「プラットフォーム革命」で個人が価値を創造する時代だと理解した!

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プラットフォーム革命

なぜ、価値創造の時代になったかわかりますか?

それは世界でプラットフォーム革命が起きているからです。その結果、企業から個人へのパワーシフトが起きています。価値を創り、消費するプロセスに変化が起きているのです。プラットフォーム革命でわかった変化を紹介します。


プラットフォーム革命

初版:2018年02月07日

出版社:英治出版

著者:アレックス・モザド

プラットフォーム革命とは、なにか?

プラットフォーム革命とは、ビジネスモデルの変化です。20世紀型ビジネスとプラットフォーム・ビジネスは根本的にビジネスの成り立ちが異なります。

そして、プラットフォーム革命の結果、いま世界ではプラットフォーム企業が市場に圧倒的な影響力を持っています。

現代のインターネットは、ほぼ完全に、プラットフォームに支配されている。たとえば、アメリカのインターネット利用の25%近くは、フェイスブックを使うことが目的だ。グーグルの影響力はもっと大きい。2013年4月16日、原因不明の理由により、同社のプラットフォームが数分間ダウンしたとき、世界のインター ネット・トラフィックが推定40%も低下した。検索エンジンとソーシャルネットワークだけではない。プラットフォームは現在、想像しうるほぼすべての商業分野で、大きな役割を果たしている。 2015年、アメリカで最も多くのトラフィックを集めたウェブサイトのトップ10はすべて、トップ25では20サイトがプラットフォームだった。
プラットフォーム・ビジネスの優位は、アメリカに限ったことではない。プラットフォームは真にグローバルな現象だ。むしろアメリカよりも途上国で、目覚ましい役割を果たしている。多くの途上国では、経済の急激な成長がインターネットの普及と同時に起きた。このため産業そのものが、インターネットを中心に構築されつつある。中国がいい例だ。金融、建設、石油生産など国が支援する産業以外では、メッセージングサービス大手のテンセントや検索エンジン最大手のバイドゥなど、最も価値の高い企業のほとんどがプラットフォーム・ビジネスだ。

Facebookがインターネット利用の25%、Googleが40%以上を占めているのです。

そして、著者はこうしたプラットフォーム企業の影響力の大きさを社会主義的と述べています。

ある意味で現在のグーグルは、強大なソ連が実現できなかった社会主義のユートピアを作りつつある。あなたがグーグルをこのように考えないのは、マーケティングやイデオロギーのせいにすぎない。グーグルは実のところ、検索結果を通じてユーザーが何をほしがるべきか誘導しているのに、ユーザーはグーグルを使うことで自分がエンパワーされた気持ちになる。ウーバーは、あなたが乗るべき車を選び、あなたが指定する目的地までのルートをドライバーに指示しているにもかかわらず、あなたをハッピーな気分にする。こうした経済活動はすべて、中央のコンピューターのアルゴリズムによって計画され調整されているにもかかわらず、誰も不快に思っていないようだ。どうやら人々が嫌うのは、計画経済そのものではなく、お粗末な計画経済だけらしい。

たしかに、その通りです。Google mapを使わずに、新しい街を歩くことは考えられません。

たとえば、引越しをして新たな通勤経路を調べるときを考えてみましょう。ほとんどの人はGoolge mapを使います。そのとき、Googleが交通渋滞が起きないように、表示する経路を調整したら、どうなるでしょうか?

利用者は経路が調整されて表示されていることに気づかず、Goolge mapに従って通勤を始めるでしょう。

FacebookにしてもAmazonにしても、多大な影響力を持っています。Facebookは、誰と誰を知り合いにさせるかをコントロールできるかもしれません。Amazonは、誰に次に何を買わせるかをコントロールできるかもしれません。そして、その影響の範囲は広がる一方です。

AppleはApple pay、GoogleはGoogle pay、アリババはアリペイを出して、決済戦争も始まりました。決済戦争を制した企業は世界銀行を設立できるくらいの影響力をにぎるかもしれません。なぜなら、その企業が発行するポイントは、世界中で利用可能になるからです。

google-pay

いまは、このようにプラットフォーム企業が圧倒的な圧倒的な影響力を持つようになっています。このことをプラットフォーム革命と呼びます。では、次章ではビジネスモデルの変化とその影響を解説していきます。

なぜ、価値創造の時代なのか?

