読書会「組織にいながら自由に働く。」でわかった4つのキャリアのつくり方

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働き方には「加・減・乗・除」の4ステージがあります。

この4ステージを理解すれば、人生の閉塞感から開放され、自由な働き方を実現できます。

今後、何十年と続くキャリアの指針になる働き方の4ステージを紹介します。

組織にいながら自由に働く。

初版:2018年06月20日

著者:仲山 進也

働き方は4つのステージで進化する

本書によると、働き方には「加・減・乗・除」の4つのステージがあります。それぞれの意味は、以下のとおりです。

  • できることを増やす、苦手なことをやる、量稽古。仕事の報酬は「仕事」
  • 好みでない作業を減らし、強みに集中する。仕事の報酬は「強み」
  • 磨き上げた強みに、別の強みを掛け合わせる。仕事の報酬は「仲間」
  • 一つの作業をしていると複数の仕事が同時に進むようにする。仕事の報酬は「自由」

この働き方を理解すれば、自分がどのステージにいるか?が分かります。そして、次に何をすべきか?も明確になります。その結果、仕事や人生に対して感じている閉塞感から開放され、自由な働き方を手にすることができます。

仕事をしていて、とにかく不自由さ、閉塞感、人生がつまらなくなっていく不安を感じる。
かと言って、巷で聞く「自由」という言葉には怪しさも感じていて、そのうち堕落しそうな危うさがある。自由を得たいなら独立や投資をしなさい、というハナシになるのもしっくり来ない。起業をして、自分でフロンティアを切り開いていきたいわけでもない。
でも自由がほしい。
組織に属するメリットを享受しながら、組織にしばられず自由になりたい。
誰にもマネできないようなスゴい人ではないけど、自由に働けるようになりたい。 グーグルのように「自由な社風」をウリにする先進的な会社ではなくても、自由に働けるようになりたい。

また、人からアドバイスを受けたり、本を読んだりするときにも、この働き方の4ステージを知っておくことは重要です。

たとえば、「加」のステージにいる人が「除」の働き方の本を読んだとしましょう。この働き方の4ステージを知っていれば、今の自分が実践すべきことではないとわかります。しかし、この4ステージを知らなければ、そうした判断ができません。

「加」のステージで十分に強みを持っておらず、「乗」で仲間も得ていない状態で、「除」にトライしてしまう人も出てくるでしょう。そうすると、十分に強みが磨かれないまま悪戦苦闘する日々を過ごすことになります。これは、とてももったいないです。

働き方の4ステージを知っておけば、そうした時間と労力のロスを防ぐことができます。それでは、加・減・乗・除を1つずつ詳しく解説していきます。

できることを増やす、苦手なことをやる、量稽古。仕事の報酬は「仕事」

これが加のステージです。

仕事=作業×意味

本書では、仕事をこのように因数分解しています。そのため、加のステージで行うことは「作業」と「意味」の両者への工夫です。この工夫を行うことで、楽しく仕事をし、早く成長することが可能になります。

作業

「作業」は、上記の図の中の、

  • 不安
  • 退屈
  • フロー

の3種類のいずれかに分類されます。そのため、不安と退屈に分類されている作業(仕事)を、いかにフローに持っていくか?が大事になります。

  • 不安ゾーンの仕事は難易度を下げ
  • 退屈ゾーンの仕事は難易度を上げ

作業がフローの範囲にはいるようにします。こうすることで、作業(仕事)自体が好きになり、前向きに仕事をこなせるようになります。

フロー理論のチクセントミハイさんは、フローの要素として「自己目的的」という言葉を使っています。その作業をすること自体が目的になっているとフローになりやすい、というのです。
ただ「自己目的的」って言葉がちょっとむずかしいので、私はそれを「プロセス目的的」と呼んでいます。
プロセスに伴う作業自体が自分の「好みの作業」であり、楽しみなのです。だから、仕事のプロセスの中にそういう「好みの作業」の割合をどれだけ増やせるか、そこにどれだけ仕事を寄せられるか、のチューニングが仕事を楽しくするカギになるのです。

意味

仕事をする理由は、6つあると言われます。その6つとは、

  1. 楽しいから
  2. 社会的意義があるから
  3. 成長可能性があるから
  4. 感情的プレッシャーがあるから(やらないと怒られる・嫌われる・バカにされるから)
  5. 経済的プレッシャーがあるから(やらないとお金がもらえないから)
  6. 惰性(昨日もやっていたから)

です。仕事の「意味」は、まさに仕事をする理由のことです。

そして、楽しい・社会的意義・成長可能性が理由で仕事をしていると楽しいです。しかし、感情的プレッシャー・経済的プレッシャー・惰性が理由で仕事をしていると楽しくありません

