「未来の年表」でわかった未来とは?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
未来の年表

日本はどんな未来を迎えるのか?

“人口動態の変化は運命”と言われるほど、外れません。そこからわかる日本の未来を紹介していきます。


未来の年表

初版:2017年06月14日

出版社:講談社現代新書

著者:河合 雅司

なにが、これから起きるのか?

“人口動態の変化は運命”と言われるほど、外れることがありません。なぜなら、いま0歳の赤ちゃんは20年後には20歳になっているからです。

そのため、今年100万人の赤ちゃんが生まれれば、20年後の20歳はMAX100万人です。さらに日本の医療を考えれば、正確に数を予想することが可能です。

その中で、日本は

40年で3000万人
100年で8000万人

の人口が減ると予想されています。これは世界史史上初めてのできごとです。

2015年時点において1億2700万人を数えた日本の総人口が、40年後には9000万人を下回り、100年も経たぬうちに5000万人ほどに減る。この推計はメディアでも繰り返し取り上げられているのでご存じの方も多いだろうが、こんなに急激に人口が減るのは世界史において類例がない。われわれは、長い歴史にあって極めて特異な時代を生きているのである。

その結果、なにが起きるのでしょうか?人口動態の変化をもとに作成された”未来の年表”を紹介します。

2020年 女性の2人に1人が50歳以上に
2021年 介護離職が大量発生する
2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化する
2023年 企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる
2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ
2025年 ついに東京都も人口減少へ
2026年 認知症患者が700万人規模に
2027年 輸血用血液が不足する
2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える
2032年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる
2035年 「未婚大国」が誕生する
2039年 深刻な火葬場不足に陥る
2040年 自治体の半数が消滅の危機に
2042年 高齢者人口が約4000万人とピークに
2045年 東京都民の3人に1人が高齢者に
2050年 世界的な食料争奪戦に巻き込まれる
2065年 外国人が無人の国土を占拠する

いま20代の方は、70年以上は寿命が残っています。そのため、2100年近くまで生きることになります。未来の年表は2065年で終わっていますが、人生はまだまだ終わりではありません。

日本の人口問題は、よくニュースでも取り上げられますが、日本の人口問題には4つの課題が内包されています。その4つが、こちらです。

  • 大幅な人口減少
  • 少子化(労働人口の減少)
  • 労働人口の高齢化
  • 高齢者の増大

上記の年表には、この4つの側面から見た課題が書かれています。1つずつ、どんな問題を生むのか簡単に解説していきます。

大幅な人口減少

市場の縮小、(ドメスティックな)企業の売上低下・倒産、都市機能を維持できない

少子化(労働人口の減少)

消費の低下(家の購入も減少)、人口減少が加速、働き手不足

労働人口の高齢化

生産性の低下、人件費の高騰

高齢者の増大

医療費の増大、社会保障費の増大、年金や健康保険は維持できない

このように日本は、少子・高齢化を伴った人口減少という問題を抱えています。それぞれの問題をわかって未来の年表を見ると、より理解が深まるのではないかと思います。

それでは、ここからは未来の年表の中で、個人的に気になったものをいくつか解説していきます。

2021年 介護離職が大量発生する

自身が50代、つまり親が80代になると、介護は差し迫った問題となります。

50代に突入する頃から、親の介護に直面する人はぐっと増えてくる。
これを裏付けるのが厚生労働省のデータだ。年齢階層別要介護認定者率は65~69歳が3%、70~74歳が6%、75~79歳が14%、80~84歳が29%、85~90歳が50%というのだ。50代とは、自分の親が要介護認定を受ける年齢に入り始める頃だということである。

では、20代で結婚し、30歳で子どもを授かった場合を考えてみてください。子どもが20歳を迎えたころ、親の介護が必要となるのです。

もし、30代で結婚し40歳近くで子どもを授かったら、子どもが中学生・高校生のときに、親の介護が必要となります。この場合、会社でも部下を抱えて責任あるポジションになっていたら、とてもやり遂げられないという場合も出てくるでしょう。そうした人が介護を理由に離職していくのです。

仮に親の介護も無事にやり遂げたとして、平均介護期間は10年と言われていますから、親を看取った頃には、自分も70代が目前に迫っています。80代で介護が必要になることを考えると、残りは10年です。

結婚して子どもを産んで、子育てに励み、親の介護に追われ、会社で責任あるポジションになって、一生懸命走り抜いたら、もう60代後半です。あっという間に人生も終盤です。そう考えると、介護離職を免れたとしても、人生の短さが恐ろしいです。

