
人生100年時代にどう20代を過ごすべきか?
LIFE SHIFTでは3つの無形資産を築くべきと述べられています。それは生産性資産・活力資産・変身資産の3つです。今回はこの3つを紹介します。
目次
開催報告:20代読書会in東京
日時:07月21日(土)09:30-12:00
参加者:19名(男性:13名、女性:6名 初参加:7名、リピーター:12名)
MVP賞
蜜蜂と遠雷
紹介された本
- 1440分の使い方
- HARD THINGS
- 杉山鷹山
- 「ない仕事」の作り方
- 同時通訳はやめられない
- LIFE SHIFT
- 蜜蜂と遠雷
- 「超」入門 失敗の本質
- 1分で話せ
なぜ、3つの無形資産を築くべきなのか?
それは3ステージ制の人生が終わりを迎えたからです。
3ステージ制の人生とは、①学校、②会社、③老後の3ステージを過ごす人生です。平均寿命が70年のころは、①学校で20年間教育を受け、②会社で40年間働き、③老後の10年を余生として過ごすということが可能でした。
しかし、寿命が100歳を超える時代に突入したため、この3ステージ制の人生が成立しなくなりました。
LIFE SHIFTでも言われているとおり、教育期間は①学校のように人生の最初の20年と固定できなくなっています。なぜなら、1つに労働期間が長期化しており、またもう1つに社会の変化が激しくなっているからです。
教育・労働・余暇をキレイに3つにわける人生ではなく、この3つが入り混じるような人生が主流になってきます。そうした時に、重要性が増すのが3つの無形資産です。
今回は読書会で、この3つの無形資産について解説していただきましたので、シェアします。
20代で築くべき3つの無形資産とは?
- 生産性資産
- 活力資産
- 変身資産
LIFE SHIFTでは、この3つが解説されています。それぞれどういうものか、LIFE SHIFTから引用しながら紹介します。
生産性資産
生産性資産は、仕事の生産性を高め、所得とキャリアの見通しを向上させるのに役立つ資産だ。もちろん、無形の資産の多くは、間接的に仕事の能力に影響を及ぼす。病気だったり、人間関係で悩んでいたりすれば、仕事にも確実に悪影響が生じる。しかしここでは、生産性の向上に直結する要素に絞って論じたい。
生産性資産は「稼ぐ力」に近い意味合いかもしれません。生産性資産は、スキルと知識・仲間・評判とさらに3つの要素に分かれます。
スキルと知識
もっともわかりやすい生産性資産は、長年かけて身につけたスキルと知識だ。知識を蓄えるには、相当な時間をつぎ込まなくてはならない。教育を受けたり、特定分野の仕事で実践を通じて学んだり、コーチやメンター、同僚の話を聞いたりする必要がある。労働市場の状況が変わり、新しいスキルの習得が求められるペースが加速していることを考えると、この種の資産の価値は大きい。
仲間
大きな経済的価値を生む複雑な課題を実行するプロセスではたいてい、ほかの人たちとの相互依存関係が不可欠だ。そこで、きわめて高い生産性の持ち主は、ほかのきわめて高い生産性の持ち主と一緒に働きたがる。ハーバード大学の経済学者マイケル・クレマーが述べているように、ジャズミュージシャンのチャーリー・パーカーがディジー・ガレスピーと演奏し、ダニー・オズモンドがマリー・オズモンドと歌ったのは、そのためだ。
評判
生産性資産を築くうえで、高い評判を確立することの重要性は計り知れない。せっかく価値あるスキルや知識をもっていても、好ましい評判をもっていなければ、それを生産的に活用できないからだ。それに、職業上の社会関係資本も、評判の影響を強く受ける場合がある。評判がよくない人は、質の高い仕事仲間のネットワークを築けない可能性が高い。
評判は無形の資産なので、投資をおこない、時間を費やさなければ獲得できない。それは長期にわたり価値をもたらし、売買の対象になりえず、ときとして瞬く間に毀損されることもある。これまで協力的な態度や信頼に足る行動を続けてきた人は評判がよく、逆に、利己的に行動したり、他人をだましたりしてきた人は、評判が悪い。言うまでもなく、ある人の評判を決めるのはまわりの人たちだ。
活力資産
肉体的・精神的健康と心理的幸福感は、重要な無形の資産だ。よい人生の構成要素を尋ねられると、健康、友人、愛をあげる人が多い。このような要素を「活力資産」と呼ぶことにする。私たちに幸福感と充足感をもたせ、やる気をかき立て、前向きな気持ちにさせるものだからだ。
