「残酷すぎる成功法則」でわかった成功の7原則とは?

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残酷すぎる成功法則

世の中の成功法則に意味はあるのか?

ほとんどありません。なぜなら、エビデンスがないからです。「残酷すぎる成功法則」でわかったエビデンスがあり、普遍性のある成功の7原則を紹介します。


残酷すぎる成功法則

初版:2017年11月03日

出版社:飛鳥新社

著者:エリック・バーカー

なぜ、成功法則は無意味なのか?

イノベーション

成功哲学本を読んだこと、ありますか?

わたしはたくさん読みました(笑)。自己啓発本の中でも、成功法則を書いた本は数多くあります。学生の時は、そうした本を怪しいと感じていました。ところが、社会人になって、とても有益なんじゃないか?と思って、かなりの数を読みました。

しかし、「残酷すぎる成功法則」曰く、そうした成功哲学本は、ほぼ無意味だそうです。

日本にも「幸福になれる」とか「人生うまくいく」とかの本はたくさんあるが、そのほとんどは2つのパターンに分類できる。
①著者の個人的な経験から、「わたしはこうやって成功した(お金持ちになった)のだから、同じようにやればいい」と説く本
②歴史や哲学、あるいは宗教などを根拠に、「お釈迦さま(イエスでもアッラーでもいい)はこういっている」とか、「こんなとき織田信長(豊臣秀吉でも徳川家康でもいい)はこう決断した」とか説く本

そして、こう続きます。

じつはこれらの本には、ひとつの共通点がある。それは証拠(エビデンス)がないことだ。ジャンボ宝くじで三億円当たったひとが、「宝くじを買えばあなたも億万長者になれる」という本を書いたとしたら、「バカじゃないの」と思うだろう。なぜなら、この「成功法則」には普遍性がないから。ちょっと計算すればわかることだが、宝くじで1等が当 たる確率は、交通事故で死ぬ確率よりずっと低い。
ところが世の中には、不思議なことに、「1等がたくさん出た売り場に行けば当たりやすい」と行列をつくるひとが(ものすごく)たくさんいる。

つまり、世の中の成功法則は個人の体験談や偉人の考えを引用していて、エビデンスがありません。普遍性がないので、「宝くじを買えば億万長者になれる」レベルの成功法則で溢れていると言うのです。

そして、その1つの例が「引き寄せの法則」です。

みなさん、引き寄せの法則をご存知ですか?「ザ・シークレット」が引き寄せの法則では、古典的名著です。

ダイジェスト版の動画がありますので、気になる方はご覧ください。いまも世界中で人気の成功法則で、多くのファンがいます。実際に成功した人で、引き寄せの法則にもとづいた発言をされることもあります。また、引き寄せの法則にもとづいた自己啓発本も多数出版されています。

しかし、残念ながら、引き寄せの法則にはエビデンスがないそうです。

ニューヨーク大学心理学教授のガブリエル・エッティンゲンは、欲しいものを夢に思い描くだけで、実現の可能性が高まるといった類の説に猜疑的だった。
そこで、同氏は研究を重ね、自分の考えが正しいことを証明した。実際、彼女は十二分に正しかった。夢見ることは、あなたの望みを実現しないばかりか、欲しいものを手に入れるチャンスを も遠ざけてしまう。いやいや、「ザ・シークレット」は効かないのだ。

その理由は、こう書かれています。

人間の脳は、幻想と現実を見分けるのが得意でないことが、明らかにされている(だから映画は スリリングなのだ)。何かを夢見ると、脳の灰白質はすでに望みのものを手に入れたと勘違いしてしまうので、自分を奮い立たせ、目標を成し遂げるのに必要な資源を集結させなくなってしまう。そのかわりにリラックスしてしまうのだ。するとあなたはやるべきことを減らし、達成すべきことも減らし、結局夢は夢で終わってしまう。残酷な話だがポジティブシンキングそれ自体は、効果を発揮しないのだ。
あなたは、ダイエット後のほっそりした水着姿を思い描いたりするだろうか? ある実験で、そんな風にポジティブに思い描いた女性たちは、ネガティブなイメージを浮かべた女性たちに比べて、体重の減少分が10キロほど少なかったという。完璧に理想通りの仕事に就くことを夢見ているなら、出願書類を出す数が自然と減り、その結果、内定をもらえる数も減ることになる。成績でたくさんAをもらうことをイメージしている者は、勉強時間が減り、成績が落ちることになる。

つまり、引き寄せの法則は逆効果をもたらし、目標達成の妨げとなります。

誤解がないように伝えると、本書では目標を設定することは否定していません。しかし、引き寄せの法則で推奨されているように、その目標がすでに達成できているとイメージすることは逆効果になります。脳の白灰質が勘違いしてしまい、目標への意欲が低下するからです。そして、当たり前ですが、努力をすることなく、目標が勝手に引き寄せられてくることなどありません。目標は努力して手繰り寄せるものですから。

効果的な成功の7原則とは?

