかり囲い込めば、付加価値としてお金を稼ぐことが可能です。
これが損益分岐点を超える働き方の2つ目です。