そのため、仕事に”どんな意味づけをするか?”が大事になります。後者3つの意味づけを外し、前者3つの意味づけをするように工夫しましょう。

前者の3つを動機に仕事をしているとパフォーマンスが上がり、後者の3つを動機にしているとパフォーマンスが下がります。「楽しさ」「社会的意義」「成長可能性」というポジティブな動機は仕事内容とリンクしているのに対して、「感情的プレッシャー」「経済的プレッシャー」「惰性」というネガティブな動機は仕事内容とリンクしていないからです。
3つのポジティブ動機は、全部あてはまる人のほうが長期的なパフォーマンスは高まります。なので、どうしたら前者3つすべてを仕事の原動力にできるかを考えて、仕事に「意味づけ」をしていく。それが、楽しく仕事をするコツです。

こうして、作業の難易度を調整し、”作業”自体を好みにしたり、仕事への”意味づけ”を考えることで、仕事を楽しむことができます。そうして、前向きに仕事をできるようになれば、加のステージはOKです。得意な仕事ができてきたり、苦手な仕事も減ってきます。

好みでない作業を減らし、強みに集中する。仕事の報酬は「強み」

これが減のステージです。

「加」ステージで、頼まれ事を引き受けたり落ちている仕事を拾ったりしながら、夢中ゾーンに近づくためのチューニングを繰り返すうちに、ニガテな仕事が人並み以上にできるようになり、得意なことが見つかり、「たまごち」をゲットして仕事が楽しくなったことと思います。
…「減」ステージは、「加」で培ったものを強みとして徹底的に磨くために、いらないものは捨てていきましょう、というハナシになります。
捨てていくのは、いわゆる「仕事の常識」というやつ。

減のステージでは、仕事を減らしていくことになります。その結果、自分の強みに集中することができ、”軸となる強み”を育てることができます。

では、どんな仕事は残し、どんな仕事は減らせばいいのでしょうか?

本書では、このような判断基準が書かれています。

  • やりたい(プロセス目的的)
  • 得意(強み)
  • 喜ばれる(利他的価値)

減のステージでは、この3つが重なり合う仕事のみを残し、他の仕事は減らします。

なので、”やりたい”けど、”得意じゃない”ことはやりません。他にも、”得意”だけど、”喜ばれない”こともやりません。やりたくて、得意で、喜ばれることのみに集中するのが「減」のステージです。

その結果、「加」のステージで手にした”強み”の中から、”軸となる強み”を1本作っていくことができます。

「加」ステージは、ニガテなことを積極的にやっていくステージでした。
「減」ステージは、ニガテなことを手放してもまわりに迷惑がかからず、むしろ「あいつにはアレ(やりたくて得意で喜ばれること)をやらせておいたほうが得だ」と言われるようになるところを目指します。
そこまで来たときには、やりたくて得意なこともニガテなことも、「加」ステージの最初の頃とは違っているはずです。単なるわがままではなく、ほんものの強みが確立している状態になっている。すなわち「減」ステージでは、「加」ステージにおける強みも手放すわけです。「どの強みに集中するかを決める」ことが求められます。軸となる強みを一本つくって伸ばしていくのです。

「減」のステージは、キャリアの中で、とても重要です。「加」はがむしゃらに仕事をしているだけでもクリアできるかもしれません。しかし、「減」は意識的に仕事を選ばないと、実践できません。そして、その選択の結果、一生のキャリアに影響を与える「軸となる強み」が決まります。

このステージに差しかかったら、自分のやりたいこと・強み・喜ばれることを棚卸しして、どんな軸となる強みを作っていくか、考えるといいと思います。

磨き上げた強みに、別の強みを掛け合わせる。仕事の報酬は「仲間」

これが乗のステージです。

乗のステージは、強みと強みのかけ合わせです。もちろん、強みと強みの掛け合わせ方は2種類あります。

  • 自分の中で、2つ以上の強みを掛け合わせる
  • 自分と他人の強みを掛け合わせる

この2種類です。

まず、自分の強みの掛け合わせについてです。本書では、減のステージで確立した「軸となる強み」と相乗効果を生む強みを育てていくべきと述べられています。

まずはある分野で突き抜けてナンバーワンになるまで軸となるメインの強みを伸ばします。ナンバーワンの基準は、「○○と言えばあの人」と言われるレベルです(「旗が立った状態」と呼んでいます)。そうなってから、ほかの強みの多軸展開をしてこそ相乗効果が生まれて「ほかにない存在」になれるのです。メインの軸を確立しない(突き抜けない)うちにほかへ手を広げようとすると、どれも中途半端で見劣りする存在になってしまいます。
これを絵で描いてみたところ、タンポポの綿毛みたいな形になったので「タンポポの綿毛理論」と呼んでいます。

