
最強の読書術は(事前に)質問する・話す・書くことです。
事前の質問で学習効果は20%増。他人に教えることで記憶率は90%に。そして、書くことで脳神経が刺激され、記憶に定着。「アウトプット大全」でわかった最強の読書術を紹介します。
アウトプット大全
初版:2018年08月03日
著者:樺沢紫苑
読書はアウトプットが本番
みなさん、どれくらい本を読みますか?わたしは年200冊、読みます。
こう言うと「すごい!」と思われる方もいるかもしれません。しかし、年間に200冊読んでいても、まったく凄くはないです。
- なぜなら、読書はアウトプットこそ本番だからです。
しかし、それは間違いです。インプットの量と自己成長の量は、まったく比例しません。重要なのは、インプットの量ではなく、アウトプットの量なのです。
たとえば、「月3冊読んで3冊アウトプットする人」と「月10冊読んで1冊もアウトプットしない人」とでは、どちらが成長するでしょうか?間違いなく「3冊読んで3冊アウトプットする人」、つまりアウトプット量が多い人です。
なぜなら、いくらインプットしてもアウトプットしない限り、記憶として定着しないからです。
もちろん、インプット(読書)がなければ、質の高いアウトプットはできません。そのため、インプットも重要です。しかし、インプットで終わってしまってはダメなのです。
同様に、実はアウトプット(行動)で終わってしまってもダメです。なぜなら、やりっぱなしになっているからです。フィードバック(反省)が抜けており、失敗を改善するチャンスを失っています。
そのため、成長のスパイラルに入るには、
- インプット(読書)
- アウトプット(行動)
- フィードバック(反省)
この3つが欠かせません。
フィードバックとは、アウトプットによって得られた結果を評価し、その結果を考慮して、次のインプットに修正を加えるという作業です。見直し、反省、改善、方向修正、微調整、原因究明。すべてフィードバックです。
何か行動を起こしたときに、失敗した場合はその原因、理由を考えて対策を講じる。成功した場合は、うまくいった理由を考え さらにうまくいくように工夫します。
フィードバックを行うことで、行動が方向修正され、前の自分よりも必ず進歩、成長することができます。フィードバックがないと、同じところを延々と回り続けることに。つまり、堂々巡りを繰り返すだけで、まったく成長にはつながりません。
しかし、多くの人がインプット(読書)で終わってしまっています。これは、とてももったいないことです。
インプットで終わらせず、アウトプットとフィードバックを繰り返せば、成長のスパイラルに入ることができます。樺沢紫苑さんは、本書で、そうしたアウトプットとフィードバックの価値は6つあると述べています。
- 記憶に残る
- 行動が変わる
- 現実が変わる
- 自己成長する
- 楽しい
- 圧倒的な成果が出る
せっかく読書をするなら、上記のようなメリットがあったほうがいいですよね?
インプットの利益を最大化する最強の読書術を紹介していきます。
最強の読書術とは?
樺沢紫苑さんは、
- メルマガ、毎日発行 13年
- Facebook、毎日更新 8年
- YouTube、毎日更新 5年
- 毎日3時間以上の執筆 11年
- 年2~3冊の出版 10年連続
- 新作セミナー 毎月2回以上 9年連続
を継続しているといいます。超人です…
月1回のメルマガ配信でさえ挫折してしまったわたしにとっては、信じられない仕事量です。どうすれば、これだけのことが可能なのでしょうか?
そこには、アウトプットの鉄則があるといいます。それは、
- 2週間以内に3回アウトプットする
ということです。そのことで、効率的に重要な情報を脳内に保存していくことができます。
人間の脳は、「重要な情報」を長期記憶として残し、「重要でない情認」は忘れるようにつくられています。「重要な情報」 とは、インプットしたあとに何度も「使われる情報」です。
つまり、インプットしても、その情報を何度も使わないと、すぐに忘れてしまうのです。
脳に入力された情報は、「海馬」というところに仮保存されます。その期間は、2~4週間です。海馬の仮保存期間中に、その情報が何度も使われると、脳はその情報を「重要な情報」と判断し、 「側頭葉」の長期記憶に移動します。
一度、側頭葉に記憶されると、その記憶は忘れづらく、長期間覚えていることができます。コンビニでお金を「レジ」に仮保管しておいて、お金が貯まったら「金庫」に移すようなイメージです。
だいたいの目安としては、情報の入力から2週間で3回以上アウトプットすると、長期記憶として残りやすくなるといいます。
そして、樺沢紫苑さんは読書した内容を
- Twitterで即座につぶやき、
- Facebookのノートでまとめて、
- メルマガで配信する
そうです。内容が重複していても、コピペではありません。媒体に合わせて最適化して、アウトプットしているのです。
このTwitter・Facebook・メルマガは毎日配信しているので、インプットした情報が自然と2週間で3回以上アウトプットできるようになっているといいます。
その結果、効率的に情報を脳内に保存でき、年3冊というハイペースな執筆が可能になっています。
わたしたちが、このアウトプット方法をそのまま真似することは難しいので、もっと簡単に真似できる読書術を紹介します。
それは、
- 質問する
- 説明する
- 書く
この3つです。どういうことか、それぞれ解説していきます。
質問する
- インプット(読書)の前に、質問する
というのが最初のアウトプットです。これだけで、学習効果は10%~20%増しになります。
「質問する」というのは最も簡単で、最も効果的なアウトプット法のひとつです。それも、「他人に質問する」のもいいですが、「自分自身に質問する」だけで、脳は圧倒的に活性化し、必要な情報を集めてくれるのです。
アフリカの首都を記憶させる研究では、事前に5択問題を受けさせたグループと、従来の暗記形式で勉強したグループにわけます。 翌日にどれだけ記憶しているかを再テストしたところ「事前テスト」のグループは、10~20%も高い得点をとったのです。
たとえば、
- この本から、なにを学びたい?
