
- 3ステージ制の人生の崩壊
これがライフシフトがもっとも主張していることです。その背景には、人生の長寿化と複雑化があります。その結果、人生に4つのステージが新しく登場し、生産性資産・活力資産・変身資産が重要になっています。
読書会でわかったライフシフトの内容を5分でわかるように解説していきます。
ライフシフト
初版:2016年10月21日
著者:リンダ・グラットン
目次
「ライフシフト」の主題とは?
2016年に発売されてベストセラーとなったライフシフトが主張していることは、1つです。
それは、
- 3ステージ制の人生の崩壊
です。
3ステージ制の人生とは、
- 学校(0歳から20歳まで)
- 会社(20歳から60歳まで)
- 老後(60歳から死ぬまで)
のことを言います。20世紀以降、100年間は先進国では3ステージ制の人生が当たり前でした。
ところが、21世紀に入って、3ステージ制の人生が崩壊つつあります。その理由は、
- 長寿化
- 複雑化
の2つです。それぞれ、どういうことか紹介していきます。
長寿化
- 人生100年時代の到来です。
たとえば、日本では2000年以降に生まれた人たちは平均寿命が100歳を超えると言われています。
そうした場合、3ステージ制の人生は成立しません。なぜなら、
- お金不足
- スキル不足
が起きるからです。
まず、お金です。寿命が100歳になったら、60歳で定年することが可能でしょうか?
60歳で定年すると、20歳から40年間労働して、60歳から40年間の老後を過ごすということになります。それは無理です。
老後の生活を支えてきたのは、①年金と②健康保険です。しかし、流石に40年間の労働で老後の40年間の生活費と医療費を面倒見てもらうことはできません。
そのため、これからは60歳で定年することなく、死ぬ間際まで働くことになります。
ところが、そうした場合、スキル不足が発生します。
考えてみてください。いま80歳の人は、60年前に大学を卒業したのです。60年前といば、1958年です。つまり、いま80歳の方は、1943年から1958年に学校教育を受けているのです。
その当時に習得したスキルが、2018年の現在に通用するでしょうか?もちろん、通用しません。そのため、80歳になると健康で勤労意欲があっても就業が難しくなるのです。
つまり、長寿化すると3ステージ制の人生では、お金不足とスキル不足を生みます。そのため、今後は3ステージ制の人生は困難になります。
複雑化
過去100年間で人類は、以下のような出来事を経験してきました。
- 二度の世界大戦
- 騎兵から核兵器への戦争手段の変化
- ロシア革命と共産主義の興亡
- グローバリゼーションの終焉
- 第二のグローバリゼーションの興隆
- 中国の衰退と台頭
- 電気
- ラジオ
- テレビ
- 量産型乗用車
- 商業用旅客航空機
- 人類最初の月面着陸
- インターネットの誕生
- 自動洗濯機
- 電気掃除機
- 屋内トイレの普及
そして、今後はもっと多くの変化・大きな変化を経験するでしょう。なぜなら、テクノロジーの進化が多岐にわたり、加速しているからです。
これらの変化について少し考えればわかるように、いま生まれた子どもたちが100年の間に経験することを予測するのは不可能だ。だから、長寿化時代には、不確実性に対処することが避けて通れない。長生きする人たちは、変化のペースが減速しないかぎり、過去の世代よりずっと多くの変化を経験する。多くのテクノロジー専門家の予測にあるように変化が加速すれば、人々が生涯に経験する変化はいっそう大きくなる。長寿化時代に60年以上の勤労人生を送れば、その間に、どのような企業で働き、どのような職に就き、どのように仕事をするかが大きく変わる。
つまり、複雑化した今の時代では、スキルが陳腐化する速度も速まっています。その結果、3ステージ制の人生では、スキル不足を生みます。このように、
- 長寿化
- 複雑化
によって、3ステージ制の人生が崩壊する
というのが、ライフシフトがもっとも警鐘を鳴らしていることです。
実際、私たちはすでに巨大な社会的実験を進めている。私たちは、個人として、あるいは集団として、家族として、友人同士のコミュニティとして、新しい生き方を切り開き、さまざまなタイプの道を歩むようになった。このような多様性は、実験のプロセスの単なる一要素ではなく、100年ライフの本質だ。人々が3ステージの人生を脱却してマルチステージの人生を 生きるようになれば、人生のさまざまなステージを経験する順序は一様ではなくなる。そもそも、マルチステージの人生では、すべての人がすべてのステージを経験するわけでもない。
では、人生100年時代にどう対応していけばいいのでしょうか?それは、次章以降で解説していきます。
人生100年時代に築くべき3つの資産とは?
