
今回は「孤独の科学」がMVP賞でした。
その孤独感には理由がある!脳と心のしくみから、遺伝と環境、進化のプロセス、病との関係、社会・経済的背景まで…「つながり」を求める動物としての人間―第一人者がさまざまな角度からその本性に迫る。
少子高齢化が進み、コミュニティーの重要性が見直されている現代社会において、よりいっそう示唆に富む一冊である。
目次
開催報告:20代読書会in東京
日時:05月09日(土)09:30-12:00
参加者:8名(男性:2名、女性:6名 初参加:3名、リピーター:5名)
MVP賞
孤独の科学

その孤独感には理由がある!脳と心のしくみから、遺伝と環境、進化のプロセス、病との関係、社会・経済的背景まで…「つながり」を求める動物としての人間―第一人者がさまざまな角度からその本性に迫る。少子高齢化が進み、コミュニティーの重要性が見直されている現代社会において、よりいっそう示唆に富む一冊である。
紹介された本
ふりまわされない

人生の結論は、意外と単純。80の僕の体験として―五年前の僕の悩みは、ほとンど解決している。三年前の苦しみは、割といいほうに向かっている。一年前の大変なことも、どうにかなっている。絶望は、時間の流れでどうにかなる。「今」の絶望は、未来では絶望ではなくなっていることも多い。だから、とにかく、「今」を乗り切るのだ。
ラヴィンザ・キューブ

認知症を患った父親の為に、工業デザイナーへの道を断たれた水沢依奈はロボットメーカーに就職し、介護をこなしながら功績をあげていたが、突然の異動で特装機体開発室の秘書を命じられる。人事に不満を持つ依奈を悩ませたのは、室長である佐原シンという分裂病質の悪名高いロボット工学者。アリーという認知行動研究用アンドロイドを秘書として置いている佐原は人間の補佐を拒み依奈を追い出そうとするが、依奈は自分の異動の理由が会社が受注したアンドロイド10体の製造管理だと役員に告げられる。依奈は、納期遵守のエキスパートとして、佐原の作る「ロボット」の秘書となった。実はそれは兵器であったのだ…。だが、佐原だけはルックスのみに不満を募らせていた。生産工学の観点から相容れない要素である造形芸術(アート)と理論の追求(エンジニアリング)。理論の追求よりも造形を優先する佐原は、結果的に機械の物理的な限界まで技術と才能で飛び越えてしまう。それこそが佐原が天才と呼ばれる所似だった。製品の引き渡しの際、機体の起動をする権限者に佐原は依奈を選び、その解除コードを与える。解除コードは不思議な3つの記号『$◇a(エスバレー・ポワンソン・プティタ)』で構成されていた。佐原がコードに込めた、意味とは果たして何なのか?第9回小松左京賞受賞作品。
FACTFULNESS

ここ数十年間、わたしは何千もの人々に、貧困、人口、教育、エネルギーなど世界にまつわる数多くの質問をしてきた医学生、大学教授、科学者、企業の役員、ジャーナリスト、政治家―ほとんどみんなが間違えた。みんなが同じ勘違いをしている。本書は、事実に基づく世界の見方を教え、とんでもない勘違いを観察し、学んだことをまとめた一冊だ。
夢を叶えるゾウ

ダメダメな僕のもとに突然現れた、ゾウの姿をしてなぜか関西弁で話す、とてつもなくうさん臭い神様“ガネーシャ”。聞けば、ナポレオン、孔子、ニュートン、最近ではビル・ゲイツまで、歴史上のキーパーソンは自分が導いたという…。しかし、その教えは「靴をみがく」とか「コンビニで募金する」とか地味なものばかり。こんなんで僕は成功できるの!?TVドラマ化、アニメ化、舞台化された、ベスト&ロングセラー。過去の偉人の具体例から導き出される、誰にでもできる超実践的な成功習慣を小説に織り込んだ、笑って、泣けて、タメになる、まったく新しいエンターテインメント小説。
殺人犯はそこにいる

5人の少女が姿を消した。群馬と栃木の県境、半径10キロという狭いエリアで。同一犯による連続事件ではないのか?なぜ「足利事件」だけが“解決済み”なのか?執念の取材は前代未聞の「冤罪事件」と野放しの「真犯人」、そして司法の闇を炙り出す―。新潮ドキュメント賞、日本推理作家協会賞受賞。日本中に衝撃を与え、「調査報道のバイブル」と絶賛された事件ノンフィクション。
小倉昌男 経営学

「儲からない」といわれた個人宅配の市場を切り開き、「宅急便」によって人々の生活の常識を変えた男、小倉昌男。本書は、ヤマト運輸の元社長である小倉が書き下ろした、経営のケーススタディーである。
全体を通して読み取れるのは、「学習する経営者」小倉の謙虚さと、そこからは想像もできないほど強い決断力である。成功した人物にありがちな自慢話ではない。何から発想のヒントを得たか、誰からもらったアイデアか、などがこと細かに記されている。講演会やセミナー、書籍、マンハッタンで見た光景、海外の業者に聞いた話、クロネコマークの由来…。豊富なエピソードから伝わってくるのは、まさに学習し続ける男の偉大さである。
一方で、並々ならぬ決断力を持っていたのだと思わせる記述がいくつかある。宅急便に注力するため、大口の取引先であった松下電器との長期にわたる取引関係を終結させたこと、三越岡田社長のやり方に反発し、「とてもパートナーとして一緒に仕事をしていくことはできなかった」として取引関係を解消したこと、運輸省を相手に訴訟を起こしたこと…。いずれも確固たる論理がその根底にあった。それにしても見事な決断力と言わざるを得ない。
終わりの部分で紹介されている宅急便の各種サービス内容や、有名なNEKOシステムなどの話は、流通・物流の関係者以外には興味がわかないかもしれないが、全体的に読みやすく、興味深いエピソードが満載なので、読んでいて飽きることがない。経営者としての小倉の人となりが伝わる、好感の持てる1冊である。
以上、05月09日(土)20代読書会in東京の開催報告でした