- この本を、どう活かしたい?
- この本を、どう紹介する?
- この本を、誰にオススメする?
こうした質問を、読み始める前に考えてみてください。大きめの付箋に回答を書いて、背表紙に貼って読み始めるのも効果的だと思います。1分もあればできることなので、ぜひやってみてください。
話す
記憶の定着率は、アウトプットの内容によって変わります。上記の通り、
- 「読む」だけでは10%の記憶率が、
- 「グループ討論」で50%に上昇し、
- 「他人に教える」と90%に到達します
人と話し合ったり、人に教えたりするだけで、なぜこんなにも記憶に残るのでしょうか?
それは、意味記憶がエピソード記憶に転換されるからです。
説明によって、「意味記憶」が「エピソード記憶」に変換されるので、圧倒的に記憶に残りやすくなります。「意味記憶」というのは、英単語「apple=りんご」の組み合わせのように、関連性の薄い組み合わせのこと。
「エピソード記憶」というのは過去にあった出来事や体験、つまり物語、ストーリーとしての記憶です。「意味記憶」は覚えづらく忘れやすい、「エピソード記憶」は覚えやすく忘れにくいという特徴があります。
こんなお手軽な工夫で、効率的に情報を保存できるなら、活用しない手はありません。
しかし、
- 周りに本の話題で盛り上がれる人がいない
- インプットした内容を教える相手がいない
という人もいるでしょう。そういう人は、ぜひ読書会に参加してみてください。本が指定されておらず、持ち寄る形式であれば、自分が話したい内容を説明することができます。オススメです。
書く
- 「書く」ことも、脳神経を刺激し、効果的なアウトプットです
「アウトプットの基本は、「話す」「書く」です。「話す」ことに比べて「書く」ことのほうが、圧倒的に記憶に残り自己成長を促します。学校の勉強でもよく「書いて覚えよう」と言われたはずです。
では、なぜ「書く」ことは、そんなにいいのでしょうか?
それは、「書く」ことで、脳幹網様体賦活系(RAS、Reticular Activating System)が刺激されるからです。RASとは、脳幹から 大脳全体に向かう神経の束。神経のネットワークです。
ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンの神経系も、脳幹の中脳にあるRASから脳全体に投射されています。
アウトプット(行動)と言われても、
- 小説
- 哲学
- 歴史
など、すぐに行動に結びつかない本もあります。実用書でもレベルや内容によっては行動が難しい場合があります。そうした場合は、ぜひ「書く」アウトプットを実践しましょう。
具体的には、書評を書いてください。
書評を書くことには、多くのメリットがあります。樺沢紫苑さんは、
- 本の内容が、圧倒的に記憶として定着する
- 本の内容を、より深く理解することができる
- 本の内容が、整理される
- 文章力がアップする
- 思考力、考える力がアップする
- 自己洞察が進む
- 飛躍的に自己成長できる
このようなメリットを挙げています。
しかし、書評(本の感想)を書くのは苦手という人も多いと思います。そういう人は、3行の書評で構いません。
- ビフォー
- 気づき
- ToDo
を1行ずつ書いてみてください。これでもOKです。
慣れてきたら、3行の書評に肉付けしていけばいいのです。各パートが、2倍・3倍のボリュームになれば、もう立派な書評になります。
そして、書評を続けてるためにはコツがあります。それは、SNSで発信することです。
誰も見てなくて、何のレスポンスもないなか、書評を書き続けるのは辛いです。モチベーションも維持できません。なので、ぜひSNSに投稿してみてください。
今なら、FacebookやTwitter、Instagramなど、いろんなSNSがあります。
中でも、わたしがオススメするのはInstagramです。Instagramは、早い段階からレスポンスが得られます。気軽にいいね!やコメントをする文化が根付いているからです。
一方で、ハードルが高いのは「ブログ」です。
- 相当な覚悟がある
- 1記事が1000文字以上になる
のでなければ、ブログはオススメしません。
樺沢紫苑さんは、ブログの目安として
- 100記事でスタート
- 300記事で閲覧者が増え始める
- 1000記事で月数万PV
とおっしゃっています。
私が今まで約20年、さまざまなインターネット・メディアを運営してきた結果辿り着いたアクセスアップの法則が「100-3001000の法則」です。
ブログでいうと、100記事、300記事、1000記事前後にそれぞれ大きくレベルアップするポイントが存在します。まず100記事を超えると、毎日、ある程度の人が見てくれるようになります。300記事を超えると、検索エンジンでも検索結果の数ページ以内に表示され、検索エンジン経由のアクセスが増えてきます。100記事を超えると、検索エンジンで1ページ以内に表示されるこページも増えてきて、月間で数万~10万PV以上のアクセスが期待できます。
年に100冊読む人が、すべての書評を記事にしたとしても1年で100記事です。300記事になるには、3年かかります。わたしの実感では300記事以下のブログにコメントはこないです。
Instagramなら3ヶ月も継続すればコメントをもらえるようになるので、始めはハードルの低いところでアウトプットすることをオススメします。
以上、「アウトプット大全」でわかった最強の読書術でした。