考える

エビデンスのある成功法則はないのでしょうか?あります。本書では、このように紹介されています。

成功者となるために、覚えておくべき最も重要なことは何だろう?
ひと言でいえば、それは「調整すること(アラインメント)」だ。
成功とは、一つだけの特性の成果ではない。それは、「自分はどんな人間か」と「どんな人間を目指したいか」の二つを加味しつつ、そのバランスを調整することだ。
成功の秘訣は、たとえばあなたの強みであるスキルを最適な職務で活かすこと。周りをギバーに 囲まれたギバーになること。あるいは、あなたが前進できる形で社会とつなげてくれるストーリー。あなたを助けてくれるネットワークと、あなた本来の内向性、外向性を活かせる仕事。また、ものごとを習得するときも、失敗した自分を許すときも、たえずあなたを前進させてくれるセルフ・コンパッション。そして、多方面で豊かな人生をつくる四要素間のバランスである。

つまり、「自分はどんな人間か」と「どんな人間を目指したいか」を十分に理解した上で、7つの成功法則があると言うのです。その7つがこちらです。

1)強みであるスキルを最適な職場で活かすこと
2)周りをギバーに囲まれたギバーになること
3)前進できる形で社会とつなげてくれるストーリーを持つこと
4)助けてくれるネットワークを持つこと
5)本来の内向性・外向性を活かせる仕事
6)前進させてくれるセルフ・コンパッションを持つこと
7)多方面で豊かな人生をつくる4要素のバランスを保つこと

これらにはエビデンスがあり、普遍性があります。すべてを紹介すると、本書と同じ分量になってしまいますので、上記のうち3つを紹介していきます。

3)前進できる形で社会とつなげてくれるストーリーを持つこと

“正しい努力”をすること、これはとても重要です。本書でも書かれていますが、「グリット」にも繰り返し書かれています。そして、その”正しい努力”をやり続けられる人は成功に近づきます。このやり続ける力の源泉となるのが、「ストーリー」です。

ここで言うストーリーとは、自分が自分に語る自分のストーリーのことです。

海軍の調査で、グリットを持った人びとが逆境に耐える際に行っている(ときに無意識に)いくつかのことが明らかになった。そのなかに、心理学的調査で何度も浮かびあがった一つの習性があった。
それは「ポジティブな心のつぶやき」だった。もちろん、海軍シールズは腕っぷしの強い者を求めていたが、そうした隊員になれる秘訣の一つは「小さな機関車リトルエンジン」のように、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と自分を励ますことだったのだ。
人は毎分頭のなかで、300~1000語もの言葉をつぶやいているという。そのなかにはポジティブな言葉(「きっとできる」)も、ネガティブな言葉(「ああ、もう我慢できない」)も含まれている。そして前向きな言葉は、私たちの精神的な強さややり抜く力に大きなプラスの影響をもたらすことがわかった。

そして、こう続きます。

ストーリーは決して現実世界を厳密に映したものではないが、だからこそ、人びとの成功を可能にする。努力や才覚と相まって、ストーリーは私たちを前進させ続け、目標の達成を予言する。人は特定の何かを成し遂げるべく”生まれついて”いるわけではない。しかし、もしもストーリーが、“あなたはこれを成すために生まれてきた”と自分に語りかけるなら、さっと目標達成に向かってやり通すことができる。それこそが運命だといえる。

つまり、いまの困難を乗り越えて、自分はこのように成功していくんだというストーリーを自分に語り続けることで、物事をやり遂げることができます。そうすると、目標達成に近づくのです。そして、自分がどんなストーリーを自分に語っているかは、非常に重要だと実験でも証明されています。

荒唐無稽で抽象的に響くかもしれないが、その効力は計り知れない。ストーリーは、意識にのばらない心の奥の底流として、人生の驚くほど多くの重要な局面で成功を後押ししている。
たとえば、夫婦が将来もうまくいくかどうかを正確に予言するものがある。それはセックスでも、お金でも、共通の目標でもない。心理学者のジョン・ゴットマンが、夫婦同席の状態で二人の歴史や結婚生活についてインタビューし、語られた内容を分析したところ、夫婦が後年離婚するかどうかを94%の精度で予測することができたという。

