
日本の農作物は90%が海外産の種です。
そして、海外産の種はF1種と遺伝子組換で占められています。このF1種と遺伝子組換作物は、実は健康への悪影響が懸念されています。
本書でわかった危険性を解説していきます。
タネはどうなる?!
初版:2018年07月02日
著者:山田正彦
なぜ、日本の種は海外産なのか?
現在、日本で育てられている農作物のうち、90%は海外産の種を使用しています。
しかし、以前はそうではありませんでした。40年前に遡ると、100%国産の種を使用していたのです。
かつて、40年ほど前までは、野菜の種子も、コメ、麦、大豆と同様に、国産100%、伝統的な固定種だったものが、今ではF1の品種になって、90%がアメリカ、南米、イ ンド、アフリカなど海外で生産されている。
イチゴ、メロンなどの種子の価格も1粒1円か2円だったものが、今では1粒40円から50円になってしまった。いつの間にか私たちが購入する野菜の種子のほとんどは、海外で巨大な多国籍企業、モンサント、バイエル、ダウ・デュポン、シンジェンタなどによって生産されるようになってしまった。
では、なぜ今は海外産の種を使用しているのでしょうか?
引用に書かれているとおり、種の世界市場は実は7社の化学メーカーによって占められています。有名なのはモンサント社でしょう。そして、この巨大な7社のロビー活動により、日本では国産の種を使用しづらくなり、海外産の種が広く使われるようになったのです。
余談ですが、なぜ化学メーカーが種を販売してるの?と疑問に思われた方もいると思います。その理由は、とても簡単です。種とともに”農薬”がセット販売されるからです。農薬を作れるような化学メーカーが、種の市場も押さえているのです。
それでは、海外産の種が使われるようになった経緯に戻ります。
先ほど、海外産の種が使われるようになったのは、ロビー活動が原因と言いましたが、具体的には法改正です。日本の種に関する2つの法律が改定された結果、海外産が90%のシェアを占めるようになりました。
- 種子法
- 種苗法
それぞれ、どういう法律でどんな改定があったのかを解説します。
種子法
種子法とは、コメ、麦、大豆などの供給を安定させることを目的とした法律です。そして、この法律にもとづき、各都道府県で良質な種子をつくり、販売していました。
ところが、2018年にこの種子法は廃止されています。
種子法は、安価に良質な(品種改良された)国産の種が流通する根拠となっていた法律です。この法律の結果、品種改良が進み、補助を得て国産の種が安価に流通していました。
そのため、海外企業にとっては日本市場に参入するための大きな障壁となっていました。そのため、TPP加盟を理由に、強く廃止を要望されていたのです。
戦後、日本政府は国民を二度と飢えさせることがないように、1952年、私たちが生きる上で欠かせない食糧の種子、コメ、麦、大豆を安定して供給できるように「主要農作物種子法」(以下種子法)を制定した。
コメの自家採種を毎年続けていくと、少しずつ劣化していくことを農家は知っているので、良質な種子を育種しなければならないが、それにはかなりの手間とお金が必要とされる。できればコメの栽培だけに専念したい農家は多い。
こうして種子法では主要農作物であるコメ、麦、大豆の種子は国が管理して各都道府県において優良な品種を選んで、その種子を増殖、安定してコメ農家に供給することを義務づけたのである。種子法の成立、それに伴う農林省による運用要綱(種子圃場の選定、検査法などを細かく定める)の実施によって、各県の農業試験場において優良な品種の改良は急速に進み始めた。
種苗法
種苗法(しゅびょうほう)とは、植物の新品種の創作に対する保護を定めた法律です。新しく良質な品種をつくった場合、登録することができ、その種の権利を独占することができます。
そして、この種苗法の21条が問題となっています。この21条で自家採種の禁止品目が定められています。
自家採種とは、自分たちで野菜、果物、花などから種を取ることです。一見すると、なんの害もない行為のように感じますが、この「植物から種を取る行為」が原則OKから原則禁止に変更されているのです。その根拠となったのが種苗法21条の品目です。
そのままほぼ2年が経過した2017年3月、運用規則によって種苗法21条の例外品目、すなわち自家採種禁止の品目のリストが急拡大されている。
これまでは82種類だけだったが、農水省は一挙に207品目を例外として認めて合計289種類に増えた。中にはキャベツ、ブロッコリー、ナス、トマト、スイカ、メロン、キュウリ、ダイコン、ニンジンなどのメジャーな野菜が含まれている。
そして、自家採種が禁止になると、農家は毎年新たに種を購入しなければならなくなります。
もちろん、自家採種がなくなり、毎年種が売れれば、種を販売している企業は儲かります。そして、この自家採種を禁止する法律はモンサント法と呼ばれ、世界中で制定されています。
今日では世界種子市場の8割はバイエル、モンサント、ダウ・デュポン、シンジェンタ、BASF(ドイツに本社がある世界最大の総合化学メーカー)など7社で生産されている。遺伝子組み換えの種子はモンサントが90%のシェアを持っている。
モンサント法案と呼ばれている自家採種禁止法案(農民が自分たちで種子を保存したり交換したりしたら犯罪になる)は農家が毎年これらの種子企業から種子を購入しなければならなくなる。今ではモンサント法案は南米諸国からアフリカ諸国をかけ巡っている。
以上、種子法と種苗法の改定が、海外産の種が90%以上のシェアとなった理由でした。
では、海外産の種って悪いのでしょうか?