- 3ステージ制の人生が崩壊するので、これからは3つの資産を築くべき
とライフシフトでは主張しています。その3つの資産とは、
- 生産性資産
- 活力資産
- 変身資産
です。3ステージ制の人生の崩壊とは、人生が長期化・複雑化するということです。
そのため、全員にとっての最大公約数的な「正解」が存在しない時代になっています。こうした時代に、なぜこの3つの資産が必要なのかを解説していきます。
生産性資産
人が仕事で生産性を高めて成功し、所得を増やすのに役立つ要素のことです。生産性資産で重要なポイントは3つあります。
- スキルと知識
- 仲間
- 評判
この3つです。お金を稼ぐためには、スキルと知識が欠かせません。しかし、それだけでは不足しており、スキルと知識に加えて、相互依存できる仲間と好ましい評判が必要です。
活力資産
大ざっぱに言うと、肉体的・精神的な健康と幸福のことです。肉体的・精神的な健康と幸福を生むには、
- 健康
- バランスのとれた生活
- 自己再生の友人関係
この3つを重視する必要があります。寿命が50年のときには些細なことだったとしても、寿命が100年になると健康に大きな影響を及ぼすこともあります。そのため、今まで以上に活力資産の重要性は増しています。
変身資産
人生の途中で変化を成功させる意思と能力のことでです。長期化・複雑化した人生では、変身資産が必要となる機会が多くなります。変身資産を維持していくには、
- 自分についての知識
- 多様性に富んだネットワーク
- 新しい経験に対して開かれた姿勢
この3つを大切にする必要があります。年齢とともに変化を受け入れられなくなるのが人の常です。人生100年時代に、もっとも成否を分ける資産となるでしょう。
人生100年時代に必要な働き方とは?
ライフシフトには、4つの生き方・働き方が紹介されています
- エクスプローラー
- インディペンデント・プロデューサー
- ポートフォリオ・ワーカー
- 移行期間
この4つです。この4つを組み合わせながら、人生を設計し、送っていくことになります。それぞれどういう意味か解説していきます。
エクスプローラー
エクスプローラー(探検者)のステージと聞いて思い浮かぶのは、興奮、好奇心、冒険、探査、不安といった要素だ。エクスプローラーは、一カ所に腰を落ち着けるのではなく、身軽に、そして敏捷に動き続ける。身軽でいるために、金銭面の制約は最小限に抑える。このステージは発見の日々だ。旅をすることにより世界について新しい発見をし、あわせて自分についても新しい発見をする。
…エクスプローラーは、周囲の世界を探査し、そこになにがあり、その世界がどのように動いているか、そして自分がなにをすることを好み、なにが得意かを発見していく。このステージは、自分を日常の生活と行動から切り離すことから始まる。新しい町に移ってその土地の人たちと知り合ったり、知らない国を旅して自分の生き 方について考えたりといった具合だ。
インディペンデント・プロデューサー
いま出現しつつあるインディペンデント・プロデューサーのステージでは、旧来の起業家とは性格の異なる新しいタイプの起業家になったり、企業と新しいタイプのパートナー関係を結んだりして経済活動に携わる。旧来のキャリアの道筋からはずれて自分のビジネスを始めた人たちがこのステージを生きる。エクスプローラーのステージと同様、特定の年齢層に限定されるステージではない。人生のどの段階にいる人でも実践できる。インディペンデント・プロ デューサーとは、ひとことで言えば、職を探す人ではなく、自分の職を生み出す人だ。
ポートフォリオ・ワーカー
人生には、一種類の活動に専念する時期がある。高給を受け取れる企業の職に就いたり、自分のビジネスを立ち上げたり、エクスプローラーとしてさまざまな可能性を探索したり、フルタイムの学生に戻ったりする時期がそうだ。しかし、さまざまな活動に同時並行で取り組みたい時期もある。そのように、異なる種類の活動を同時におこなうのがポートフォリオ・ワーカーの ステージだ。ほかの新しいステージと同様、これも特定の年齢層には限定されない。
このステージは、生産活動に携わる期間のいつでも実践できる。さまざまな可能性を探索し、実験するために、このような生き方を積極的に選択する人もいれば、やり甲斐のある仕事に就くことが難しいために、不本意ながらそれを選ぶ人もいる。
移行期間
3ステージの人生では、移行は2回だけだった。教育から仕事への移行と、仕事から引退への移行だ。マルチステージの人生では、その回数がもっと増える。それにともない、変身に役立つ無形の資産の重要性が非常に大きくなるが、そうしたスキルのレパートリーの乏しい人がほとんどだ。
…移行期間は前後のステージと一部重なり合う場合が多いが、準備のために特別な活動をおこなう結果、移行期間であることがはっきりするケースもある。その活動とはたいてい、無形の資産への投資だ。エネルギーを再充填して活力資産を増やしたり、自分を再創造(リ・クリエーション)して生産性資産に磨きをかけたりする。
この4つは順番も比重も、決まりはありません。人によっては、4つの内、1つしか経験しない人もいるでしょう。逆に以降期間を挟みながら、エクスプローラーを何度も経験する人もいるでしょう。
このように人生が多様化していく時代です。なので「みんなと一緒だから」という理由で、人生を選択することは困難です。もちろん、親世代の正解を信じて、人生の選択をすることも得策ではありません。
このようにライフシフトは人生を考える上で、重要なことが書かれています。気になる方は、ぜひ読んでみてください。
以上、5分で解説!読書会でわかった「ライフシフト」でした。