これがストーリーの力です。

自分に対して、ポジティブなストーリーを語り続けることで、やり続ける力を得ることができます。困難や壁に当たっても、乗り越え続けることで、成功に近づくようです。

6)前進させてくれるセルフ・コンパッションを持つこと

自信も成功と、よく併せて語られます。大抵の場合は、自信を持つことをよしとされます。しかし、自信は過剰な場合も不足した場合も、両方デメリットがあります。

ここまで自信過剰と自信があまりないことの双方を見てきた。自信過剰はあなたの気分を良くし、グリットを与えてくれ、他者に強い印象を残せる。しかし反面、傲慢になりやすく、人びとから疎外され、自己を改善できず、また現実を見ないためにすべてを失うかもしれない。一方、自信が不足気味なほうが、道を究めるのに必要な意欲と手段を得られ、人びとから好感を持たれる。だが、気分は沈みがちで、他者から能力を低く見られるようなシグナルを送ってしまいがちだ。

そのため、本書では自信ではなく、セルフ・コンパッションを持つべきだと言っています。

では、自信に代わる概念があるだろうか?教育心理学者でテキサス大学准教授のクリスティン・ネフは、それは「自分への思いやり(セルフ・コンパッション)」だという。自分自身への思 やりを持てば、失敗したときに、成功の妄想を追う必要もなければ、改善の見込みがないと落ち込む必要もない。ばかげた期待を膨らませたり、目標に届かないと自分を責めたりしてヨーヨーのように上がり下がりすることもない。私はなんて素晴らしいんだ、と自分に嘘をつく必要もない。そのかわり、うまくいかないときには、自分を許すことに心を注げばいいのだ。
セルフ・コンパッションには、自尊心のプラス面がすべて含まれるが、マイナス面は含まれない。良い気分で仕事の成果を上げられ、高慢ちきになることもなければ、自己の改善を怠ることもない。自信と異なり、自分への思いやりは妄想につながることもない。

つまり、自信よりもセルフ・コンパッション(自分への思いやり)を持つことが重要です。なぜなら、セルフ・コンパッションには自信のいい側面は含まれていて、悪い側面は含まれていないからです。

セルフ・コンパッションがあれば、失敗したときにも自分の存在を否定したり、もうだめだと諦めたりせず、課題と向き合うことができます。課題と向き合って改善策を試せば、成功に近づくようです。

7)多方面で豊かな人生をつくる4要素のバランスを保つこと

幸せな人生って、どんなものでしょうか?

本書では、幸せな人生には4つの必須要素があると書かれています。

ローラ・ナッシュとハワード・スティーブンソンの調査結果から、幸福の測定基準として、次の4つが必須要素であることが明らかになった。
1 幸福感 人生から喜びと満足感を得ていること
2 達成感 何らかの業績でほかに抜きんでていること
3 存在意義 身近な人びとに、ポジティブな影響を及ぼしていること
4 育成 自分の価値観や業績によって、誰かの未来の成功を助けていること

成功の7原則の前提は、「自分はどんな人間か」と「どんな人間を目指したいか」が明確であることがあります。そして、この2つの問いへの答えから、幸せな人生に必要な4要素(幸福感、達成感、存在意義、育成)のバランスが決まります。

では、この4要素を得るためには、どうすればいいのでしょうか?

これらを「ビッグ・フォー」(幸福の四要素)と呼ぶ。ナッシュとスティーブンソンはまた、これらビッグ・フォーにつながる行動も提示した。
1 幸福感=楽しむ
2 達成感=目標を達成する
3 存在意義=他者の役に立つ
4 育成=伝える

達成感を得るためには目標を達成すればいいので、仕事に打ち込むことは大切です。しかし、仕事に打ち込みすぎて、楽しむ時間がなかったり、子育ての時間がなかったりすれば、4要素のバランスは崩れます。

なので、成功をめざす前に、「自分はどんな人間か」と「どんな人間を目指したいか」を明確にする必要があります。それは、自分の成功を定義する必要があるという意味です。そして、自分の成功を定義すれば、4要素に対してどんなバランスを取ればいいかも決まります。

成功を定義せず、目の前の仕事に囚われすぎると、幸せな人生も得られません。ぜひ、自分の成功を定義してください。そうすることで、初めて成功に近づき始めることができます。

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