次に、自分と他人の強みの掛け合わせについてです。ここでは、チームづくりがポイントになります。

「乗」ステージでは、自分の強みに磨きをかけつつ、出会った人と一緒になって「自分の強みと他者の強みとの掛け算」をしていきます。いわゆる「共創」です。共創がうまくいくかどうかは「チームづくり」がキモになります。
チームづくりの第一歩は「心理的安全性」を高めること。「心理的安全性」とは、グーグル社が行った、社内でうまくいっているチームの共通要因を分析する研究「プロジェクト・アリストテレス」の成果として知られるようになった言葉です。
そのプロジェクトでは当初、「引っ張っていくリーダーがいる」とか「メンバーみんな仲がいい」といった、うまくいくチームに共通しそうな要因の仮説を立ててみたものの、全然見つかりませんでした。引っ張っていくリーダーがいなくてもうまくいっていることもあれば、みんな仲が悪いのにうまくいっているところもあったのです。
数年がかりで取り組んだ結果、出てきたのが「心理的安全性」でした。

この心理的安全性については、「世界最高のチーム」で元Goolgeの人事コンサルタントの方が解説されています。詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

参考:5分で解説!読書会でわかったGoogle流「世界最高のチーム」とは?

世界最高のチーム

一つの作業をしていると複数の仕事が同時に進むようにする。仕事の報酬は「自由」

これが除のステージです。

おそらく、もっともイメージの湧きにくい働き方のステージではないかと思います。なので、最初に著者の具体例を紹介します。

そんなとき、会社の広報担当から、「ウェブメディアさんからネットショップ系の記事で連載のオファーをもらったんですけど興味あります?」と言われました。
「それはちょうどいい、本を書くチャンスにしよう」と思って、引き受けることにしました。
まさに緊急性のない本の執筆は後回しになっていて、書き始めるきっかけをつかめずにいたのです。しかも、本一冊を一気に書くのはしんどいなと思っていたので、「ウェブ連載だったら 締め切り効果もあって記事を小出しにアウトプットできるから、あとでまとめればラクに書籍化できるのでは」と考えたのでした(考えが甘いでしょうか)。
連載は12回続いて、記事の「いいね!」の数も多く好評だったことから、「出版部門の企画会議を通ったので書籍にしましょう」という展開になりました。
そこまではよかったのですが、12回分だと本の半分ほどのボリュームにしかならず、結局ま た「しんどい~」と唸りながら残りを書き下ろしました(やっぱり考えが甘かった)。

この場合、

  • ウェブメディアへの連載
  • 書籍の作成
  • ふだんの講演内容のブラッシュアップ
  • 楽天市場の魅力を伝える広報

という4つの仕事が同時に進行しています。そして、4つの仕事には「お客さんとのコミュニケーション」という核(公約数)があります。これが「除」の意味です。

他にも、こうした働き方をしている人は多くいます。例えば、わたしの好きなYouTuberも似たような働き方をしています。

  • フィジーク(ボディビル的なもの)選手として大会に出場
  • 日々の筋トレや食事などを動画にしてYouTubeに投稿
  • 自身でジムを開設し、運営

というように3つの仕事をしていますが、これらはトレーニングという核(公約数)があります。筋トレや食事を突き詰めていけば、フィジーク選手としてますます活躍できます。投稿する動画のクオリティもあがりますし、ファンも増えます。そうすると、ジムの会員も増えていきます。こうした働き方も「除」です。

このように「除」には、すべての仕事が上手くまわる「公約数」が存在しています。その結果、多くの仕事を同時並行で進めているのに、「自由」を楽しむことができます。

本書の「はじめに」で述べたように、割り算のイメージで仕事を因数分解して、「自分が強みとする作業をひとつやっていると、自分の関わるすべてのプロジェクトを同時進行させることができている状態」をつくります。
「5」の作業が一番の強みで「3」の作業も得意な場合、「5」の倍数の「50」や「100」のプロジェクトだけを選び取り、「3」の倍数のプロジェクトは断る。そうすれば、「50」の仕事をしているときでも「5」の強みは磨かれていくから、兼業している「100」のプロジェクトも同時に進んでいることになるという「統業」の状態が生まれるのです。
複業のことを「パラレルワーク」ということがあります。ただ、パラレルとは「平行」のこと。平行線だと、いつまで経っても交差しません。私は複業をひとつに統合することが大事だと思っている派なので「パラレルワーク」という表現は使いません。
「統業」のためには、流れに乗って散らかしてきたもの(複数のプロジェクト)を「メインの強み」でくくって片づけながら、全体をシンプルにしていくための視点やプロセスが求められます。

「除」を理解すると、

メルマガ発行、SNS発信、その上で本も書いて、セミナーもしてTVにも主演して…という一人何役なの!?という人が、なぜか遊びも充実しているという理由がわかります。

「加減乗除」とうい働き方の4ステージは、今後の何十年のキャリアの指針になるものだと思います。気になる方は、ぜひ本書を読んで詳しく理解してください。

以上、「組織にいながら自由に働く。」でわかった4つのキャリアのつくり方でした。

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