生産性資産が仕事面で人生を豊かにする資産であったのに対し、活力資産は仕事以外の面で人生を豊かにする資産です。そして、活力資産もさらに、健康・バランスの取れた生活・自己再生の友人関係と3つの要素に分かれます。
健康
長寿化時代には、健康の価値がいっそう大きくなる。50歳のときに病気で働けなくなることのダメージは、寿命の歳の時代より、寿命100歳の時代のほうがずっと大きい。100年以上にわたりマルチステージの人生を生きるためには、健康を維持することがきわめて重要だ。不健康の代償は、経済的な面でもそれ以外の面でも甚大なものになりかねない。
バランスの取れた生活
活力の対極にある概念はストレスだ。いま世界中で仕事上のストレスが高まっており、それにともない、心臓発作に始まり、全般的な身体の不自由にいたるまで、さまざまな健康問題が生じている。…
こうした点を考えると、活力資産を構築・維持するためには、ストレスの発端になる要因をうまく管理する必要がある。
自己再生の友人関係
このタイプの人間関係は、幸福と活力をはぐくむうえで中心的な役割を果たす。そして、それは職業生活を成功させる土台になり、多くの場合は、その人の人生とアイデンティティの物語を紡ぐ要素にもなる。
100年ライフでは、感情のこもった強い友情を維持することはいっそう難しくなる。しかし同時に、そうした友人関係の価値はますます大きくなる。関係の維持が難しくなるのは、長い人生の過程で多くの転機をへれば、アイデンティティの意識が変わり、友人との絆が弱まったり、ことによると断ち切れたりするからだ。一方、その価値が増すのは、それが生涯を通じたアイデンティティの土台を成し続ける場合があるからだ。
変身資産
有形の資産と無形の資産のバランスを取るためにマルチステージの人生を生きる必要が出てくるとすれば、私たちは新しいタイプの資産を築かなくてはならなくなる。それは「変身資産」とでも 呼ぶべきものだ。人生の途中で変化と新しいステージへの移行を成功させる意思と能力のことである。
長寿化したことで、もっとも重要性が高まっているのが変身資産です。生産性資産や活力資産の土台にもなります。変身資産も、自分についての知識・多様性に富んだネットワーク・新しい体験に開かれた姿勢とさらに細かく分かれています。
自分についての知識
生涯に多くの役割を経験するほど、一つの役割によってはアイデンティティが決まらなくなる。アイデンティティは、引き受けるものや親から受け継ぐものというより、丹念につくり上げるものになったのだ。そのプロセスでは、自分についての知識が大きな意味をもつ。
自分のことをよく理解し、よく学ぶためには、ほかの人たちに意見を求め、寄せられた意見について内省することが有効だ。内省の重要性はきわめて大きい。自分と世界についての認識に新しい情報を加えるだけなら、誰でもできる。変身資産を積極的に築こうとする人がほかの人と違うのは、単に情報を加えるだけでなく、自己認識と世界の見方を変更することだ。その結果として、自分についての理解が広く深くなり、いくつもの要求と不確実性に対処する能力が高まる。
多様性に富んだネットワーク
視点が変わるきっかけになるのは、それまでよりも広く多様性に富んだ人的ネットワークに触れることだ。アイデンティティは友人関係やその他の人間関係に深く根ざしているので、移行を遂げるときはどうしても交際範囲が変わらざるをえない。具体的には、ロールモデルになり、意気投合できる人物、自分と同様の移行を経験した人物を探すことになる。そうした人物を通じて、新しく踏み出そうとしている世界の流儀を学んでいく。変身は一人ぼっちでは実現できないし、たいていは、昔と同じ友だちグループの中でも実現しないのだ。
新しい経験に対して開かれた姿勢
自分についての知識と多様性に富んだ人的ネットワークは、変身の基盤をつくり出す。しかし、変身資産にダイナミズムをもたらすのは、実際の行動だ。過去に例のない大胆な解決策を受け入れる姿勢、古い常識ややり方に疑問を投げかけることをいとわない姿勢、画一的な生き方に異を唱え、人生のさまざまな要素を統合できる新しい生き方を実験する姿勢をもっていなくてはならない。ほかの人たちの生き方と働き方に興味をもち、新しいことを試すときにつきものの曖昧さを嫌わない姿勢も必要だ。