
なぜ、生産性の高いチームと低いチームがあるのか?
それはリーダーシップやメンバーの能力に違いがあるからではありません。読書会でわかったチームの生産性をあげる4つのポイントを紹介します。
目次
開催報告:20代読書会in東京
日時:05月19日(土)09:30-12:00
参加者:25名(男性:12名、女性:13名 初参加:8名、リピーター:17名)
MVP賞
チームが機能するとはどういうことか
紹介された本
- 昭和史
- 2軸思考
- 「学力」の経済学
- ほとんど想像すらされない奇妙な生き物たちの記録
- 過敏で傷つきやすい人たち
- ベロニカは死ぬことにした
- 1000円ゲーム
- 街場の現代思想
- 未来に先回りする思考法
20代読書会in東京の感想
- 他分野の知識が聞けた
- 自分が普段手にとらない本を知ることができた
- いろんなお話が聞けて楽しかったです。
- 新たな学びが多く、読みたい本にも出会えました
なぜ、生産性に差が出るのか?
チームによって生産性の高いチームと低いチームがあります。この差は、なぜ生まれるのでしょうか?
リーダーのリーダーシップやメンバーの能力が最大の要因ではありません。なぜなら、同じメンバーでもプロジェクトによってパフォーマンスを発揮できる場合もあれば、発揮できない場合もあるからです。リーダーも同じです。プロジェクトによって成果を出せる場合もあれば、出せない場合もあります。
わかりやすい例が野球チームでしょう。4番を打っていたスター選手が打てなくなり(生産性を落として)、戦力外通告を受けます。しかし、別のチームに入った途端に復活して大活躍するということは珍しくありません。逆に前のチームではエース級のピッチングをしていたののに、移籍した途端に勝てなくなってしまうピッチャーもいます。
監督も同じです。あるチームを再建してリーグ優勝に導いたのに、別のチームの監督をしたときは成績が一向に振るわないということもあります。そのため、リーダーやメンバーの能力だけが、チームの生産性に影響を及ぼすわけではないのです。
今回「チームが機能するとは、どういうことか」という本を紹介していただきました。そして、その中にチームの生産性を左右する4つのポイントが紹介されていました。それが、こちらです。
- 学習の重要性が浸透している
- 失敗から学ぶ文化がある
- 境界をつないでいる
- 心理的安全性が高い
4つ目については、次章で詳しく説明します。そのため、ここでは1〜3つ目のポイントについて簡単に見ていきます。
学習の重要性が浸透している
学習の重要性が浸透していると、3つのメリットがあります。
第一にチャレンジのしやすいチームとなります。なぜならば、うまくいかないことを恐れてチャレンジしなくなるということが起きないからです。学習の重要性が浸透していれば、失敗は学習の成長機会とみなされます。そのため、チャレンジしやすいチームとなります。
第二に能力の向上に積極的に取り組むようになります。なぜならば、能力が先天的に決まっているわけではないという認識が浸透するからです。その結果、実際にメンバーの能力が向上していきます。
第三に結果の出ない人や能力の低い人をバカにしない文化になります。なぜなら、どんな人も成長できるし、成長すれば結果が出るようになるとわかっているからです。そのため、経験の浅い人や能力の低い人が委縮せずに、仕事に取り組めるようになり、メンバー全員の能力が向上していきます。
失敗から学ぶ文化がある
失敗から学ぶ文化があると、これにも3つのメリットがあります。
第一にチャレンジしやすいチームとなります。なぜなら、成果だけで判断されないので、自分の能力以上の難しい課題にも取り組みやすくなるからです。そうすると、メンバーの能力が向上する成長機会も多くなります。
第二に失敗を放置しなくなります。なぜなら、失敗は学びの機会と認識されているので、課題や改善策を明確にするようになるからです。そうすると、成長につながり、次回に生かすようになります。
第三に失敗を隠したり、ごまかしたりしなくなります。一般的なチームだと失敗すると責任を他人に押し付けたり、隠したり、ごまかしたりします。しかし、失敗から学ぶ文化があれば、そうした非生産的なことは起きません。
そのため、被害を最小限に抑えることができます。さらに、失敗の原因や改善策をメンバー全員で共有することができるので、同じ失敗が起きにくくなります。そして、ムダな政治的な動きも発生しにくいので、生産的な仕事にのみエネルギーを注ぐことができます。
境界をつないでいる
境界とは、地位・役職の差、男女・年齢の差、経験の差、国籍・文化の差のことです。これらの境界をつなぐ機能が働いていると、互いに信頼関係を築きやすく、メンバーが能力を発揮しやすくなります。
なぜなら、バックグラウンドが異なると、意見の相違や遠慮が起きがちです。そのことが、誤解や不信の要因ともなります。意見の相違があることは構いませんが、それが誤解や不信に発展するとチームの生産性は落ちていきます。なので、境界をつなぎ、信頼関係を築くことで、メンバーの能力を発揮しやすくし、生産性をあげることができます。
心理的安全性とは、なにか?