プラットフォーム革命の結果、企業ではなく個人が価値を生み出す時代になったからです。

それを理解するには、20世紀型ビジネスとプラットフォーム・ビジネスのビジネスモデルの違いを理解する必要があります。

では、まず20世紀型ビジネスです。20世紀型ビジネスは、直線的なビジネスモデルと表現されています。

21世紀型企業

直線的なビジネスモデルとは何か。それは産業革命の時代に蒸気機関や鉄道などの新技術によって垂直統合された大組織が誕生して以来、ずっと経済を支配してきたビジネスモデルだ。スタンダード・オイル、ゼネラルモーターズ(GM)、USスチール、ゼネラル・エレクトリック(GE)、ウォルマート、トヨタ自動車、エクソンモービルなど、20世紀の業界最大手は直線的なビジネスを展開していた。
これらの企業はみな、商品またはサービスを作り、それを顧客に販売した。そこでは、価値はサプライチェーンを通じて一方向に直線的に流れる。このサプライチェーンでは、企業の左側に費用、右側に収益がある。直線的な企業は、商品やサービスという形で価値を作り、それをサプライ チェーンの下流に売る。

次に、プラットフォーム・ビジネスです。プラットフォーム・ビジネスは価値の相互交換がポイントとなります。

プラットフォーム企業

21世紀には、サプライチェーンは企業価値の中核をなさなくなった。ネットワークが企業と個人を結びつけ、お互いの価値交換を可能にしているからだ。これは、プラットフォーム・ビジネスモ デルのエッセンスと言える。
直線的なビジネスは、社内で価値を生み出し、その価値を顧客に動かすことに力を入れる。価値の流れは左から右、つまりプロデューサーから消費者へと一方向だ。そこでは企業が社内に保有していて動員できる資源が、最も価値ある資産になる。だが、ネットワークにおける価値の交換は、左から右、右から左へと、多様な方向性を持つ。その結果、プラットフォー ム・ビジネスの仕組みは、伝統的なサプライチェーンのなかで動く企業とは大きく異なる。
現在、ビジネスの価値の中核をなすのは、ネットワークだ。次章で詳しく触れるが、世界がよりコネクトされると、企業が何を所有しているかよりも、何を結びつけられるかのほうが重要になる。現在最も価値が高い企業は、大規模なネットワークを構築して調整できる企業であって、社内に大量の資源をためこみ、それを動かす企業ではない。昔のビジネスモデルでは、社内の内的資源に投資して、成長させることで、スケールが得られた。だが、ネットワーク化された世界では、自社のビジネスの外にネットワークを育てることによって、スケールを得る。

まとめると、

20世紀型ビジネスでは、企業が価値を創造し、ユーザーが消費する
プラットフォーム企業では、ユーザーが価値を創造し、ユーザーが消費する

という変化が起きています。つまり、価値が生み出される場所が、企業からユーザーにシフトしているのです。

突然、現代の経済で、価値が作られる場所に重大なシフトが起きた。もはや価値を生み出すのは 企業だけではない。消費者が価値を作り、それをシェアするようになった。ウィキペディアはその典型だ。さっき、分厚い百科事典から、安くて効率的なCD-ROMへのシフトが起きた話をしたが、それはコンピューターの処理能力が高まり、記憶媒体の価格が急落し、流通コストが大幅に下がったことが原因だった。インターネットはこのトレンドを引き継ぎ、流通コストをもっと安くした。だが、ウィキペディアはこのシフトをさらに一歩進めた。流通コストを下げただけでなく、専門家が作成したコンテンツを、ユーザーが作ったコンテンツに置き換え、制作費も激的に変えたのだ。新しいツールと、きちんとした通信能力があれば、個人のコミュニティーでも、垂直統合された企業と同レベルの仕事(しかも底深さと幅広さについて一定の質を伴う)をできることがわかった。しかもウィキペディアでは、はるかに低いコストでそれができた。