日本古来の種が失われることを問題視する方もいますが、わたしは特に気にしていません。安く、健康的で、おいしい野菜や米が食べられれば、それでOKです。
しかし、残念ながら、海外産の種は「健康」に大きな課題を抱えています。理由は2つあります。
- F1種
- 遺伝子組換
海外企業が提供している種は、この2つだからです。次章では、それぞれの危険性について解説していきます。
F1種の危険性とは?
「F1種」を聞いたこと、ありますか?
F1種とは、種なしの植物のことです。
種なしの植物はタマネギやニンジン、トウモロコシに始まり、ぶどうなどの果物にも広く存在しています。みなさんも日常的に口にしているのではないでしょうか?
では、なぜ種なしの植物が育つのか知っていますか?
実はF1種(種なし)というのは、遺伝子異常の植物です。雄性不稔と言われ、人間ならば無精子病といわれる病気です。
こうして数千万株に1個しかない雄性不稔、いわば無精子症の突然変異株を見つけ出して、両方の特性を持つ一代雑種、 F1(First Flial Generation)を大量に生産できる技術を完成させたのだ。
それから、この新しい技術をもとにニンジンもF1になり、トウモロコシやキュウリ、ナスなども次々とF1の種子に代わっていくスピードは速かった。
日本でも伝統野菜であるアブラナ科の野菜、白菜、キャベツ、ホウレンソウなどは、宮城県で葉大根の中に「雄性不稔種」が発見された。この葉大根を母体にして次々にF1のアブラナ科の種子が売り出されるようになった。
今では野菜農家が栽培する白菜やキャベツ、大根などほとんどの野菜がF1になってしまった。
雄性不稔は子孫を残せませんので、非常に稀です。数万個に1つといわれる確率でしか発生しません。7万年の人類歴史の中で、人類がほとんど口にしたことのない植物です。
では、そんな植物を日常的に食べて大丈夫なんでしょうか?
実は人体への影響が非常に心配されています。人間も雄性不稔のような減少が起きているのです。男性の精子の数が激減しており、1940年代と比べると4分の1にまで減っています。そして、男性不妊の割合は2割に到達しています。
さらに異常を起こしているのは、ミツバチだけではない。ヒトの男性の精子の数は1940年代には、平均精液1ミリリットル(1CC)の中に1億5000万の精子がいたが、現在ではその4分の1に減少しているという。成人男性で精子の数が1500万以下では男性不妊となるが、すでにその数は成人の2割に達しているといわれている。科学的に証明されているわけではないが、F1の種子が雄性不捻から作られ ることに私は不安を感じる。
2011年6月東北大学においてミトコンドリアの内膜に異常タンパク質が蓄積すると雄性不稔になるとの研究報告も出されている。
モンサント社などの海外産の種が日本で販売されるようになり、日本でも栽培されるようになったF1種。詳しく知りませんでしたが、実は非常に恐ろしい種でした。
遺伝子組換の危険性とは?
F1種以上に、人間にとって新しい種があります。それは遺伝子組換え作物です。
ここで、1枚の写真を見てください。
少しグロテスクな写真で申し訳ないです。これはフランス政府が遺伝子組換え作物に警鐘を鳴らすため、公表した写真です。このマウスは遺伝子組換え作物を食べ続けた結果、ガンが発症しているのです。
そして、マウスだけでなく、人間においても遺伝子組換え作物でガンの羅漢率が高くなるという研究結果も出ています。
アルゼンチンでは医師団が遺伝子組み換え作物に使われるラウンドアップが使用される前と使用された後の臨床の検証をしたところ、サンタフェ州では10倍の肝臓ガン、3倍の胃ガン、精巣ガンの増加が見られ、ことに若年層のガンの発生、先天性障害、出産時の障害が顕著だとされている。グリホサートは植物が光合成によってアミノ酸をつくるシキミ酸経路を破壊してしまうので、植物は耐性を持っていないものは枯れてしまうが、人間はシキミ酸経路がないので影響はないとされてきた。しかし最近、グリホサートが人間の腸内にいる何億とい う腸内フローラの善玉菌まで殺すことが明らかになっている。
ガンだけでなく、自己免疫疾患や糖尿病、自閉症との関係も問題になっています。
もう一つ問題なのがBt毒素は虫の腸の内壁に穴をあけて破壊するもので、このBt毒素入りの遺伝子組み換え作物、コーン、コメなどは葉から花粉、根に至るまでその効力が及ぶ怖ろしい物質である。モンサントなどは人間など動物にはBt毒素を胃腸内で消化できる酵素があるから大丈夫だと説明しているがそうだろうか。
最近の研究ではリーキーガット症候群が問題になっている。本来の腸は腸壁の細胞が密着しているがBt毒素によって結合が緩んでそこから未消化の物や有害物質を取り込むことによってアレルギー、自己免疫性疾患、糖尿病、自閉症などの病状があらわれるとされている。左の表を見ると遺伝子組み換えの大豆、トウモロコシの作付面積と慢性疾患である糖尿病の患者の増加が一致している。
こうした研究結果が発表されて、遺伝子組換え作物にたいする拒絶感は大きくなっています。
しかし、残念ながら認可される遺伝子組換え作物の数は増加の一途をたどっています。そして、日本はダントツで多くの遺伝子組換え作物を認可しています。
日々の買い物でなら1つ1つ確認して遺伝子組換え作物を選ばないようにできるかもしれません。しかし、外食や加工食品になると、もうお手上げです。知らず知らずのうちにF1種や遺伝子組換え作物が一般的になっています。かなり意識しないと、避けることは難しいでしょう。健康へのリテラシーを高め、自分の健康は自分で守っていく必要があると強く感じた本でした。
以上、「タネはどうなる?!」でわかったF1種・遺伝子組換の危険性でした。