プロジェクト「アリストテレス」をご存知ですか?
これはGoogleが行なっていたプロジェクトで、テーマは「なにがチームの生産性をわける要因なのか」です。Googleには世界中から優秀な人が集まってきます。しかし、その中でもチームによって生産性にバラツキがあるそうです。
そこで、先ほどのテーマで世界中のチームを分析し、チームの生産性を高める要因を突き止めたプロジェクトがアリストテレスです。プロジェクト・アリストテレスでは、このような仮説が立てられていました。
- チームのメンバーが求める利益が一致していたか?
- チームのメンバーは仕事外でもコミュニケーションが取れていたか?
- チームのメンバーは同じ趣味を持っていたか?
- チームのメンバーの学歴は重要か?
- チームのメンバーは外交的か内向的か?
などなど、ありとあらゆる要因を考えて研究したそうです。その結果、たどり着いた結論が”心理的安全性”です。つまり、Googleも「チームが機能するとは、どういうことか」と同じく、チームの生産性には”心理的安全性”が重要であると主張しているのです。
では、どうすれば心理的安全性の高いチームを作れるのでしょうか?
プロジェクト・アリストテレスでは、2つの要因を述べています。
- メンバーが、ほぼ同じ割合で話をしている
- メンバーの対人感性力が高い
この2つが心理的安全性に影響しているようです。どういうことか、1つずつ解説します。
メンバーが、ほぼ同じ割合で話をしている
これは、そのままの意味です。チームの中で、リーダーにだけ発言権があるようなチームは心理的安全性が低く、生産性も低かったのです。同様に、少数のメンバーだけが発言をしていてもダメです。
地位や経験、能力などによらず、全員に発言権があり、発言の機会がなければ、チームの心理的安全性は高まりません。考えてみてください。自分の意見が尊重されておらず、関心も向けられていなかったら、安心して仕事をできるでしょうか?ムリですよね。
だから、全員が等しく発言しているようなチームには心理的安全性があり、生産性が高くなるそうです。
メンバーの対人感性力が高い
対人感性力とは他人の感情や機微を推し量る能力です。
声のトーンや表情、しぐさなどから、他のメンバーがどう感じているのか、なにを思っているのかを推察する能力の高いメンバーが揃っていると、心理的安全性は高くなるそうです。簡単に言い換えれば、共感力の高いチームということになります。
共感力の高いメンバーが集まっていると、心理的安全性が高く、生産性も高くなるそうです。
以上が、チームの生産性を高めるポイントでした。
まとめると、
- 学習の重要性が浸透している
- 失敗から学ぶ文化がある
- 境界をつないでいる
- 心理的安全性が高い
この4つがポイントであり、特に「心理的安全性」は重要なテーマのようです。そして、メンバー全員が等しく発言をし、共感力の高いメンバーが揃っていると心理的安全性が高くなるようです。
マインドフルネスなどと同様にチームの生産性(チームの心理的安全性)についても、Googleから研究結果をまとめた本が出るといいなと望んでます。