そして、プラットフォーム企業は世の中に多数存在しています。

プラットフォーム

その結果、様々な分野で企業が苦戦を強いられています。

たとえば、今まで動画コンテンツを生み出すのはTV局だけでした。しかし、今ではユーチューバーも動画コンテンツを生み出し、TV局と競合しています。インスタグラムを見れば、企業よりも影響力のある個人のインフルエンサーが存在しています。テキスト媒体も同じです。今までは雑誌や新聞が大きな影響力を持っていましたが、newspicksで発言している個人のほうが影響力を持つ場合があります。

このように価値を生み出す場所が企業から個人にシフトしている分野では、企業が苦戦し、個人のほうが影響力をもつ時代になりつつあります。

もちろん、すべての分野において、個人の影響力が強まるわけではありません。小資本(orゼロ資本)で価値を生み出せる分野のみ、企業の影響力は弱まっていきます。

たとえば、自動車や薬などは巨大資本がなければ、研究も製造もできません。こうした分野では、今までと同じように企業が大きな影響力を持ちます。しかし、映像や動画、テキストなどはコンピュータ技術や通信技術の進歩により、小資本でできることが大幅に増えました。企業が使う本格的なソフトウェアも個人で利用できるほど低価格になっています。そうした分野では、今後も20世紀型ビジネスは苦戦を強いられるでしょう。

ここからは余談ですが、わたしが注目するプラットフォーム戦争があります。

前の章でも伝えた”決済プラットフォーム”の取り合いです。ここが天下分け目の争いであるように感じます。Google、Apple、Amazon、アリババは一長一短ありますが、どの会社が勝ち残るのかはまだ全くわかりません。

ただ、1つわかるのは、Facebookが大きく出遅れているということです。GoogleはAndroidのGoogle playを通じて、かなりのクレジット情報を取得しています。Appleも同様です。Amazon、アリババは通販なので当然です。しかし、Facebookだけは、まったくクレジット情報を取得できていません。今後、どういう戦略に出るのか楽しみです。

そして、このプラットフォーム戦争に勝ち残るのは1社のみです。すべての会社が一定のシェアを取り合って共存することは考えにくいです。なぜなら、ソフトフェアの場合、サービス間の移動が簡単だからです。たとえば、検索エンジンを考えてみてください。10年間Yahooを使っていた人でも、今日からGoogleを使い始めることは可能でしょう。

ソフトウエアだけならコモディティーにすぎないと言ったウィルソンは正しかったようだ。伝説的投資家のウォーレン・バフェットは、純粋なソフトウエア会社にはみずからのビジネスを守る「堀」がないと語っている。だから、ライバルが城壁を壊すのは簡単だ。ほとんどの分野は参入障壁が比較的低いから(スタートアップを立ち上げるコストがこれまでになく下がっている現在は特にそうだ)、いずれライバルが現れて、もっと質が高いか、もっと安い類似ソフトウェアを提供するのは確実だ。そこでネットワーク効果の出番となる。
あるプラットフォームでユーザーの取った行動が、別のユーザーが得る価値に直接的なインパクトを与えるとき、そこにはネットワーク効果が存在すると言うことができる。

ちなみに、ネットワーク効果はユーザー数の2乗で測ることが可能です。

「メトカーフの法則」 (イーサネットを発明したロバート・メトカーフに由来)は、「ネットワークの価値は、接続されているユーザー数の2乗に比例す る」(ネットワーク価値=n2乗)としている。

決済は典型的にネットワーク効果が働きます。そのため、1社がネットワーク効果を発揮し始めたら、他社が共存することは考えられません。国によってシェアの差は出るかもしれませんが、最後に勝ち残るのは1社です。プラットフォーム革命によって、5年後ですら想像できない大変革期が到来しています。楽しみですね。

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