2023年 企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる

高齢化の問題は、高齢者が増えるだけではありません。労働人口も高齢化していきます。そのため、企業の人件費も上昇していくのです。

社員の年齢構成の偏りは、企業にさらなる問題を突き付ける。人件費の増大だ。団塊ジュニア世代は2017年時点で43~46歳である。彼らの年齢が上がるにつれて、人件費負担が重くのしかかってきている。一般的に賃金のピークは50代前半とされることから、団塊ジュニア世代の先頭が50代に突入し始める2021年頃から、彼らの多くが50代となる2024年頃にかけて、企業の人件費はピークになると見られる。

メガバンク3行が3万人のリストラを発表して話題となりましたが、背景にはこうしたことがあったのです。そのため、5年かけて計画的にリストラを行い、人件費の増大に対応しようとしているのです。

ここでポイントが1つあります。そのリストラの対象は、引用にもある通り50代です。なぜなら、50代の人件費がもっとも負担になるからです。

しかし、すでに紹介した通り、50代は子供の教育(大学の学費や仕送りetc)や親の介護を抱えていて、身動きも取れず、お金も必要としています。もちろん多くの人が住宅ローンも返済中でしょう。そんなときにリストラされたら、想像するのも恐ろしいです。まさに地獄を見ることになります。

2039年 深刻な火葬場不足に陥る

2030年代を迎えると、毎年160万人が亡くなると予想されています。火葬場は箱モノですから、当然キャパの限界があります。いままで毎年160万人が亡くなるということを経験したことがありませんので、火葬場不足という自体が発生するそうです。

実はすでに、場所や時期、時間帯によっ 1週間や10日間程度待たされるケースも生じている。斎場や火葬場の空きを待つ時間が長くなれば、その間、霊安室を利用せざるを得ない。火葬の日まで遺体を預かる「遺体ホテル」と呼ばれるサービスも登場しているが、今後は葬儀にかかる 出費がかさんできそうである。

とはいえ、2030年代に向けて火葬場をたくさん建設しても、意味はありません。なぜなら、ベビーブーマーたちが世を去ってしまえば、もうその火葬場は不要になってしまうからです。

なので、10年もしないうちに、建設した火葬場は余り始めます。その後は、急激な人口減少が待ってますから、火葬場も不要になる一方です。箱モノであるがゆえの難しさがあるようです。

2042年 高齢者人口が約4000万人とピークに

2042年に高齢者人口がピークを迎えます。

なぜ高齢者数が2042年にピークを迎えるかといえば、団塊世代に次いで人口ボリュームの大きい団塊ジュニア世代(1971~1974年生まれ)がすべて高齢者となっているためだ。平均寿命の延びを考えれば、90代半ばに差し掛かる団塊世代や、団塊世代と団塊 ジュニア世代に挟まれた世代も含めて、相当数が元気に暮らしていることだろう。こうした団塊ジュニア世代より前の年代もまたかなりのボリュームなのである。
高齢者の絶対数が増えれば、高齢者向けサービスも増やさざるを得ない。総人口に占める高齢者の割合は2042年以降も伸びるのだが、高齢者向け施策は人数が一番多くなる同年に合わせて進めなくては間に合わない。その社会コストはかなり大きくなるだろう。それがゆえに、私はこれを「2042年問題」と呼んでいる。

引用にもある通り、高齢者の割合は2042年以降も伸び続けます。いまから24年後ですから、今の20代が50代に入るころ、日本の高齢者人口はピークを迎えるということです。

つまり、わたしたちの親世代の年金・医療保険・介護保険は、いまとは全く別物になるということです。

これらの制度は、労働人口と高齢者人口の比率で維持されています。当然、労働人口の比率が高ければ高いほど、高齢者自身の負担は軽くなります。逆に、労働人口の比率が低ければ、高齢者自身の負担は重くなります。

そのため、わたしたちの親世代はもっとも自己負担の大きな世代となります。もちろん、その親を支えるのは、わたしたちです。残念ながら、この未来予想を覆すことはできません。これから起きることを、よくよく理解した上で、準備をしたほうがよさそうです。

20代読書会に申し込む

20代読書会は、年間1,000人以上が参加しています。東京で最大の読書会です。毎週開催しており、読書好きが集まって楽しく社外のネットワークを広げています。


申し込む

SNSでもご購読できます。

コメント

コメントを残す

*